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 今後の行動方針を模索

 姉妹はアルミスの部屋に残り、アイファウストとハルサーラ、リッシュはデービッシュとマルックが警戒するキッチンに戻った。

 アイファウストは貴族に戻り、ハルサーラが。


 「エルドラットかぁ


 「一点良いでしょうかハルサーラ様」


 「お気になさらず」


 「一週間の予定でしたが?」


 「女神様は端っからここを拠点にするご予定だったのでしょうね」


 「聞いておきます」


 「それより教会の建設は本当に錬金術と土魔法で可能なのですか?」


 「はい。問題ございません。

 そうですねぇガラスなど設備方面、主要部分はわたくしの方で作ります。

 足らない部分はエマルサーラ商会で調達して納入していただけますか?」


 「よろしいので?」


 「はい。色々聞いて、無知のわたくしが選び揃えるとあまりに突飛過ぎて盗賊達に狙われそうです。

 信者のお方達がいらっしゃった時でも手に届くところに高額なものがあると出来心が生まれます。

 十年目にしてできた教会です。また一から心の教育が必要と思います」


 「女神様の脅威があれば問題無いのでは?」


 「本当は物凄くお優しい慈悲深いお方なのです。

 父と母を殺したのはご自分だと今だに懺悔の日々を送り、自戒しておいでです。

 一番苦しんでいらっしゃるのは両親からわたくしを引き離し、両親を殺したこの地上に置いて行かなければならなかった事。

 連れて行くことは可能でしたが、神の掟に抵触し・・・ます。

 あのように顕現されると非常に力をお使いになり、お疲れになります。

 それに他の女神様達は人に願い事や依頼など致しません。全て命令です。従わなければ死にます。

 不甲斐ない常識知らずのわたくしが地上に居るが故、女神様がご苦労をなさっているのです。

 自分への戒めの為と言えわたくしを目にかけてくれる女神様が大好きです。

 そんな女神様がわたくしの為に人から嫌われ、恐れられ、悪口を言われるのは嫌です。

 皆さんに愛される女神様で 女神様でいて い いて ほしい うぅぅぅ


 学ラン姿のままテーブルの一点を見つめ涙を落とすアイファウストにハルサーラは席を立って歩み寄り。


 「抱きしめても」


 「はい」


 優しく頭を胸に抱え。


 「これからお優しい女神様をみんなに伝えましょう。

 今日、間近でお会いしてお話しして十年前の女神様と同じお方とは思えませんでした。

 女神様の威厳を保ちつつわたくし達の位置まで降りて下さり、楽しい会話。眩しいほどの笑顔。とっても素敵なお方です。

 少なくともあなたの女神様をここの者達はあなたの認識を理解できますよ。

 あなたがここへ来たことで女神様の信者が増えました。

 デービッシュ。マルック。リッシュはどうですか?」


 「アイファウスト王子殿下。あなたが幸せになる事で女神様がお歓びになります。そしてお幸せにもなります。

 あなたがくよくよしていると女神様がご心配になり神力を行使しなければならなくなります。

 先程のように楽しい時に幸せな時にご降臨して頂けるように幸せになりましょう。

 そのために私デービッシュを如何様にでもお使いください」


 「木こり君よ。おめぇは強い。もうSランクと言っても過言じゃねぇ。

 何を基準に弱いと言ってるんだ?クラウス様か?イサム様?サチ様か?

