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 パナイジーに向けての街道敷設計画

 ララヴールは魔物討伐の労を労ってから、東門の少し南に砦に接合した高さ五メートルの直径四百メートルほどの半円の砦を造り、その中に十二畳の洋間を供えた2LDKの間取りの三階建て三十部屋二棟を建てた。

 その中に王都の移住者八店舗の店を出し、ジード村の者達が店番をする事になった。

 移住も速やかに終わり、暫くそこで暮らす事になった。


 その夜、教会の神官長室に集まった木こり、ハルサーラ、ガルカク兄妹、セルファン。

 それぞれがソファに掛けカスミナとセルファンが給仕を務めた。


 「ハルサーラ様。お話しとは?」


 「木こり様。キューレット王国のエイジット隊が居た砦の確認が必要かと思います」


 「何故でしょうか?」


 「ここの東門を抜け、南下。エイジットたちの村を通り街道の敷設計画を絶対お持ちですよね」


 「バレていましたか?」


 「もう顔にルートが浮かんでいますよ」


 「えぇぇぇ


 「袖で拭っても消えませんよ」


 「何でぇぇ


 「木こり様。ハルサーラ様の御冗談ですよ」


 「もうセルファンなんか嫌いです」


 「あちゃぁぁ。楽しんでおいででしたか」


 「えぇぇ?」


 「それでどうなんですか?」


 「思いっきりそう思っています。明日からとは思っていませんが」


 「先ずは砦の町。パナイジーを確認した方が良いでしょう。

 ガルカク。辺境伯の名は?」


 「ヨハルジード・リックス・ビャウミャウ辺境伯。妻がヤルベル。

 嫡男で長男のサラレタ、二十五歳。その妻シイナス二十三歳。シイナスはカルクスッタ商会の次女です。

 サラレタの妹イジシス十八歳。噂ではカルクスッタ商会の長男と許嫁とか。

 その妹ヒスイス十六歳独身。実子ですがどこかに奉公に出されたようです。

 こちらが今回エイジット様からお聞きした内容です。鮮度は一か月前。メモはこちら。

 以上です」


 「カルクスッタ商会の方は?」


 「規模はキューレット王国の西半部に店を展開。砂漠や山岳地帯。荒野が多いのでもっぱら国の中央付近と西から北への街道筋の町です。

 商材は何でも屋。

 ただ裏家業があるようで金や宝石類の盗掘。後は人身売買ですね。確約は取れていません。

 それとエセ教会と懇意の仲のようです。

 これは我々が二年ほど前に訪れた時の情報です。古いかもしれません」


 「行くにしても事前情報がもう少し欲しいですねぇ」

 (もしかしなくても一人旅の予感がプンプン。

 もう少し、おとなしくしていよぉぉっと)


 ハルサーラが。


 「ガルカク。理由を付けて入国は可能?そのチョーカーが有るから他国への入国時に単独行動は出来ないけど」


 「その前にここが入出国禁止ですが」


 「問題無いわよ。東門は出入り自由になっているわ」


 「お三方とも私の奴隷を辞めて、チョーカー外します?」


 「主は何を言っているのでしょうか?絶対に嫌です」


 「カスミナさん?」


 「これは主との大切な絆。お嫌いになられたのですか?」


 「いえいえその様な事は全く思っていませんよ。便宜上で」


 「木こり様。チョーカーを勝手に外してなりませんよ。

 ギルドカードに記載が残りますから」


 「そっちも」


 「何がどうこうではありません。嫌です」


 「判りました」


 「今度外すって言ったら嫌いになっちゃいますからね」


 「えぇぇ」


 「カスミナに嫌われたらミレッシュちゃんやメルスちゃんも警戒して・・・ああ。アイファル姫様も近寄って来なくなるでしょうねぇぇ」


 「ハルサーラ様ぁぁ」


 「わたくしも嫌いになります」


 「セルファンさぁぁん。分かりましたぁぁ。もう外すって言いませぇぇん」


 「主ぃぃ「木こり様ぁぁ」」


 「あぐぅぅ。だきちゅくんれすか?」


 「「逃げるから」」


 「にげまふぇんよ」


 「二人共。一旦離れなさい」


 「「はい。一旦 離れます」」


 ハルサーラが。


 「ガルカク」


 「はい。サホタブルの武具の師匠がパナイジーに居ます。

 あいつも木こり様のお役に立ちたいと懇願して来ています。

 適当な理由を考えさせましょうか?」


 「そうね。ギルドカードには主の名前は出ていないものね」


 「あぁ僕のカードだけ?」


 「そうなっていますよ。

 ただ何かの拍子が有ると困りますので、主から依頼を受けたサホタブルの護衛にしておくといいわね」


 「判りました。その線で考えましょう」

 (あぁ一人旅がぁ・・・現地で散開。これだっ)


 「後程話ししに行って来ます。喜びますよ」


 「お願いいたします。

 ハルサーラ様。移動に少々時間を有しますが」


 「五人で一気にパナイジーの砦までは無理よねぇ」


 「五人?」


 「木こり様。サホタブル。ガルカク兄妹」


 「人数に問題は有りませんが、僕も転移場所が判りません。一旦飛んで行かないといけません」


 「飛行は何人までですか?」


 (おお。来たぁ)

