第1話
「おい、おきろ、おい」
んん、目を開くと目の前に山本君(仮)の顔がありその後で鈴木君が震えていてさらに後ろに人がいっぱいいた。
女子なら(山本君から後ろをのぞけば)最高の目覚めかもしれないがあいにく俺は男なので人生で4番目くらいに最悪の目覚めだった。
「ああ、どうも山本君」
ついに確認しないまま名前を言ってしまったようだ。
「誰が山本だ、俺は伊達 光輝だ」
「ごめんごめん、山本 光輝君」
「だから伊達って言ってるだろう」
ふっ、男には譲れない物があるのさ。
「あのー、すいません」
ローブを着た18くらいの少女が話しかけてきた。
「どうしたの」
「え…いや…あの」
おお、これが数々の女を落とした山本スマイルか。
「ひ…一人しか召還してないはずなのに。
ど…どなたが勇者様ですか?」
「山本君です」
「おい、青夜勝手に俺を勇者にするんじゃねえ」
いいじゃん
「違う、勇者は僕だ」
空気になっていた小太りの鈴木君(仮)が名乗りを上げた。
その勇気には拍手してあげたいが。誰がどう見ても山本君と鈴木君では山本君が勇者だね。
俺?俺は論外だよ。だってやる気ないもん。
「おい、藤野出しゃばってんじゃねえよ」
なんと失礼な彼は鈴木君のはずだ。
「はっ、僕は勇者になるんだ君なんかもうこわくないぞ」
おい、鈴木君まず名前の誤りを訂正するべきだろ。
「あのー」
ローブさんが話しかけてきた。
「かっこいい方が勇者さまですよね」
哀れ鈴木君疑問系ですらなくこの人断定しているぞ。
「ああ、召還と言う事はここは違う世界なんですよね」
「すいません」
「まあ、そこはどうでもいいんだけど」
「どうでもいいのか!」
山本君うるさい。
「俺らの世界ではそういう仕組みがなかったんでとりあえず試験かなにかしてみてそっちが判断してもらえます?」
「わかりました、着いてきて下さい」
「おい、何勝手にしきってやがる」
ふむ、いじめられっこも異世界にくるとこんなに変わるのか。
「黙ってろ、藤野」
「うるさい、僕に指図するな」
口喧嘩はいいのだがそろそろ周りの人の目が痛い。それに誰も着いてこなくてローブさんがおろおろしている。
「とりあえず、ここで言い合っても始まらないからいこうぜ」
「わかったよ」
「ちっ」
これからどうなるのやら