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 アルミスへの解呪と治療

 寝室のベッドの上で、背もたれにもたれかかって居るアルミス。

 鼻から上は包帯でグルグル巻きになっている。


 「あなた。お客様?」


 「そうだ」


 「このような場所へ?」


 「お前に用があるんだ」


 「ようこそ御出でくださいました。

 ご覧の通り


 「もう話しはしたから良いぞ」


 「そうでしたか。男手なので部屋が散らかっていると思いますがご容赦ください。

 こう言っては何ですがごゆっくりして行ってください。

 あなた。キッチンの方が良いのでは?」


 「初めまして。今は木こりと呼んで下さい」


 「木こりさんですね。女の子かしら?」


 「男の子です」


 「可愛らしいお声ですから間違えてしまいました。ごめんなさいね」


 「いえ。奥様、傷を診たいのですが包帯を取ってもいいでしょうか?」


 「あなた。このお方は教会のお方?」


 「いや。全く違う。ただ、言う通りにしてみないか?」


 「金貨五十枚は


 「今はお気になさらず。いいでしょうか?」


 「はい。お願いいたします」




 (火傷が酷いな。でも、治療と処置は凄く丁寧ですね。隊長さんの奥様を思う気持ちが溢れ出ていますよ。

 で、目の方わぁぁあぁぁあっぶねぇぇ眼球が腐って脳の方に向かってるじゃん。神経も腐って痛くないのか。あと一日。後半日か・・今迄ここまで酷いのは無かったですねぇ。

 ドラゴンの火魔法は一種の呪いみたいなもので普通の火じゃないからなぁ。個体によっては腐食させる能力が有ったりするのよねぇ。

 サーチ。ドンッ。はい、ドラゴンの炎確定ぇぇ。腐食の術もありましたぁぁ。

 これはこのドラゴンちゃんを生かしておくと後々大変ですねぇ。後で聞こおっと。

 もうねぇ身を挺して子供を守ったアルミスさん。奥様を思い半年も献身的に尽くして来たマルック隊長がカッコよすぎて涙が出ちゃう。

 助けちゃいますよ。えぇぇ絶対に死なせませんよ。在庫は・・・有るな。

 文句を言いながらでも医術知識を伝授してもらって良かったぁぁ神様女神様クラウス様ぁぁ。ありがとう。

 これぐらい感謝しとけば良いでしょう。

 ドラゴン特有の火魔法は解呪も含めたこのポーションだな。後半日程度ですから悠長に時間を掛けてはいらません。少し強化しておきましょう。完璧。

 それとこれ。

 さてさて、治療をすると言うとお金を気にして、させてもらえないでしょうねぇぇ。何も言わずサクサクやっちゃいましょう。終わったら入国して逃げる。完璧)

 「奥様。金髪を一本頂いても?」


 「構いませんよ」


 「何に使うんだ?」


 「金髪を分析したいんですよ。

 隊長さん。この一本を抜いてください。ここなら痛くないはずです」


 「ああ判った。これでいいかって分析?」


 「はい」

 (半部にした毛根側の髪の毛をポーションに入れてぇぇ振るっ。溶けた?できたぁぁ。

 残りの半分をもう一本の解呪のポーションに入れて振るっ。溶けた?オーケー)


 「おいっそれって


 「隊長さん。何も言わないで」


 「わ 判った」


 「あなた。何か問題でも」


 「いや違う。カバンから出て来た物に驚いただけだ。

 木こり君の飲み物だった」


 「あなた。お茶は?」


 「おお、そうだったな。今、アルッシュが湯を沸かしていると思う」


 「もう。あなたは」


 「隊長さん。先ずベッドの寝る位置へ奥様を」


 「これでいいか?」


 「はい。で、まずこちらを飲ませて下さい」


 「いいか。飲ませるぞ」


 「はい。あぁおいしぃぃリンゴジュースです。懐かしわぁぁ」


 「美味しいですか?」


 「とっても」


 「もう一本ある、いいか?」


 「はい。少し味が違う。でも、これもおいしぃぃ。木こりさん、何かの試飲ですか?」


 「新しく売り出そうとしている品物です。美味しかったですか?」


 「はい。間違いなく売れると思いますよ」


 「ありがとうございます。横になれますか」


 「包帯は?」


 (あ”)

