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 ゴブリンキング現る

 南の森の入り口の街道。


 「木こり様。こちらがその白馬です」


 「ありがとうございます。

 僕はフジミヤ。本名は・・・。で、女の子ですね白馬ちゃん。

 お名前はある?無いの?つけてもいい?そうだなぁぁ【シルク】どうかな?気に入った?良かったぁぁ。

 今日からシルクちゃんね。嬉しいの?良かったね


 「あの」


 「どうしました。デービッシュさん」


 「まさかと思いますが、馬と会話が出来るのですか?」


 「はい。できますよ。トロールの時にお姉さんが殺されているそうですよ」


 「その通りです。元気が無かったので体を動かした方がいいのかと思いまして」


 「正解ですよ。

 シルクちゃん、これ食べて。元気が出るよ。おいしい?良かった」


 「お前達。秘匿せよ」


 「「「了解」」」


 「さすが木こり様です」


 「チェルッシュ。不穏なこと言うな。冒険者失格だぞ」


 「失態でした」


 「シルクちゃん。後でお姉さんに会えるからね。声聞こえる?聞こえた?いい子いい子。行こうか。ん?」


 「木こり様。参りましょうか?」


 「この先、三キロ地点。あれ?ハルサーラ様。一キロじゃないですよ」


 「廃村で捨て置かれ、森が深く幻影的な物も有ります。正確な測量は出来ていません。

 それで何か?」


 「ナルッシュさん達が戦っています。相手はゴブリン五十体以上。大きな個体一体。恐らくキング。

 ジェネラルはまだいないようですが苦戦しています。全員健在。

 一点五キロ付近にも伏兵二十体ほど。

 僕が弓で殿を務めます。皆さんは突っ切ってナルッシュさん達の応援に」


 「「「「了解」」」」


 「デービッシュ。民衆に避難指示。娘たちを護衛に回し、ジード村まで後退。ここに兵と冒険者を手配」


 「了解」


 「行くぞ」


 「りょうかぁぁい」




 森の中の街道を騎乗して駆け抜ける一行。

 その殿を弓を持ち走るアイファウスト。


 「マルック隊長ぉぉもうすぐ伏兵でぇぇす」


 「ばっけぇぇぇん」


 「きまぁぁす」


 アイファウストは後方から、弓で行く手の道に出てくるゴブリンの頭を打ち抜いていった。

 ハルサーラ達も飛んで来る矢や飛び掛かるゴブリン達を片手で捌いている。

 チェルッシュがゴブリンを切りながらジムに。


 「何て大きいゴブリンなのぉ。オークと見間違うわぁぁ」


 「知ってる奴らの倍近くあるぜぇぇ」


 「身長百八十ぅぅ」


 「アルッシュ。ベルガー。この大きさ久しぶりで気を抜くなぁぁ」


 「ほんと二十年振りだぁぁ せいやっ ベルガー落とされるなよぉぉ」


 「バカこけぇぇ。腕が鳴るわぁぁ。せいっ」


 「マルック隊長ぉぉ伏兵エリア抜けましたぁぁ。弓兵は居ませぇぇん。後方はお任せくださぁぁい」


 「頼んだぁぁ


 「りょうかぁぁい」


 「くそっ何時何処から湧きやがった。魔王戦の最終決戦並みにでかく育ちやがって」




 アイファウストは反転し、追いかけてくるゴブリン達めがけ矢を放った。


 「後三体木の上。シルクちゃん。僕の思う通りに動いて。怖くも痛くも無いからね。行くよ」


 シルクの前に階段状の魔方陣が浮かび上がり、踏み台にして空中へ向かった。


 「先ずは一体終了。今度は向こうだよ」


 そのまま空中で走りながらバンクを描くように反転しもう一体と次で終了した。


 「よし、もう居ない。シルクちゃんこのまま行くよ。気持ちいいの?よっかたぁぁ。

 キングの後方から攻めるよ」




 「ナルッシュぅぅ応援に来たぞぉぉ。村もぉぉ挟撃の心配もいらぁぁん。前だけ見ろぉぉ」


 「義母上。助かったぁぁぁキングを足止めして雑魚を畳みかけろぉぉ


 「おぉぉ


 「キングはわたくしとマルックで足止めする。雑魚をねらえぇぇ


 「りょうかぁぁい」


 「マルック。行くぞ」


 「了解」




 「でけぇなぁぁ。従軍した魔王討伐以来だぜぇぇ」


 「だなぁぁ。関心は後だ。横から来る斧だけ気を付けろ。お前は向こう側。とにかく足を狙え」


 「了解」


 その時、キングが砂煙が舞い上がるほどのでかい咆哮を上げた。


 「魔力を乗せた声もでかいねぇぇ」


 「そこら辺の冒険者なら脳震盪モノだ。後方」


 「ここに一点集中させたんでしょう。馬も含めて全員ピンピンしてますよ。

 俺達の馬も防御で素知らぬ顔です」


 「バカキングぅ。ビビらせようとしても無駄だぁ。我々は経験済みぃ。その程度で戦意は落ちぬわぁ。

 行くぞぉぉ。押して引く。いいな」


 「わかってますよぉぉはっ




 二人はキングの両脇をかすめるように馬で駆け抜け足を狙った。


 「くそぉぉ剣の刃が立たねぇぇ


 「かったいなぁぁ。もう一度」


 「了解」


 「行くぞ。はっ」


 「はっ」




 アイファウストは森の中から空中をバンクを描きながらキングの後方から出た。


 「マルックぅぅ気付かせるなぁぁ


 「お任せぇぇ。バカキングぅぅこっちだぁぁおらぁぁ


