第41話 ポテンツァ
「南のなんていう村に行くんだ?」
「ポテンツァっていう村だよ」
「ポテンツァで何を仕入れるの」
「サルシッチャ!」
「…サル?」
「サルシッチャはお肉の腸詰めだよ」
「ほほう!」
ルイスとモニカの目が光った。やる気になってくれて嬉しいよ。
「ソーセージと似ているけど作り方が違うんだ。ソーセージは燻製にしてるけどサルシッチャは燻製にしていないの。燻製にしていないからソーセージよりも肉本来の旨みをダイレクトに感じられるんだ」
「それはいいな!」
「ポテンツァ行きを思いつくなんてカレンは良い子ね!」
狼たちが上機嫌だ。
旅の間のご飯はカンパニアで仕入れた食材で作った。
「ウィルコの干物が美味しい〜」
「カレンに喜んでもらえて嬉しいよ」
私は旅の間も毎食必ず魚を食べている。お刺身も食べたい…結界に戻ったらお刺身定食を作って食べよう。ちらし寿司もいいな。
ウィルコは相変わらずバランスの良い食事量とメニューだ。それに比べて狼たちは今日もガツガツと肉を貪っている。2人とも豚足が似合うよ…人目が無いのを良いことに狼に戻って豚足にかじりついている。
無事にポテンツァに着いた。今回の移動は残念なことに誰とも会わなかった。たった2日だったしね。
でもやる気になった狼たちほど頼りになるものはいないと思ったね。着くなりサルシッチャの美味しい肉屋を調べまくって、少量ずつ買ってきたので結界に戻る。
「意外と少ないね、お金足りなかった?」
「焦るな、まずは試食だ」
「食べ比べて、どれをどのくらい買うか決めるのよ」
「ここでダッチオーブンとメスティンとケチャップと干物も売りたいな」
「わかってる」
「サルシッチャの後でね」
後かい…忘れていないならいいけど。
「基本的な食い方も聞いてきた。焼く前に全体の色が変わるまで熱湯で茹でる。その後で油をひかずにフライパンで焼き色をつけたらお湯を加えて蒸し焼きにする。表面が艶々したら完成だ」
ルイスとモニカが焼いてくれる。
「香ばしい香り、食欲そそるね」
さっそく皆んなで試食する。
「うん…評判通りだな」
「アントネッロのお店はハーブが効いてるわね。カルミネのお店は肉肉しいわ」
「ノエミの店はハーブとスパイスが強いな」
「どれも美味しいね」
ウィルコは全部気に入ったみたい。私はスパイスが効いてるやつが好き。狼たちは肉肉しいのが好きだって。そうだと思ったよ。
結局全部仕入れることにした。サルシッチャはリゾットにしてもパスタに合わせても美味しいからね!辛さがくせになるサルシッチャピカンテもたくさん仕入れたよ。ピカンテはイタリア語で辛いという意味。スパイシーでお酒に合う。子供だから飲めないけど。
サルシッチャの仕入れと並行してダッチオーブンやメスティン、ケチャップなどを少し売った。飛ぶように売れる訳じゃないけど次に来た時は、もっと売れると思う。良い物だからゆっくり広まるといいな。
帰りの野営地でサルシッチャとポテトのハーブグリルを作った。ローズマリーを塗したじゃがいもをオーブンで焼く料理だ。
ローズマリーポテトが好きなんだよね。ゆっくりと時間をかけてローストしたポテトって美味しいよね。こういう料理もダッチオーブンを使うと美味しく出来るから嬉しい。サルシッチャから出た肉汁が染みたポテトは美味しかった。
明日はカンパニアに着くよ!