 「す 少し乾かした方がいいと思いましてぇぇ」


 「乾かすのですか?」


 (まずいですぅぅえぇぇっとぉぉ)

 「良い軟膏を


 「ナンコウ?」


 「火傷に良く効く塗り薬です。

 お試しで塗ってみようかと思いまして」


 「はい。お願いします。

 あなた手伝って」


 「ああ。寝かせるぞ」


 「はい。とても心地


 「ど どうなった」


 「お休みになられました。ご安心ください」


 「そ そうなのか?」


 「はい。治療に少々時間が掛かります。入国審査をしていただけますか?」


 「やっぱり治療かよっ」


 「しっ」


 「金なんかねぇぞ」


 「相談しましょう」


 「判った。アルミスはどうなるんだ」


 「後ほど」


 「判ったが心配で


 「そうですね。では暫くここでご一緒に。

 ただ、お顔は見えないようにここにカーテンをしますね」


 パーテーションのような衝立を出した。


 「収納?」


 「しっ。暗い方が良いでしょうね。窓のカーテンも閉めてください」


 「判った。これで良いか」


 「はい」


 「どの程度まで治るんだ?」


 (今は完璧とは言わない方が良いかな)

 「半年が経過しています。お目覚めになるまでは何とも」


 「目は?眼だけでも見えるように」


 「多分大丈夫だと思います。今は安静が必要です」


 「自分で起きるのか?」


 「はい。ご自身で起きますよ」


 「手は握っていていいか」


 「はい。このパーテンションの横から『俺はここに居るぞ』って、思いながら握っていてください。優しくですよ。

 その方が治癒効果が倍増しますし、アルミスさんも安心なさいます。

 ただアルミスさんがご自身で起きるまでは絶対に見ないで下さい。治るものも治らなくなる可能性が有ります」


 「解かった。言う通りにする。

 そしてありがとう。木こり君」


 「まだですよ。後程経過を見に来ますね」


 「ああ。頼む。

 アルッシュ」


 「入ります。失礼します」


 「木こり君をキッチンに。お茶を頼む」


 「あのっアルミスさんは。もしかしておなく


 「治療中ですよ」


 「すみません。こちらへ」




 

 「そこに座って」


 「はい。ありがとうございます」

 (よっしゃぁここでスキル変換。冒険者の対応)


 「俺が淹れるお茶はあまりおいしくないですよ」


 「お気になさらず。

 うぅぅん。美味しいですよ」


 「医療を施されたのですか?」


 「まぁそんなとこです。一つお伺いしたいのですが」


 「何でしょう」


 「短期の入国許可証なんて物はありませんか?」


 「あるにはあるけど期間のわりにお高いですよ」


 (あてずっぽうで言ったけど有るんだぁぁ。クラウスさぁぁん。聞いてないんですがぁぁ)

 「どれくらいの期間でお幾らですか?」


 「審査不要で昼までの三時間と昼からの三時間。金額は何れも金貨一枚。一切の返金はありません。

 それを過ぎると理由の如何に関わらず、問答無用で一族郎党処刑となります。

 それと購入を含めた商売の一切が禁止。

 これも直ぐに解ります。処刑対象ですよ。何をしに入る為の金貨一枚か判りませんよ」


 「一点確認ですが、商売でなく金銭の授受が無ければいいって事ですね」


 「えぇぇまぁそう言う事です。物々交換は同等価で黙認と言う形で認められています」


 「売って頂けますか?」


 「本気で言ってます?」


 「本気ですよ。はい。金貨一枚」


 「マルック隊長に


 「今は処置中。安静が必要です。何か有ればアルッシュさんの責任になっちゃいますよ」


 「うっ。分かりました。絶対にここへ帰って来てくださいよ」


 「勿論です。まだ死にたくありません。

 それにアルミスさんの経過観察も必要ですから必ず戻ってきますよ」


 「こちらです。この木札の水晶部分に指を置いてください」


 「こうですか?」


 「はい。これで木こり君の魔力が俺の帳簿に記載されました。

 三時間以内に返納されれば、発行記録以外何の痕跡も残りません。

 今から三時間です」


 「ありがとうございます。行ってきます」


 「はぁぁ隠す気も無く転移だよ」

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