23歳
作者の実体験の話になります。
男は、7年前のことを思い出す。
初めて好きなった人、初めて恋と自覚できた人、初めて付き合った人。
当時腰抜けで自尊心が低く引っ込み思案だった少年に1人の女子生徒は告白をした。少年はただひたすらに喜んだ、自分が初めて恋愛と自覚した相手に、好きだと言ってくれた。
その日から一年半、一緒にいたいという己の欲のためにあえて成績を落とし受験校を下げて入学した高校で、少女は彼に告げた、『他に好きな人が出来たの、こっちから告白しておいてごめんね、』
彼は、少年は、今までに無い衝撃を受けた。
今まで一途にひたすらに愛してきた恋人に突如告げられた別れ、しかし少年は止めなかった。
少年は心のどこかで気付いていた、彼女の気持ちがどこか遠いところを向いていると、自分ではなく他の誰かを見ているということに。
好きな人の選んだ道は止めたくない、少年は新たな旅立ちを決めた想い人を応援することに決めた。
それを本当にこれで良かったのか、もしかしたらここで止めればまた自分を見てくれるかもしれない、まだこの関係を続けられるかも知れない。その思いが少年の脳によぎる。
しかしそれと同時にもうひとつの思いが駆ける。
ここで止めても恐らく彼女はもう振り向いてはくれないだろう、仮に止められたとして果たしてそれは自分が求める楽しく幸せな関係なのだろうか。
元々自尊心が低かった少年は今回の出来事で更に低くなっていたのか、
自分なんて止めたところで困らせるだけだ、これほどまでに執着していればむしろ嫌われるだろう、嫌われるくらいなら、新しい相手と幸せになって自分のことなんて忘れて存在すらも認知しないで貰いたい。
少年は再び己の心を自らの手で鎖で縛り付けた。
そんなことを思い出す男は恐らく今でも、その想い人の幸せを願い続けているだろう。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
ただ吐き出し口が欲しかっただけですが気に入って頂けたら幸いです。