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転生転移者の英雄譚  作者: 7氏
第1章 望んだ日々と願う未来
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第10話 知能は扱う者次第

「おぉ〜ひろーい!なにもな〜い!」


全体的に白く、真新しそうな印象を与える内装の家に響いたのは、今日も今日とて元気が尽きない妹の声だ。


「ふふっ。何も無いのに楽しそうにしてるわよ?やっぱり子どもはこう出ないと!ね、真夜?」

「う〜ん、人それぞれ。俺は遠慮しておくよ。」


正直、子供の意識に寄せられている感覚はあっても元が大の大人であるため、この程度で騒ぐのは流石に恥ずかしい。

ただ、今の言葉は単なる言い訳ではなく本心から来るものだ。真昼の勢いによってどうしても興奮より微笑ましさが勝っている。


「さて、必要なものを運び入れるか。今日中にある程度は住めるよう、整えておかないとな。」


そう言って伸びをし、肩を軽く揉んでいるのは少し厳つい顔をした、人によっては男前と表現されるであろう父だ。どう見ても喧嘩前のヤンキーにしか見えない。


「運び入れると言っても、もう部屋の中に業者さんが持って来てくれてるんじゃないの?」

「まぁだいたいはそうだが、車にまだ少し積んでいるんだ。ちょっと取ってくる。」


現在、家は元々住んでいた一軒家をリフォームするための引越しの最中だ。

建築技術が発達し、昔よりも遥かに短い時間で改装出来るが、今回はかなり規模の大きい改装を行うようで、これから数年はこのマンションの一室で暮らすことになる。


「真夜ちゃんたちはどうするの?手伝ってもらう?」

「う〜ん、それなりに大変だろうし、子供には任せられないだろうな。バーベキューの買い出しにでも行ってもらうか。」


このマンションは元の家からそこまで離れたところにはない。流石に一戸建ての住宅街からは出ることになるが、十分歩いて行ける距離だろう。


「買い出し…。初めてのお使いね♪ 大丈夫かしら?」

「真昼1人だと少し…いや、かなり心配だが真夜がいれば問題ないだろう。」


引越しした事によって、隣に住んでいた仲の良い幼なじみである雪と関係が変わる、なんてことはなく今日は雪の家族である白波瀬家と一緒にバーベキューを元の家の庭で行う予定だ。


「真夜、聞いていたな?」

「うん」

「真昼ちゃ〜ん!こっち来てー!」

「なに〜?」


買い出しお願いね?と母がどこからともなくエコバックと財布を取り出す。

お使いをすることに問題はないが、初めてのお使いで7人で行うバーベキューの食材を買ってこい、とはなかなか難易度が高い気がする。


そこら辺を加味して父は真昼だけだと心配と言ったんだろうけど、子供に頼む内容ではないし、俺がいれば安心ということもないだろう…普通


真昼は母から、お願いと言われたことが嬉しいのかエコバックを持って、早く早く〜と急かしてくる。

その姿を見ただけで納得がいかなくモヤモヤした心が晴れていく。


結局、仕方ないなとため息を吐きながら心做しか元気度が上がった妹の後を追いかけた。




❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖




買い物の場所として選んだのは家から最も近い位置にあるスーパーマーケット。

BBQの食材を買うのであればコンビニだと品数が少なく欲しいものが揃わない、かと言ってデパートや大型ショッピングモールだと人が多く面積も広いので万が一真昼と逸れると探すのに時間がかかる。

選択肢はほぼないようなものだろうと思っていたのだが…


「人多いね!」

「だなぁ〜…」


家は駅から離れたところにあり、このスーパーも駅近とは言えない場所に位置している。

ただ元々が都心近郊の都市なため住民が多く、住宅街近くに位置するここも例に漏れず買い物客が多いらしい。


「おにく♪おにく♪おっにっく〜♪」

「真昼、お肉食べたいのは分かるけど野菜も買おうね。」


人は多いが逸れる程でもないため買い物は順調に進んでいる。

1つ懸念があるとすれば入り口付近にあった野菜コーナーをとばして生鮮食品のコーナーで買い物が続いていることだろう。


「おにく♪おにく♪おっにっく〜♪」


どうやら俺の声は聞こえていない様だ。

とにかく欲しいものをどんどん買い物かごへ入れていっている。


「まぁ…大丈夫か。」


あまり別れることはしたくなかったため俺も同じ場所にいるが、長い間お肉とにらめっこしている真昼を見て俺は野菜を選びに行くことを決める。


もし肉を選び終えてもその次が加工食品のコーナーだ。ソーセージ、ハム、ベーコンなどBBQ定番の食材、しかもお肉だ、真昼が選ばずに通り過ぎるとは思えない。


身長が低いためか何度も人とぶつかりながら何とか野菜のあるコーナーへと移動する。


「さて、どれ選ぼうか…」


BBQ定番のものや必要なものなど知ってはいるが、実を言うとBBQをした経験はほとんど無い。

数少ない経験も学校のイベントなどであるため何が合うのか分からず、また個人的に好きなものもない。


そんな無い無い状態の奴が下手なもの選ぶのは良くないだろうと、定番のものという無難なチョイスをかごへ入れていく。


そもそも今世ではBBQなんてやった事ないし、と考えたところで嫌な予感がした。


そういえば真昼が選んでいたのは「BBQ用」と書かれていた肉だけだった。そして加工食品のコーナーに「BBQ用」と書かれているだろうか。


買い物する手を止め、生鮮食品のコーナーへ走る。

こんな時間に買い物行かせるな、と両親への愚痴を唱えながら何とか辿り着いたがそこに真昼の姿はない。


真昼にBBQの知識があることを祈って隣の加工食品のコーナーを見るがやはり姿は見えない。


「はぁ…面倒なことになったなぁ」


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