 「一人で


 「「「「「「ダメです」」」」」」


 「あうっ」


 「何人ですか?」


 「僕より軽い方でお一人なら経験が有ります。お姫様抱っこになってしまいますが」


 「はいっはいっ。あたし。あたししかいない」


 「そうねぇ。セルファンは?」


 「体重を晒したくは有りません。仕方ないですが戦闘も出来るとなるとカスミナさんしかいないでしょうねぇ」


 「やっふぅぅぅ


 「時間はいか程?」


 「二時間あれば余裕ですね。夜ですから町の灯が有って丁度いいです。真南に下ればいいだけですから」


 「マスケット兄さん。あたし臭う?」


 「いいや。別に臭わないけど。何で?」


 「ばっかぁぁ。言わせる気ぃぃ


 「痛ったぁぁい。腕が折れたかも。回復回復」


 「はぁぁ。木こり様。妹が風呂に入ってからでもいいでしょうか?」


 「そのままでも


 「「「お風呂」」」


 「はい」

 (女性陣が怖い)


 「カスミナ。わたくしとセルファンで入りますよ」


 「はい」


 「木こり様。一時間後です。仮眠でも取っておいてください」


 「はぁ?」




 執務室でカスミナをお姫様抱っこして、窓から転移で一旦エイジットの村の上空まで転移。

 そこからドラゴンを警戒するため上空二百メートルほどを飛行。見晴らしのいい所は有視界の転移で南下した。


 「カスミナさん。一応防御系の魔法は掛けていますが寒くはありませんか?」


 「はい。主が暖かいです。幸せでぬくぬく」


 (く 首にしがみ付き過ぎ。それにお顔が近い。いい香りもするぅぅ。きんちょぉぉ)

 「よ 良かったです。もう半分ほどは来たみたいです」


 「もっとゆっくりでいいですよ。このままがいい」

 (ハルサーラ様達に好きって言っちゃダメって言われたけどぉ。主が好き)


 「えっ?」


 (声に出ちゃった?)

 「右」


 「あらぁぁドラゴン一体。右方向距離二キロ。

 良く気付きましたね。ありがとうございます」

 (好きって聞こえるわけないですよねぇ。危うく自惚れ主で大恥をかくとこだった。緊張して注意散漫。警戒がおろそかに)


 (嘘?)

 「えぇぇぇ?」


 「少し開けました。今は交戦したくありません。少し高度を上げて、一気に有視界転移」


 「ドラゴンのあほぉぉ




 森が切れて一キロほど先に松明が焚かれた砦が見えてきた。

 森の切れたところに着地し。


 「カスミナさん着きましたよ」


 「少し足がふらつきます」


 「ではこのままですね」


 「はい」


 「門両端の壁よりひときわ高いところが監視の櫓でしょうか」


 「そうです。今日はテントが七か所ほどありますね。

 閉門に間に合わなかったのでしょうね」


 「話し聞いてみます?」


 「この先はあたしたちの仕事ですよ。主」


 「少し話しを聞くぐらいなら


 「ハルサーラ様に止められています。

 ワンちゃんが歩くと棒に当たるからダメって」


 「ワンッ」


 「地点情報は取れましたか、ワンちゃん主」


 「はい。何時でも転移でここに来れます。

 街道から離れていますので問題ないですね。安全地帯の設定も完了です」


 「ゆっくり戻りましょう」


 「そうですね。転移」


 「えっ?あぁぁぁ部屋に戻っちゃったぁぁ


 「お帰りカスミナちゃん。降りましょうねぇぇ


 「セルファンのいじわるぅぅ




 その後、木こりはガルカク一行をパナイジーの砦に送り届けた。が。

 木こりの部屋のベッドの上。胡座をかいて腕組みで。


 (うぅぅん。やっぱり一人歩きがしたい。盾と矛の時は迷子が主任務になっていたからなぁ。

 ええ。買い物に夢中になり過ぎて迷子になったんですよ。で、帰りたい一心で更に迷子。観光でも無かった。

 散策と言う任務で町を見てみたい。

 かなり自信も付いた。反復練習は必要ってクラウスも言っていたし。うんうん。

 お伺いを立てたら『ダメ』って、絶対言われちゃうだろうなぁ。

 今日行ったら絶対パナイジーに行ったってバレバレ。

 今日は寝ようっと)


 扉の隙間から中を覗くハルサーラとセルファン。


 「お休みなりました」


 「そのようねぇ。素直過ぎるのも疑問が残るわね」


 「わたくしが添い寝を


 「あなたがそれだけで済みそうにないから却下」


 「あうぅぅ。ダメでしゅか?」


 「あなた経験は?」


 「無い です。アイファウスト様も?」


 「エルファサ女神様が無いと仰っています。それに一番は女神であるわたくしとも」


 「諦めます。エルファサ女神様の後でしたら?」


 「さぁぁ、どうでしょうかぁぁ


 「あのぉぉ。途中から声の大きさが普通で丸聞こえなのですがぁぁ」


 「あらぁぁ」

 「おほほほほ。聞こえていましたかぁ」


 「はい。経験の有無からぁ」


 「では、ごゆるりとぉぉ。お休みなさいませぇぇ」


 「主様。お休みなさい」


 「お休みなさぁぁい」




 廊下を自室に向かって歩きながら。


 「ハルサーラ様。おとなしく寝ていらっしゃるでしょうか?」


 「あの雰囲気は怪しいわねぇ」


 「部屋の外の警戒も含めて誰か付けた方が宜しいのでは?」


 「そうよねぇ。でも、今は居ないよねぇ」


 「ガーリッシュ達は?」


 「シュベッタが危ない」


 「なるほどぉぉ。食べちゃいますか?」


 「食べる気満々よ」


 「そう言えば侍女とか執事はお付けにならないのですか?」


 「クラウス様に勝る執事が居るとでも?

 侍従を付けるにしても制御が出来ない」


 「ですよねぇ」


 「取り敢えず明日、みんなで考えましょう」


 「はい。ではわたくしは階下で妹と寝ます。って、本当に自室を頂いて良かったのですか?奴隷ですよ」


 「アイファウスト様のご厚意を無下にすると?」


 「お休みなさい」


 「はい。お休み」

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