 キングはマルック達の陽動に掛かり、下を見ながら斧を振り回した。


 「マルック。停止ぃぃ」


 「了解」


 マルックめがけて斧を振り上げたキング。

 アイファウストはそのまま真後ろからキングの頭の左横を通り抜けた。


 「マルック。退避」


 「はいなぁ」


 キングの両腕がだらんと下がり、そのまま両膝を付いた瞬間、頭が前に転がり落ち、正座した状態で止まった。


 「やったぁぁぁ


 一気に歓声が沸き、ハルサーラが。


 「雑魚を掃討しろぉぉ一匹も逃すなぁぁ


 「りょうかぁぁい」


 「形勢逆転だぁぁおらぁぁ」


 統率を失ったゴブリン達は五分もせず討ち取られた。

 マルックが。


 「ナルッシュぅぅ集合しながらぁぁ被害報告ぅぅ」


 「りょうかぁぁい。今確認中ぅぅ」


 正座でうなだれるキングを背に騎乗して佇むハルサーラの前に徐々に騎乗したまま集まってきた。


 整列し。


 「報告。ケガ人無し。欠員無し。全員無事」


 「やったぁぁ


 「木こり様は?」


 森から早駆けで出てきたアイファウスト。


 「遅れましたぁぁ。伏兵を回収してきましたぁぁ。残党無しです」


 「うおぉぉぉ




 「ハルサーラ様。ここに馬用の水場と干し草を出します」


 「お願いします」


 丸太で作った馬留を二本平行に出し、その間に長方形の水桶。その両脇に干し草を設置。両側から馬を繋いだ。

 馬達は桶に頭を突っ込んだ。


 「この間にゴブリンの魔石を回収。死体を一か所に集めろ」


 「了解」


 マルックが。


 「しかしでけぇなぁ」


 「過去最高ランクじゃないかしらぁぁ」


 チェルッシュが。


 「咆哮の威力も含めて、最強も付け加えて下さいよ。ハルサーラ様」


 「そうねぇ。刃がボロボロになったわ。

 木こり様。わたくしではレベルが足らないようです。キングのレベル解ります?」


 「えぇぇっとぉ。良く育っています。体高が五メートル。重さが三トン。レベルはおよそ1200ですね」


 「「えぇぇぇ?」」


 (クラウス様ぁぁマジで居たよぉぉ。あん時実戦しておいて良かったぁぁありがとぉぉ)


 「勝てないわぁぁ」


 「勝てるはずがねぇぇ。おめぇがいなけりゃ全滅してたよ」


 「ここから南に人知れず狩りに出て、そろそろ東門を襲撃する予定だったんでしょうねぇ」


 「ここまで育つと頭も良くなるわね」


 「伏兵も居たし、この装備なら今日明日ってとこか」


 「木こり様。キングはどうしますか?全身が有ると装備と肥やし用に売れますが」


 「僕が一応回収しておきます」


 「お願いします」


 「いきますね。はい」


 「一瞬かよぉぉ


 「丸っと一体そのまま?」


 「あっ」


 「構いませんよ。木こり様の討伐です」


 「あのマルック隊長」


 「どうしたベルガー。疲れたか?」


 「いえ。先ほど木こり君が馬と一緒に空を飛んでいたようなぁ


 「アルッシュとベルガー。村に戻り避難解除。討伐は終了。討ち漏らし無し。全員無事。

 この森のせいかデービッシュに念話が届かん。

 報告後戻れ」


 「質問


 「キングの咆哮で脳みそ壊れたか?」


 「「違います」」


 「疲れて夢でも見たんだろう。返事は?」


 「「了解」」




 ハルサーラが。


 「お派手になさりましたものねぇ」


 「ですがお義母上、先発隊が疲弊した中では最善策でした」


 「ですわねぇ。ギリギリと言ったところでしょうか」


 周りの警戒と状況を見ていた木こりが。


 「回収も終わったようですし、休憩にしませんか?

 テーブルとお水、クッキーをお出ししますよ」


 「何でもありですね。お願いいたします」


 「ハルサーラ様。お耳を」


 「何でしょうか?」


 「お水に無味無臭の回復ポーション入れていいですか?

 すでに馬は飲んでいます」


 「はぁぁ。それでお願いします」


 マルックが呆れたように。


 「いったい幾らの価値が有るのやら」


 「それとハルサーラ様。こちらの剣をお渡しします」


 「宜しいのですか?」


 「はい。いわゆる魔剣。ハルサーラ様の魔力を乗せると切れ味が向上します。自動修復も」


 「ありがたく頂戴します」


 「ハルサーラ様のレベルでの魔剣のレベルは凡そ三千。先にお渡ししておけばよかったですね」


 「いいえ。正に敵無しの剣ですよ」


 「俺もぉぉ壊れたんだけどなぁぁ


 「マルック隊長の分ですよ。ハルサーラ様とはデザイン違い。はい」


 「全体的に硬めの雰囲気で重厚なデザイン。カッケェェ」


 「わたくしのは色彩を使った丸めのデザインで優しい雰囲気。とても気に入りました」


 「良かったです。マルック隊長で凡そ二千五百です」


 「ありがてぇ。いや、ありがとう木こり君。めっちゃ嬉しいぃぃ」


 マルックは剣を抱きしめた。


 「なんですか、子供みたいに催促してぇ」


 「言われる前に用意していましたから大丈夫ですよ」

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