第18話 司馬章の賭け
司馬章は全身を殴打され、ついに吐血していた。魏匠はそんな司馬章を嘲笑う。
「ガハハハ!諦めて死んだらどうだ!」
魏匠の挑発に反発する余裕もない。司馬章はひたすら息を吸って吐いて立ち尽くしていた。
「まだ戦うっていうならよぉ、まずは両腕を握り潰す!」
なかなか反撃に出ない司馬章にしびれを切らしたのか、魏匠は司馬章に飛び掛かった。そして彼の両腕を掴み、今にも握り潰そうとしている。司馬章は脚で魏匠の腹を蹴り上げようと脚に力を入れたが、なかなか持ち上がらない。
(足が…動かない…!)
「おっと、そのボロボロの足で俺を蹴れるとでも思ったか!」
司馬章は脚の動きも気づかれ、万策尽きたと言わんばかりの表情で目を閉じた。
「ガハハハ!打つ手はなさそうだな!」
魏匠がいよいよ司馬章の腕を破壊しようとしたときだった。
「手を潰したいからって、手ばっかり見るんじゃねぇよ!」
司馬章はそういうと、自らの思超で頭を発火させ、そのまま魏匠の額に頭突きを入れた。
(喰らえ…メラメラに燃えた俺の頭蓋を!)
魏匠は図太い悲鳴を上げ、とっさに司馬章の腕を離した。少し下がると、自分の手で顔に近付いた炎を掻き消した。
「まさか顔面に火を喰らうとは思ってもなかっただろう」
司馬章は一瞬の安心感に浸ろうとしていた。だが、魏匠は顔を守り終えると、こちらを睨みつけた。
(…!!まったく燃えていない…!?)
あんなに近くで炎を当てられたのにも関わらず、魏匠の顔はまったく燃えていなかった。強いて言えば、額が少し黒く焦げているくらいだ。それほど、彼の皮膚は硬かった。
「よくもやってくれたなぁ」
そんなことを言いながらも、魏匠は笑っていた。
「おい、てめぇ…名前はなんという」
「俺の名は司馬章。祖父を殺した天上王真理公子に復讐を誓う者だ!」
「そうか司馬章!てめぇはなかなか面白い奴だったぜ!だからこそ、ここで潰さねぇとなァ!」
「…来い!魏匠!」
魏匠は両腕を金棒に変形した。そのまま、司馬章の放つ火の玉を次々と掻き消しながら彼に迫っていく。
「まずい!"炎射"だけでは効果がない…!」
「ガハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
金棒が切る風でさえも、司馬章には十分なダメージに感じた。いよいよあのおっかない金棒が迫ってくるのだ。魏匠の狙いは司馬章の顔。その金棒と化した両腕で挟むように顔面を粉砕する気だ。
そして魏匠は顔面の高さで金棒の腕を内側に振り閉じた。
「"食我硬"!!!!」
これこそが魏匠の奥義とも呼べる"食我硬"である。この技の餌食になった物質は、大抵が奥までヒビが入るほどに損傷し、生物の場合は跡形も無く身体が粉砕される。
司馬章にまだ策はあったのかも知れない。だが、このときの司馬章は恐怖心が強かった。




