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第31話 ウィルコにヤキモチを焼く狼

翌朝さっそく出発した。


 いつでも転移で戻れるから忘れ物がないようにとか、旅の準備は万全でないと…なんて心配は必要ないのです。


「また南へ向かうの?」

「サンタンデールは王都から南西に進んだ内陸の街。そこからさらに南に進むとクエンカ、もっと南に行ったところがシャウエン。今回向かうのは東南の海沿いの街だよ。前回は内陸で今回は海沿いだから文化も違って面白いよ!」

「なんていう都市なの?」

「カンパニア!」

1.2mの距離を保ちながらウィルコと会話をするのも慣れた。


「到着するまでにウィルコには覚えてもらいたいことがあるから!」

 インターネット通販で買ったプロジェクターとスクリーンを馬車の中に設置して馬車で移動している間ずっとウィルコに魚を捌く動画やイカを捌く動画をみせた。神の力の見せどころだよ。


「だいたい分かった!」

「じゃあ今日の野営で捌いてみよう!」

インターネット通販で買った魚を桶ごとウィルコに渡す。

「それからこれは専用の包丁ね!扱いは気をつけて、怪我しないようにね」

手拭いで包んだ包丁も渡す。



「まずは魚の表面にあるヌメリやウロコ、汚れを取るんだよね。水で流しながら表面の汚れやヌメリを落として…ウロコは尾から頭の方向に向かって包丁の背を使って取る。鯵の場合はゼイゴも取る。ゼイゴは尾の方からそぎ取る、今回は無しだね!」

 動画を見ただけなのに上手くできている。さすが神だな。


「次は頭だね、包丁で頭の後ろ…ちょうど背骨を断ち切るあたりまでザクッとやって、包丁で皮一枚程度の深さでお腹周りにぐるっと切り込みをいれて…引きちぎるとエラと内臓と胸ビレが一気に取れる」

 おおー!きれいに取れたよ。


「お腹から肛門まで包丁を入れて切り開く。破損しないように丁寧に内臓を取り除く。続いて背骨の下にある血合いも取る」

 水で流しながら処理したのでキレイだ。現代日本なら血合いをキレイにする時に歯ブラシでゴシゴシするのも良いよね。


「動画を観ただけで、ここまで出来るなんて凄いね!さすが神だよ」

 ルイスとモニカの耳がピクリと反応した。


「私だって出来るわよ!」

「カレン、魚を出せ」

 ウィルコにヤキモチを焼いたルイスとモニカが魚を捌く。魚屋さんみたいだった。


「凄いよ!ルイスもモニカも上手!本当に初めてなの!?」

「我らにかかればこんなもの造作もない」

「魚が食べたいなら、いつでも言いなさい」

 ルイスとモニカがドヤる。


 普通にあげても食べないのに人が食べてると欲しがる愛犬のマロンちゃんを思い出した。よその子を撫でた時もヤキモチが凄かった。実家住まいだった頃に飼ってた愛犬のマロンちゃんは黒柴で、マロンちゃんの名前の由来は麻呂眉毛みたいな模様だ。


 自分は食べないし興味もないのに手を動かしてくれてありがたい。この狼たちチョロいな…と思ったのを隠しつつキラキラとルイスとモニカを見上げた。

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『飼い主を召喚しました ⋃ ╹ᗊ╹ ⋃』


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