 その三人を除いて、今この世界で木こり君の右に出る奴なんていねぇよ。クラウス様が悪党にでもなりゃ別だが、あのお方がイサム様達を裏切るはずがねぇ。

 今弱いと感じているのは経験が少なすぎるからだ。戦闘じゃねぇぞ。一人歩きの一般常識の事だ。

 明日、冒険者登録に行く。その時、チェルッシュとジムを連れて行け。あいつらは木こり君のお陰で結婚する事になった。感謝していたぞ。

 で、町ん中を見て歩け。クラウス様と見て歩いた時と違う視点で観れるはずだ。

 少しは落ち着くだろう。そうすれば女神様も安心なさる」


 「わたくしもそう思いますよ。

 マルック隊長。殿下に失礼です。もう少し言葉使いを変えて下さい」


 「すまん。すみません」


 「アイファウスト王子殿下。正直に申します。

 今のその姿。黒の学ランで町中を歩いたら、同い年位の女性に取り囲まれますよ。木こり姿でも危ないです。

 クラウス様が容姿に関してどのように仰っていたかは判りませんが、王都を探してもいないほどの美形ですよ。

 下手したら劇団や旅芸人一座にスカウトされまくりです。裏方面も黙っていません。デービッシュ様が仰っていたように需要は尽きること有りませんよ。

 もっとご自身に自信をお持ちに成る事で女神様も安心なさいます。

 もし、女性を警戒なさっていてどうしようもない時はわたくしを妻と言って頂いても結構です。本気で妻になりますよ


 「リッシュ。ぶっ飛び過ぎだ」


 「大奥様。一目惚れしました。心臓が爆発しそうです」


 「まぁ待て。落ち着け。スカッシュも目つきが酔っていたな」


 「お嬢様と言えライバルです」


 「ハルサーラ様。申し訳ありませんでした」


 「もういい?落ち着いた?」


 「とても心地よかったです。

 皆さんのお話しもとても嬉しかったです。参考にさせていただきます。

 リッシュさん。まだ結婚は考えていません。

 先ずは女神様の優しさを広めるお仕事からです。

 冒険者になって魔物の数を減らし、女神様がお造りになったこの世界にはびこる賊を退治。

 出来るなら裏組織の壊滅もしたいですね。

 まだまだこれからです」


 ハルサーラが。


 「女神様の仰っていた教会女性近衛公安兵になれば女神様を武力や画策で愚弄する輩を国にお伺いを立てずに問答無用で捜査も討伐も可能ですよ。

 各国に真教会設立のお触れを出せば国境はフリーパスになります。何処の国も口出しできません。

 わたくし共の商会のネットワークを使えば情報網の確立も直ぐです。

 十年前に教会が破壊された以降も残っています。と言うかこうなる事を女神様は見越していらっしゃったのでしょう。改変できない項目になっています。

 一部の国で改変を試みたのですが携わった関係者が病に伏せたり、亡くなったりして手出しできなくなりました。ご存じのはずですよね」


 「何故、女性限定なのでしょうか?」


 「わたくしが思いますに、乗馬服を金髪のままとても素敵な騎馬隊の軍服にしたのが運の尽きでしたね。ララヴール・ラトン様」


 「あらぁぁ名前まで覚えていらっしゃるぅぅ


 「そうすれば良からぬ輩の為の女神様のご降臨の回数も減るのでは?」


 「その手がありますね。それで行き・・・あぁぁ女装だったぁぁ」


 「アイファウスト王子殿下はエルファサ女神様の経典の全てをご理解なさっていますよね」


 「はい」


 「では、公安を創設いたしますね。

 ご許可は出そうですか?」


 「出ました。エルファサ女神様真教会近衛公安騎馬隊。女性限定。

 選任の詳細はこちらです。かなり厳しい内容ですよ」


 「こちらの内容でしたら・・・少し教育を施せば問題はございません。

 デービッシュ。ナルッシュをここへ」


 「はい」




 「お呼びでしょうかハルサーラ様」


 「先ほど伝えましたエルファサ女神様真教会近衛公安騎馬隊の創設に至りました。定員を十名。

 腕利きを集めなさい」


 「既に予備も含め希望者十五名。待機しております」


 「そうねぇ。ここでは目立ちすぎます。エルドラットの廃村。北の入り口で待機。周辺の調査を簡単に」


 「あの森の中ですか?」


 「ちょっとした運動になるでしょ」


 「馬を調達します。直ぐに揃うとは思いますが一時間頂けますか?」


 「こちらもそれぐらいは必要です」


 「行きます。では」




 「決定なんですね?」


 「はい。木こり様にお着替えください」


 「はぁ」


 「おぉぉ。座ったままでも変身できるのかよ。背も縮んだ。髪型はあんまし変わんねぇのな」


 「マルック。驚いていないでお仕事です。

 もう必要は無いとは思いますが木こり様のいで立ちで入国審査を」


 「了解。門の方へ行こうか」


 「はい」


 玄関を出た瞬間に。

 大勢から木こり様の掛声が起きた。


 (なんじゃこりゃぁぁ)


