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 意地で入国失敗・自己満足で危機到来

 キッチンのテーブル席に着いた三人。


 「木こり様。完璧に治ったんですね」


 「はい。アルッシュさんの問題大有りで驚きましたが」


 「何で?」


 「失敗したかと思ったじゃないですかぁ」


 「それ程完璧な治療だった。と」


 「何処まで治るかはアルミスさんとマルック隊長様次第でしたけどね」


 「どう言う意味ですそれ?」


 「アルッシュさんはご結婚は?」


 「しています。嫁さん一人。坊主が二人。まだ小さいですけど」


 「アルッシュさんは奥様がお好き?」


 「当然です。死ぬ気で守りますよ」


 「マルック隊長とアルミスさんもそれです」


 「判りましたぁ」


 「感謝しかない。木こり君」


 マルックは座ったまま頭を下げた。


 「頭を上げてください。それより本来の僕の目的の入国審査を」


 「金は」


 「入国にお金が要るんでしたっけ?」


 「冒険者以外は必要だな・・・そっちの事じゃねぇ。

 治療費の金の事だ」


 「入国審査」


 「受け取らない気か」


 「入国審査」


 「前回分の


 「入国審査」


 「はぁぁ判ったよ。何も受け取らないならやらねぇ」


 「あぁぁ職権乱用。横暴だぁぁ


 「うるせぇ。何か言え」


 「またそれぇぇ。アルッシュさんのお茶を頂きました。値千金。美味しかった」


 「嘘つけ。アルッシュはこの隊一番のへたくそだ」


 「改めて言われると傷つきますよぉ」


 「いえいえ。美味しかったですよ。入国審査」


 「隊長。木こり君は絶対に譲りませんよ」


 「俺もだ」


 「じゃぁこうしましょう。入国許可を頂けたら報酬を言いますし、頂きます」


 「逃げるだろう」


 「うっ


 「そこで『うっ』って、言うな。見え見えだ」


 「冒険者ギルドの登録がしたい」


 「判った。他」


 「えぇぇ?いいお宿が知りたい」


 「それも判った。他」


 「何でぇぇあぁぁそうだぁぁ特権階級の木札」


 「生鮮食材の商人か?武器屋か?証明が出来る物は?」


 「無いです。どちらも違います、その日暮らしの木こりです」


 「じゃぁダメだ。他。

 って、言えよぉぉ幾らならいいんだ。だが限界はあるぞ。アルミスはやらん」


 「アルミスさんはお奇麗ですよ。でも、僕なんかに釣り合う訳ないじゃないですか。

 釣り合う男性なんてマルック隊長以外誰もいませんよ」


 「判ってるねぇ。さすがだよ。気に入った」


 「じゃぁ入国審査を」


 「それは別だ。言えぇぇぇ


 「入国審査ぁぁぁと言うか、お金は要らないと言っているのですよ。

 嘘でもありませんし、後から脅迫する事もしません。

 今ここで創世のエルファサ女神様に誓ってそれらを誓いますよ」


 「そんな事をしない事など判っている。

 だが、それではこちらの気が収まらん。何かしら報酬を言え」


 「だから言っているじゃないですか」


 「聞くが、何でここの入国審査に拘る」


 「牛乳が欲しい」


 「はぁ?」「へっ?」


 「白菜とキャベツ。玉ねぎも。あっジャガイモも」


 「何処の国にも売っているだろうがぁぁ


 「他は高ぁぁい」


 「ここは安いのか?」


 「あ"。安いのかなぁぁ」


 「一気にトーンが下がったぞ」


 (一旦出直そう。感謝の念が薄れた頃にもう一度来よう。

 二、三日は畑のお野菜とお肉だけで生活だな。お野菜も土壌のせいか美味しくないのよねぇぇ。まぁ薬草ばっかだし。

 何とかしてこの場を凌ぐ方法を・・)

 「あぁぁそうだ聞かなきゃ」


 「何を」


 「アルミスさんを襲ったドラゴンの特徴」


 「暗かったからなぁ。数は一体。体長は七、八メートル。立った状態で五メートル程だったか。体色はブルーに近かったな。

 あぁ最後に俺がぶん投げた剣が右目に刺さったな。

 それで雄叫び?悲鳴?を上げながら北の山の方に逃げたな」


 「カッコいいですね。アルミスさんの目の復讐をしたんですね」


 「まぁ片目だが俺は転んでもタダでは起きんからな」


 「カッコいぃぃ」


 「だろう」


 「北ってことは、ホルカイ帝国?」


 「どうだろうなぁぁ国境まで行ってるかなぁ。

 待て、行く気じゃ


 「あぁあ。行っちゃった」


 「行ったと思うか?」


 「トロールの件。もう忘れちゃったんですかぁ?」


 「相手はドラゴンだぞ。木こりが相手に出来るような代物じゃねぇ。

 死に行くようなものだ。そこまであいつもバカじゃないだろう」


 「どうでしょうねぇぇ。俺は最低でも偵察に行ったに賭けますよ」


 「何を賭ける」


 「エール一杯」


 「しょぼいねぇ。俺は部隊の九人と補充員五人に七面鳥の丸焼きだ。二つ。どうだ」


 「いいんですかぁぁ。お高いですよぉ」


 「アルミスの全快祝いも兼ねてだ」


 「負ける気満々じゃないですかぁ」


 「間違いなく行ってるよ。あいつ」


 「でも、どうやって探すんです?」


 「もう忘れちまったのか魔王討伐に支援隊で追従した時にイサム様やサチ様が使っていただろう。

 魔力の痕跡を辿るとか臭いとか・・・色々」


 「色々って覚えていないんですか?誰も使えませんでしたが、他にもいっぱいありましたよ


 キッチン入り口で。


 「失礼いたします。アルミス奥様の侍女となりますリッシュと申します。

 以後お見知りおきを。

 大奥様のハルサーラ様がマルック隊長と木こり様をお呼びでございます。

 あらっ?木こり様はどちらに?」


 「ト トイレかな?」


 「隊長無理ですって。一瞬でバレますって。元Bランクのハルサーラ様に瞬殺されますよ」


 「ではどちらに?」


 「あぁぁ俺が行って来る。木こりのばぁぁかぁぁ




 短距離転移を使いながら超高速で空を飛んでいるアイファウスト。


 「へくしゅん。さすがに一万メートル級の山脈。雪も被ってるし、空を飛ぶと寒いなぁ。

 結界魔法張っておこう。ドライスーツ。うぅんいい響き。命名センスゼロ。そのまんま。えぇぇ解ってますよ。

 でも、造って良かったぁぁ。あの時の高山病はもう二度とごめん被る。

 マルック隊長の魔力わぁ・・・あぁぁめぇぇっけ。後ろ向きかぁ右目右目・・・在ったぁぁぁ刺さったまんま。

 十時の方向。距離五千。とぉぉりかぁぁじ。カッケぇぇ。

 気が付いてはいないな。行くよ愛幸勇」




 「敵機直上は逆。敵の直上距離千。音速急降下ぁぁぁぁ唸れ愛幸勇ぅぅ。かっけぇぇ」


 アイファウストは刀を右に両手で構えたまま、急降下でドラゴンの首を切り落とした。が。


 「いっでぇぇぇ。そりゃ下は地面だわ。やっちまったなぁ。

 やっぱクラウスの言う通り、ボコって串刺しにすれば良かった自己満足あぁぁやばいぃぃ気を失うとぉぉ他のドラゴンにぃぃヒールぅぅあぁぁ


 自身へのヒールも間に合わず、ドラゴンの巣の地面にめり込んで気を失った。

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