婚約破棄、冤罪、追放の『第三王子ハットトリック』を、悪役令嬢はざまぁで止めたい
1000文字以内の2分ぐらいで読めるやつです
「オーホホッ! 揺れる縦ロール髪、悪役令嬢ですわよ!」
「ここに宣言する! 平民上がりのお転婆令嬢大好き!第三王子である!」
「その宣言どうかと思いますわよ……」
「ちょうどその件についてだ、悪役令嬢。俺はお転婆令嬢を愛してしまったのだ……故に、悪役令嬢、そなたとの婚約破棄を宣言する!」
「ええっ、王子、蒟蒻がピンチですの?!」
「それは、蒟蒻危機だね令嬢……一体、何の話を聞いていたのだね」
「改めて、悪役令嬢。そなたの悪行はお転婆令嬢から聞いている! よって、そなたを罪に問わねばならない!」
「そんな……私は……私は、ぜんざいですわ! 結構好きですわ!」
「それを言うなら、冤罪だな令嬢……いつ私はそなたの甘味の好みを聞いたのだ」
「地域によっては粒あんかこしあんかで、ぜんざいとお汁粉と呼び分けるそうよ」
「豆知識まで出てきたこの令嬢」
「小豆だけに豆知識。王子、うまい!」
「やかましいわ!」
「ええい、埒が明かない! もう顔など見たくないわ! よって、そなたを追放の処分とする!」
「お、王子、お情けを……! あんな円盤型で異星人が乗っているとされる乗り物に乗りたくないわ!」
「それは、UFOだな! 令嬢ッ!」
「私、異星人は存在していると思いますが、円盤型の乗り物は否定派ですの」
「都市伝説の詳しい棲み分けへの食いつきが凄い」
「あら、秘密裡に異世界から人を召喚してる王子こそ詳しくなくて?」
「令嬢、途端に怖い事言い始めるのやめて」
「しかし……秘密を知っていただと……うおっ! 兵士達! 俺を囲って……俺を誰だと思っている!」
「蒟蒻危機からUFOのぜんざい。フフフ……王子、今度は私が断罪する番ですわよ!」
「なんか都市伝説の食べ物みたいだけど……クッ、そなたどうするつもりだ!」
「お陰で王子を追い込む事が出来たわ……。兵士の皆様~お手を拝借~!せーえの!」
『断ー罪! 断ー罪! 断ー罪!』
「物騒な万歳三唱だなッ!」
「王子。私、貴方様を愛しておりましてよ。それなのに貴方様は」
「令嬢……そなたの気持ちを考えず……その、すまない」
「よろしくてよ。この茶番も、貴方様のお心が私に戻ってくると願ってやった事ですもの」
「……ありがとう。この絆、心に刻もう。料理長、祝いだ! 令嬢に今夜は七面鳥を振舞おう!」
「それは、今夜食うターキー、こんやくたーきぃ、婚約破棄!王子ッ! お前反省してねえな!」
「令嬢、私の好みは最初に言ったはずだよ! アーハッハッ!」
評価、ブックマーク、ご感想大変ありがとうございます。