 マルックが。


 「あぁみんな待ってくれぇぇ。あまり大声で叫んで詰め寄るとまた逃げてしまうぞ。

 今は静かにぃぃ」


 (えぇぇ?もう逃げませんよぉぉ)


 「とか、思っているだろう。甘いっ」


 「えぇぇ?肩を抱くんですかぁぁ?」


 「逃げたらハルサーラに俺が殺される」


 「逃げませんよぉぉあぁぁれぇぇ何でお姫様抱っこぉぉ?」


 「逃げるからだよ。って、軽いなお前ぇ。ちゃんと飯食ってるのか?」


 「食べてますよぉ」




 東門入り口側。

 マルックが。


 「そこの壁にライオンが口を開けているだろう。そこへ手を突っ込むんだ」


 「あの。このギャラリーは?」


 「十年ぶりなんだ。物珍しいんだろうよ」


 (絶対違うよねぇぇって皆、跪いてどうしたの)


 「木こり様。わたくしチェルッシュが代表してトロールから助けて頂いた皆の感謝の意をお伝えさせていただきます。

 助けて下さりありがとうございました。

 先程、ハルサーラ様に確認いたしましたら、お礼を受け取っては頂けないとの事。逃げる可能性すら有るとの事。

 ですので、トロールから救って頂いた者らは木こり様に何をお返しすれば良いのでしょうか」


 「マルック隊長」


 「何か言ってやれ」


 「僕、木こりで旅ばかり。暫くこちらで御厄介になる事になりました。その間だけでもお友達に成って頂けませんか」


 「勿論です。お友達と言わず、使用人


 「チェルッシュさぁぁん。お友達が良いです」


 「はい。これから仲良くしてください」


 「やったぁぁ」


 「木こり君よ。今度はジード村の者らだな」


 「木こり様。わたくしはジード村を纏めているマリアティーヌと申します。以後お見知りおきを。

 この度は村民を全回復して頂き、その上食料まで頂きました。このご恩を返す術を持ち合わせておりません。

 お友達が良いとの事。それはむしろ村の子らの願いであります。

 何かわたくし共に出来ることは無いでしょうか?」


 「そうですねぇぇ。これから僕がお世話になる事で沢山お仕事が出てきます。お力添えを願ってもいいでしょうか?」


 「勿論でございます。それが回復した者達の望みでもあり、村民の総意でもあります。何なりとお申し付けください」


 「はい。お願いします。皆さん立ってください」


 「「「はい」」」


 「で、マルック隊長」


 「そのライオンの口に手を入れな。犯罪歴が無けりゃ食われないから安心しな」


 「食われちゃうんですか?」


 「わりぃことしてなきゃ大丈夫だ。みんな楽しみにしてるんだ。ほれ入れろ」


 「食われる方ですかぁ


 「いいから入れろって」


 (銭湯のライオンに手を突っ込んで叱られた記憶がぁぁ。俺は悪い事していません。えいっ)


 ライオンの目が何色ものカラフルな色で点滅した。


 「いやぁぁひっさしぶりに見たねぇぇ。いいねぇぇ


 (思い出したっぁぁ。クラウスと初めて来た時もそうだったぁぁ)

 「もういいですか?」


 「もうちょっといいじゃねぇか。奇麗だろぉ」


 「木こり様ぁぁ少し左えぇ。よく見えませぇぇん」


 「こ こうですか?」


 「本当に光り輝くのねぇ」


 「他国に行って再入国の経験が無いからねぇ。奇麗だねぇ」


 「夜見たらもっと素敵でしょうねぇ」


 「あのぉマルック隊長。他も同じなんですか?」


 「あぁ同じだ。ただ、十年も使っていないから壊れてねぇか心配していたんだが大丈夫だったな。

 良かったな。ガブッっていかなくて」


 「そんな無責任なぁぁ」


 「大丈夫。歯形が付くだけだ」


 「痛いじゃないですかぁぁ」


 「かなり痛ぇらしいぞ。もう抜いていいぞ」


 「ふぅぅ


 「ここじゃなんだな。守衛に入ろうか」


 「はい」


 「アルッシュ。ベルガー。一旦、民衆を引かせろ」


 「了解「了解」

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