先ずはヨハルジードから遠ざける作戦
「はい。唐突ですが、辺境伯の許可が下りれば、この集落の皆さんは引っ越しをする気は有りますか?」
「可能であればそうしたいです。お金はありません」
「レラウエアーさんは後程聞きます。
ゴートスさんとキャトルさんもそれでいいですか」
「そうだな。どうせ更地になっちまうんだ。金はねぇぞ」
「そこは問題ありません。
確認ですが、イサム陛下とサチ妃殿下に技術継承を受けたお方は何人居ますか?」
「約半数です」
「エルファサ女神様の件は伺いましたが、それは総意ですか?」
「はい。誰一人今在る教会を信じてはいません。全てがエルファサ女神様で帰結しています」
「それはCバッシュの俺が保証する」
「判りました。今度はレラウエアーさんです」
「はい」
「ズバリ聞きますよ。ヒスイスさん。ですよね」
「どうしてそれを」
「レラウエアー?ヒスイスって、ヨハルジード・リックス・ビャウミャウ辺境伯の次女」
「はい。奥様。隠していて申し訳ございませんでした」
「カルックスが何も聞くな。と、言って寄こして来たんだ。どうせ何かあるとは思っていたさ。
でもな。レラウエアーは俺の娘だ。誰の子でもねぇ。伯爵だろうが国王だろうが返しもしねぇし、誰にもやらねぇぞ。殺されたって離さないからな」
「旦那様ぁぁ
「だから何時になったら父さんって呼んでくれるんだよ」
「わたくしもお母さんて呼んで欲しいのよ」
「あぁぁぁぁ
「わたくしも何時になったらリルファンお姉さんと呼んでいただけるのかしら」
「わぁぁぁ
暫くして落ち着き。
「で、レラウエアーさん
「まだ、そちらの名で呼んでいただけるのですか?」
「勿論ですよ。背景をお話ししても?」
「マルコ様。それはわたくしから。旦那様。奥様。リルファンさん。実は・・・・
「バッシュ。店に居たやつか」
「そうなるな」
「レラウエアー。お前はその方をどう思っているんだ」
「優しいお方だった。それだけです。実際血の繋がりは有りませんので」
「良かったぁぁ。冷や冷やしたぜ。
マルコ君よ。俺はそっち方面はさっぱりなんだがよ。聞きかじりで放逐って言葉がるだろう。それにはならねぇのか?」
「それはまた別ですね。今、レラウエアーさんは十六歳。れっきとした成人女性です。
教育放棄や育児放棄にも当たりません。
家から放り出されたとしていても血族は維持されます。
ただ、血縁を切る方法は有ります」
「それは簡単か?」
「あなたぁ。レラウエアーの気持ちも聞かないと」
「だなぁ。伯爵と言う貴族のお嬢様だもんなぁ」
「マルコ様。こちらの家に入る方法を教えてください。もうあの屋敷とは関りを持ちたくありません」
「いいのかよ」
「旦那様はわたくしが
「いいからここに居ろぉぉ。ここがお前の家だぁぁ。宿屋が無くなったって食わせてやる」
「は はい」
「では、レラウエアーさん。協力して頂きますよ」
「はい」
「先ず第一夫人はあなたを産んでいないと言っています。
それはヨハルジード・リックス・ビャウミャウ辺境伯家の中では公然の秘密の周知の事実。
それであなたがマスミカットさんの奥さん。ネオプルーンさんの子供としたくないためにヨハルジードさんも妻のヤルベルさんも公的には認めています。
これができちゃうのが貴族社会。
それであっても、実子であることは認めたくないんです。いわゆる純血です。
貴族の出ではない小さな商家の三女のネオプルーンさん。一方ヤルベルさんは子爵の次女。
もし万が一、レラウエアーさんが伯爵級か公爵級に見初められると全てが調べられ、破談。辺境伯の名は地に落ちます。
だから、貴族社会の公の場からレラウエアーさんを遠避け、奉公に出したことにした」
「って事は何か。レラウエアーは辺境伯の屋敷に居ない方がいいって事か?」
「もっとです。出生届から居なくしたい。いわゆる戸籍から抹消したいんです。
ですが、当初は認知してしまった。
後から後悔したでしょうねぇ。幼いころから所作言動も美しく、学も有りとても美人さんになってしまって。で、家族総出で醜く育てようとした。
しかし、根が強いレラウエアーさんはその逆境すら励みに替え、キューレット王国でも指折りの優等生になってしまった。
本来は諸手を挙げて喜ぶところを学校を中退させ、奉公に出した。
それでレラウエアーさんをヨハルジード・リックス・ビャウミャウ辺境伯の戸籍から抹消する方法が有るんです。
ですが、ゴートスさんとキャトルさんの気持ちの上での協力が必要なんです。
確認です。聞くと腹が立つと思いますが、レラウエアーさんを救う最善の方法です。二度と辺境伯と関りを持つ事すら無くなります」
「マルコ君よぉ。さっきはああ言ったがレラウエアーが幸せになってくれるならそれでいいんだ。
それを近くで見守れれば最高だよ」
「わたくしもですよ」
「では言いますね。
ネオプルーンさんが産んだ子は実はマスミカットさんの子だった」
「うっ「えっ」
「実は当時マスミカットさん夫婦ではヒスイスさんを育てる経済力が無かった。で、お優しいヨハルジード様が認知した。
これだけです」
「へっ?「はっ?」
「「えぇぇぇぇ?」」
「なぁマルコ君よ俺でも無理じゃないかと思えるぞ」
「バッシュさん。貴族社会を舐めてはいけませんよ」
「いや、舐めちゃいないが、無理が有り過ぎるだろう」
「簡単ですよ。そこはその道に任せようと思いますがいかがですか」
「レラウエアーはそれで本当に幸せになれるんだろうな」
「初見の僕を信じてくださいよ、ゴートスさん」
「いや、初見が出ただけで、がた落ちなんだが」
「あなた」
「ああ。うん。で、誰に任せるんだ」
「本当のパパになって頂くこの方です。お入りください」
「あぁぁお前ぇぇ
「皆様。初めまして。ヨハルジード・リックス・ビャウミャウ辺境伯の執事を務めておりますマスミカットと申します。以後お見知りおきを」
「はぁぁ。ネオプルーンさんの旦那様でいらっしゃいますか」
「はい。ゴートス様」
「信用できるんだろうなぁ」
「エルファサ女神様の誓約書に従いわたくしは・・・
「いいですよ。解っていましたよね。リルファンさんも」
「わたくしはイサム・カミミヤ陛下とサチ妃殿下のご子息であらせられる偽名をマルコ様。本名をアイファウスト・カミミヤ王子殿下に忠誠を誓いました」
「「はぁぁやっぱりかよぉぉ」」
「あなた達」
「リルファンさん。傅く必要はありませんよ。お友達で居たいです」
「寛大な御心に感謝いたします」
「この宿全体を遮音結界を張りますね。
今度は僕の方を見て、傅いてください」
「「「「はい」」」」




