表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/284

第64話 北部の食料事情と手巻き寿司

 今日は食中毒騒動で出来なかった販売をブレスト村の広場でやる。ウィルコの世界を立て直すまでみんな一緒だ。嬉しくて張り切っちゃうよ。


「今日のデモンストレーションもグラタンを作ろうか?もっといいものあるかな?」

「グラタンがいいだろう。見慣れないものは受け入れられない」



 この辺りは農業が盛んで飢えた人が少ないけど保存食として日持ちのする乾燥マカロニや、近隣の村でこっそりと生産されているチーズを売るのだ。瓶詰めの保存食の作り方も教えたい。


 夏の間に北部を回って衛生面の指導、保存食の作り方の指導、農産物が育ちにくい地域には寒さに強い品種を、貧しい地域には鶏を中心とした家畜も販売して回っている。

 この村はこの国の中では貧しくはない、しかし国全体が豊かではないのだ。家畜を育て、充分な量の作物が実り、不安なく口にできる保存食が広まればいい。


「みんな黙ってるだけで、あちこちの村で美味しい乳製品を作って食べてるって分かれば交易が盛んになるし、食文化も豊かになるよね」

「ああ焼いた肉に溶かしたチーズを掛けたラクレットは美味いからな」

ルイスは今日も肉目線だ、ブレないな。



 ブレスト村でのデモンストレーションは成功だった。乳製品を使った煮込み料理はもともと村にあるから抵抗なく受け入れられた。チーズも美味しいと好評だ。

 ウィルコはチーズの作り方まで指導してる。長期熟成させる食品は保存食を兼ねるからって。短い期間で成長し過ぎてウィルコが眩しいよ。


 麦の植え付けが始まるまでに、寒さの厳しい地域を全部回るのが目標だ。違う村で毎日同じことを繰り返した。

 この世界の大麦と小麦の植え付けは9月中旬から下旬に行われるから、7月と8月で回りきるのだ。3日おきに結界で休んで好きなものを食べて自由に過ごす。もちろんこの結界滞在は時間経過無しだから実質休み無しで回れている。


 同時期に選挙の立候補受付もある。受付期間は8月1日から10月1日まで。投票日は12月15日。地道に実績を積み重ね出来る指導者が出てきて欲しい。



── そんな真面目な事を頭の半分で考え、もう半分では「お寿司が食べたい」と考えていた。


 ルイスとモニカは祝い事には肉って言ってたけど!祝い事には寿司!お寿司だから!

 とはいえ、この世界の魚を生で食べるのはちょっと不安があるのでお刺身はインターネット通販で買おう。


 今日の結界飯は手巻き寿司だ。

 インターネット通販で焼き海苔、マグロ、イカ、鯛、サーモン、穴子、ホタテ、イクラの醬油漬けを買う。エビは普通のエビと甘エビも。カイワレとレタスとキュウリ、納豆、アボカド、大葉も必要だな。沢庵とネギも買ってトロたくとネギトロも用意して、厚焼き玉子は甘くしよう。

 山葵はチューブでいいや。あ、カニカマも買っておこう。カニも好きだけどカニカマも食べやすくて好きなんだよね。水っぽくないから扱いやすいし。


 ルイスとモニカのためにツナマヨとから揚げ、焼いた厚切りベーコン、肉味噌、コンビーフ、焼肉、牛肉のしぐれ煮、豚カツ、ウインナーも用意しないと。焼き鳥の缶詰も多めに買っておこう。余ったら次の機会に食べられるしね。………余るかな…。

 お吸い物と茶碗蒸しも作ろう。普通はどちらかなんだろうけど食べたいから両方作る。


 寿司桶に炊きたてご飯を移して寿司酢を全体に回しかけて、切るように寿司酢と米を混ぜる。混ざったら上下を返しながらあおいで冷ます。

 お刺身と野菜は四角い大皿に四角いパッチワークになるように盛りつけた。丸いお皿の場合は放射状に盛ると美しいね。お刺身の下に大葉を敷くと彩りもいいよ。


 ルイスとモニカの近くに置くお皿には、から揚げ、焼いた厚切りベーコン、コンビーフ、焼肉、豚カツ、ウインナーを山盛り。焼き鳥の缶詰は缶からだして。

 あとは小鉢にイクラの醤油漬け、イカ納豆、ネギトロ、トロたく。ルイスとモニカ用のツナマヨ、肉味噌、牛肉のしぐれ煮は山盛り。

 海苔の他に薄焼き玉子とレタスも用意した。


「…カレンちゃんはお魚に飢えていたのかしら?」

 モニカが私を警戒してカレンちゃん呼びになっている。以前も魚が食べたいと言って荒ぶったけど、そんなに酷くなかったよ!


「うん。当分の間、北部を回って肉料理が続く予定だからお休みの時は魚とか、あっさりしたご飯が食べたいんだ。みんなの具材にはお肉を用意したから安心して。

 山盛りの肉類を見て安堵するルイスとモニカ。


「これはどうやって食べるの?」

ウィルコは見慣れない食卓に興味津々だ。

「海苔に酢飯を薄くしいて好きな具を乗せるの、私はホタテとマグロと甘エビから行こうかな」

欲張って3種の具を乗せた。

「そしたらクルッと巻いて醤油をつけて食べる!」

……美味しい…美味しいよ。お刺身が美味しいよ…。


「酸味のあるご飯に合うね、美味しいよカレン」

ウィルコはお刺身もいける口のようだ。

「ツーンと辛いのが平気なら山葵も合うよ、つけるなら少しだけね。海苔の他にレタスや薄焼き玉子で包んでも美味しいよ。お肉は味がついてるからお醤油はつけなくていいと思う。好きな具材を好きなだけ巻いて好きなように食べて!」


ルイスとモニカは予想通り肉を巻いている。

「…こういう食べ方も良いわね」

「肉は、どう食べても美味いな!」


ルイスとモニカにも手巻き寿司は受け入れられた。手巻き寿司は偉大だよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

よろしければ、こちらもどうぞ。
『飼い主を召喚しました ⋃ ╹ᗊ╹ ⋃』


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