英雄両親の兄妹を手助けするマルコのお仕事
「おめぇも小さくて覚えちゃいねぇだろうし、クソ教会に教わった事を信じているだろうがな。
いいか。よぉぉぉく覚えておけ。
悪いのは全て。全部。何を何処から見ても、わりぃのはみぃぃんなマッドジョイとザイスター。それと教会だ。
いいか。これは確定事項だ。
学のねぇ俺ではうまく説明できねぇ。だが、イサム陛下とサチ妃殿下に。エルファサ女神様には罪もねぇし怨んでもいねぇ。
お三方を悪く言うなら殺すぞ、解かったかぁぁ」
「ごめんなさい。悪く言うつもりは無かったです」
「しゃぁねぇよ。みんな騙されているからな。
アイファウスト王子も可哀そうにな。何処で何をしているんだろうな。
生きていれば息子様のアイファウスト王子に感謝したいよ。
何も無い空に向かって感謝するしかないからなぁ。
せめてアイファウスト王子殿下にご両親の偉業とエルファサ女神様を身近にしてくれたことのお礼が言いたい。
いいか。俺達三人。イサム陛下とサチ妃殿下。エルファサ女神様を怨んだことなんか一度もねぇ。
ここの近辺に住んでいる奴ら全員だ。解かったかぁ
「お兄ちゃん」
「ああすまない。
ただここで誓え。イサム陛下とサチ妃殿下。エルファサ女神様を罪人にしないと」
「はい。誓います」
「よぉぉく十年前の事を勉強しろよ」
「はい」
「でよぉ。これは仕舞っておいた方が良いか?」
「収納は有りますか?」
「ほんちょっと。これぐらいなら入る」
「では、仕舞っておいてください」
「そうする。この文字が読めるんだぁ、すげなぁお前」
「ありがとうございます」
「それで、お姉さんは?」
「ああ。ごめんね。お姉さんじゃなくてお兄さんなんだ」
「嘘ぉぉ」
「本当だよ」
「で、パンを焼くのを手伝ってくれねぇか?」
「勿論、いいですよ。でもパンを売ればお金になるのでは?」
「俺、冒険者。販売許可が下りねぇ。水は闇でやっている。だが、パンはそうはいかねぇ。
食料品を牛耳っている奴らが居るからな」
「で、お兄さんがパンを手伝えば?」
「俺には向いてねぇの。
でよ。パンの配布を始めたのが半年前。ここの家主の婆さんが手伝ってくれていたんだが一週間前に亡くなった。
そのままここに住んでいいと言われて今だ」
「なるほどねぇ。パンとお水は在るから何とか生活が出来ていると」
「まぁな。ただ、もう直ぐ薪が無くなる。そうなれば終わりだ。で、銅貨一枚でも欲しかった。一日で四、五枚だがな。
ここの税金も払えねぇ。出て行くしかねだろうが住むとこも無い。
どうしたもんかねぇ。で、手伝ってくれ」
「銀貨五枚が有ればなんとかなるのでは?」
「さっきも言っただろう。冒険者に配られる。
ここの住民は搾取される側。
俺達を可愛がってくれるお礼で内緒で俺が払っている」
「そう でしたか」
(滅茶苦茶良い人だったぁぁ)
「お兄ちゃん。名前言った」
「おお。そうだな。俺はバッシュ」
「私はメルーナ。十一歳。宜しくです」
「僕はマルコ。十五歳です。宜しくお願いします」
「お前十五歳なの?」
「幾つに見えました?」
「十二、三。妹と変わらないのかなと。怖くねぇから声かけた」
「何ですかそれぇ。誘拐じみたような事してぇ」
「いや、メルーナに友達が居なくてなぁ。吊り合うかなぁと思って」
「男がいいねぇは何だったんですか」
「あの石臼で小麦を挽いて、パンをこねるぐらいの力はあるだろう」
「石臼で挽くのはバッシュさんがやれば?」
「メルーナがよう」
「お兄ちゃん力強過ぎて早過ぎてうまくパンに出来ないの。手加減も出来ないし」
「面目ねぇ」
「なるほどです」
(『麦を挽くのが嫌?
そうですかぁ。人が生きる基本的衝動。食事。その主食たるパンの麦を挽くのが嫌?
魔法で?
何を仰るかと思えば、麦を挽く強弱も解らずに・・ああ。前世で麦を挽いていらしたと?
知らない?
おいたわしやぁ。冒険者のZランクにも劣りますなぁぁ。諦めた方が良いのでは?』
あぁぁクラウス様ぁぁ。反抗してごめんなさいぃ。
勉強しておいて良かったと。本当に良かったと。きのうからつくづく思っておりますですぅぅ)
「お兄さん?」
「ああ。ごめんなさい。石臼が久しぶりで
「久しぶり?お前、何で挽いていたの?」
「魔法」
「すげぇぇ。魔法ってそんな事も出来るの」
「はい。ですからあの南京袋も一瞬ですよ。
直ぐに取り掛かれますよ」
「私、優しいマルコお兄さんとならお友達になれそう」
「ありがとう。でもね僕は旅人なの。またいなくなっちゃう」
「そう なんだぁ。仕方ないよね。
パン焼くの手伝って」
「はい。取り掛かりましょう。
それで石臼で挽くことも可能だけど、今言った通り、お兄さん魔法が使えるの。
使ってもいいかな?」
「うん。いいよ」
「何個ぐらい焼くの」
「今日は一週間ぶりだから、五十個ぉぉ」
「頑張ろぉぉ」
フランスパンの形状で長さ三十センチほどのふっくら軟らかパン五十個が焼き上がり。
「お兄さんのパン。やわらかくてやさしいぃいい香りぃ」
「本当だな。俺の粉の時とは雲泥の差だ」
「ありがとうございます。
(うおぉぉめっちゃ嬉しいぃぃ)
こふぉん。
メルーナちゃん。
僕が収納を持っているから、全部持っていけるよ。どうしようか」
「お願いします」
「はい」
「それでぇぇ。配る場所わぁ
(なんか来ましたね。取り敢えずは静観)
〚おいっ開けろぉぉ〛
「お客さん?」
「お兄ちゃん」
「待ってろ。
何か用か?」
「ここに。いらっしゃったぁぁ。
マルコ様。何をなさっているのですかぁ。全然出て来られないので心配致しましたよ」
「何方でしょうか?」
「これは失礼いたしました。
私、ヨハルジード・リックス・ビャウミャウ辺境伯の使いの者でフリードッシュと申します。以後お見知りおきを」
「それでフリードッシュさんは僕に何の御用でしょうか?」
「ヨハルジード・リックス・ビャウミャウ辺境伯がお屋敷でお待ちですので
「お引き取り下さい。僕は僕が行きたい時に行きます」
「それでは困ります。辺境伯もお忙しいお方。
今この機会を逃しますといつ会えるか判りませんよ」
「僕が何時ヨハルジード・リックス・ビャウミャウ辺境伯に面会を打診しましたか?」
「お会いになった方が
「僕が面会を望んでいると言いましたか?」
「そうではございません
「僕にも仕事が有ります。お引き取り下さい」
「仕方ありません。強引にでもお連れ致しますよ」
「強硬手段ですか?」
「はい。Aランクの冒険者を揃えました。来て頂きますよ」
「それで僕が怖気づくとでも?」
「こうすればどうですか?」
男が一人扉を蹴破って入って来て。




