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点
何が起きたのかわからず、
不安の言葉も思い浮かべれなかった私は
ただただ祖母と待つしかなかった。
どんなふうにその後を知ったのだろう。
覚えているのは
"頭にヒビが入ったからしばらく入院する"
誰から聞いたかわからないこの言葉だけ。
あんな大きい音がしたけど
"治るんだ"
と安心した時のホッとを今も越す事はない。
入院
どんな生活が待っているのか想像がつかなかったが
母と妹に会えない事はわかった。
祖母と父親との生活
普段は母と妹と多く過ごしていたから
リズムが変わる事がなんとなく想像がついていた。
、、、
記憶ってこんなにすぐ薄くなるものなのでしょうか。
祖母とたまに二人乗りで病院へ行って
椅子に座った母と点滴に繋がれた妹がいて
少し会話して帰り際に病院の方を向いて毎回泣いていた
この風景だけが鮮明に残っている。
幼稚園へ行っていた?
何をしていたのか全く覚えてなくて。
大人になってアルバムを見たら
私だけ違うトレーナーを着ていて。
どうやら持たせてなかったらしい。
(ふーん、)
それくらい。
その頃からかな、
遠くの点を見つめる私の癖が始まったのは。