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第80話 甘やかされて

 眠れないと思ったのに熟睡してしまった。

目が覚めて横を見るとモニカ狼とルイス狼が丸くなっていた。共有キッチンから物音がするのはウィルコだろう。


── 喉が渇いたな。


 枕元のローテーブルに水差しがある。モニカたちを起こさないように…と思ったらモニカ狼が頭を上げた。


「お水?」

「うん」

 人型に戻ったモニカが水を飲ませてくれた。


「ありがとう」

「腹は減っていないか?ウィルコがフルーツを取り寄せていたぞ」

 いつの間にかルイス狼がモニカの隣にいた。

「後でもらうね、ありがとう」

 水を飲んだら満足して、もう一度眠った。



 再び目が覚めた時、側にモニカ狼がいた。

「目が覚めた?」

「うん」

「少しすっきりしたようね、もう少し眠る?」

「ううん、今は眠くない」


 モコモコにされてリビングに運ばれた。生前は172cmだったのでちびっ子扱いが恥ずかしい…ちょっとだけ嬉しいような気もする。


「カレン、起きたのか?」

「さあどうぞ」

 ウィルコが冷たいお茶とカットフルーツを持ってきてくれた。

「取り寄せてくれたんだって?ありがとう、いただくね」


── マンゴーうま〜!

よく冷えてジューシーで甘ーい!うまーい!

「美味しい〜」

 ルイスとウィルコとモニカが保護者っぽくて恥ずかしいよ。みんな見過ぎ!


 完食したら3人とも安心していた。食後はモニカ狼に抱きこまれてモフモフしているうちに再び眠ってしまったようだ。目が覚めると再びベッドにいた。



── なんだかスッキリしてる。


ステータスを確認すると状態異常は無しと表示された。


 着替えてリビングに行くと3人が食事の支度をしていた。

「カレン、起きて大丈夫なのか?」

「うん。ステータスを見たら状態異常は消えてたから」

「それは良かったわ」

「カレンもご飯を食べるでしょう?座って待ってて。カレンが食べたがっていた茶碗蒸しも、もうすぐ出来るから」

「みんな、ありがとう」


 ありがたく座って待っているとテーブルが肉料理で埋め尽くされた。


「カレンには茶碗蒸しとバナナ、他に食べたいものはある?」

「ううん充分だよ、ありがとう」


 ウィルコの茶碗蒸しが美味しい… かつおと昆布で丁寧に出汁をとってある。たぶん黄金比だ、出汁の量は卵の約3倍ってやつ。具は鶏肉と椎茸と銀杏と蒲鉾と三つ葉。この組み合わせ大好き。贅沢出来る時は鶏肉の代わりに蟹!蟹が無理な時はカニカマ…大抵はカニカマだ。


「美味しい…ありがとう。美味しいよ」

「気に入ってもらえて良かったよ、早く普通のご飯が食べられるようになるといいね」

「うん」


「肉を食わないと回復しないだろう?」

「いや無理だから」

「まだ具合が悪いのね…」

 肉を拒否する私を重病人扱いするのはやめてね、もう良くなっているから。


── 肉を食べたくない気分なだけで具合は悪くないと主張したが信じてもらえなかった。


 食後、ルイス狼がもう病気じゃないから眠らないと言い張る私の襟を後ろからバクっと咥えて持ち上げて運んだ。

 ぶらーんと宙に浮かされた私は無力だった…ベッドに運ばれて『もう具合は悪くないし眠くない』と抵抗しようとしたら鼻先でグッと押されて横にさせられた。負けずに起き上がろうとしたらルイス狼が上掛けを咥えてふわっと掛けてくる。優しいじゃない。


「あのね、本当にもう大丈夫…」

「無理するな、さっきは1人にして悪かったな。眠るまでお布団ポンポンしてやるから機嫌を直せ」

── 1人で寝かされてたから拗ねていると思われているのか…


 ルイス狼がでっかい前足でバッフバッフと布団を叩いてくる。

── ポンポンて感じじゃないし…


ピスピスピス…


 なんか音がするなあ…と思ったら涙目のモニカ狼が心配そうに鼻を鳴らしている。耳が倒れちゃってるし尻尾も下向きだ…。



── 抵抗を諦めて大人しく寝た。

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『飼い主を召喚しました ⋃ ╹ᗊ╹ ⋃』


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