第45話 ウィルコのステータス
「これがコシードですか、いやあ美味いですね!」
── 神様って肉食なんだな。
シモンさんはルイスとモニカ並みに肉が好きだった。
「カレン、あれを出しなさい」
「うむ。それはいいな」
モニカとルイスが怖い。
「あれって?」
「唐揚げに決まっているでしょう」
「まだカレンのアイテムボックスに残っているのは分かっている」
「ほう」
シモンさんの眼鏡が光った。
ここで逆らっても無駄だよね、素直に出しますよ。
「テーブルを空けて、もう少し。じゃあ出すよ」
ドンっと大皿で出した。油淋鶏のタレも出した。ルイスとモニカとシモンさんがガツガツ貪る。ウィルコが上品な良い子に見えるよ…。
シモンさんとルイスとモニカが心ゆくまで肉を食らった。私のアイテムボックスから在庫の豚カツも出したよ。もちろん自主的にではない。揚げ物ばっかりよく入るなと思った。
「お腹いっぱいになった?」
「唐揚げは素晴らしいですね」
「貧しい地域に養鶏と塩唐揚げを広めたいんだ。鶏は貧しい雑穀でも育つし早く大きくなるから」
「ああ北の方にはそういう地域がありますね」
「卵も栄養価が高いし、良いことづくめだよね」
「ありがとうカレン」
ウィルコが穏やかに微笑む。
「…ウィルコって最初にあった頃と雰囲気が違うよね」
「この世界が変わったからですよ。世界とウィルコは表と裏ですからお互いに影響し合っているんですよ」
「久しぶりにウィルコのステータスをみたい!」
「ええー恥ずかしいなー」
なんか言ってたけど見てやった。
【名前】ウィルコ
【種族】神
【性別】男
【年齢】700歳
【状態異常】なし
【職業】神
【体力】700000/700000
【能力】A +
【スキル】
神の技
【犯罪歴】幼女の寝室への侵入罪
【犯罪指数】14%
【職業貢献度】3%
【当月の職業貢献度】56%
だいぶマシになってる!
「世の中が変わればウィルコのロリコンが治るってこと!?」
「そのようだな」
「短い期間でこれだけ改善するなんて…素晴らしいですね、1年後には神らしい神に生まれ変わっているかもしれません」
シモンさんも驚いてる。ロリコンでさえなければ良いやつなんだよ!やる気が湧いてきたよ!
「ウィルコに任せられる事なんてないと思ってたのに、今は結構頼りにしてるもんね。新しい土地で新しい料理を広めてもらうの助かってる」
カンパニアで干物を広めたのもウィルコだ。ウィルコのアイドルっぽい見た目にポーッとなったお嬢さんたちが干物の作り方をならって魚臭くなってたな。
── これからは今まで以上にウィルコを利用してやろうと思った。




