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【番外編】狩り行かない!

「狩りは行きません!!」


「カレン…」

「人間だった記憶があり過ぎて無理だよ」


 狩るのも無理だし、さばくのも無理だし、きちんと処理していない生肉は寄生虫が怖いから食べるのも無理。



 以前、一度だけ無理矢理連れて行かれて腰が抜けた。

モニカとルイスとヨルが『Guaaa!』『Garurururu!』とかいって獣の喉に食らい付いてぶん回して息の根を止めてた。そのまま生肉を食らってたのもドン引きだ。『カレンも食べろ、美味しいところを残してある』と言われたがギャンギャン泣いて拒否した。


 お腹いっぱいになったルイスが私のうなじを咥えて帰ろうとしたがルイスの口元が血で汚れていたのでキャンキャン鳴いて拒否した。ルイスは困っていたけど背中にしがみついて帰ってきた。


 帰宅した瞬間にシモンさんのところに転移して鳴いて訴えた。──虐待であると。


「私は行くって同意していないのに、あんなに危険な場所に連れて行くなんてひどいよ!」


 シモンさんを味方につけたくて子狼の姿で抱きついて訴える。

「食らいついて殺して生肉を食べるの無理〜(泣)」


「そうですね、カレンさんは味覚を含む感覚は人間のままだと聞いていますし、受け入れ難いでしょうねえ」

「シモンさんは分かってくれる?(涙目&上目遣い)」

「ええ、ルイスたちの説得はお任せください」

「ありがとうシモンさん〜(泣)」



「カレン!」

「ウィルコのところだと思ったらシモンのところに来ていたのね」

「探したぞ」


 ルイスとモニカとヨルはウィルコのところへ探しに行ったらしくウィルコも連れて来た。


「ルイスもモニカもヨルも無理矢理カレンさんを狩りに連れて行くとは…虐待ですよ」

「しかし…」


「カレンさんは味覚を含めた感覚が人間のままなのです。獣を仕留めて食らいついて生肉を食うという行為は不可能なのです。どれをとっても虐待ですよ」


「狩りに無理矢理連れて行かれるなら帰らない!」

プイっとしてシモンさんに寄り添った。


「うちの子になりますか?」

シモンさんが誘ってきた。

「狩りに連れて行かない?」

「行きませんよ」

「前向きに検討します」


「カ、カレン!一緒に帰ろう」

 シモンさんのところに養子に行きかねない雰囲気を察したルイス狼とモニカ狼とヨルフェンリルが慌てているが知らん。



「こらこら家出はダメだよ」

 神様が乱入して来たが一歩も引く訳には行かない。


「虐待には抵抗します。ルイスたちが私を狩りに連れて行く可能性があるうちは絶対に戻りませんから!シモンさんのところにお泊まりします!」


 帰らないから夜は神様と一緒に眠らない宣言をした。


「ルイス君たちはカレンちゃんを狩りに連れて行っちゃダメだよ」


 ルイス狼たちがヒュンヒュン鳴いて神様に縋っていたけど子狼の一緒に寝ない宣言の方が神様に効果あったみたいだ。


「待て待て。これほど冷静なカレンの頭脳は大人だろう?まだ話し合う余地があるんじゃないか?」

ヨルが余計なことを言った。


ヒューン…。

キューン…。

 ヨルにかぶせるようにルイス狼とモニカ狼が鳴いた。


「カレンちゃんも譲歩を…」

 さっそく神様が日和った。さっきまで全面的に私の味方だったのに。



 シモンさんの腕の中からジャンプして神様に飛びついた。


「ルイスたちが私を危険な野生動物の群れの中に無理矢理連れて行っても、私が1人で戻って来られるように私の転移術をレベルアップして?(涙目でうるうる)」


「…カ、カレンちゃん……いやいやダメだよ。レベルアップはそんなに簡単にする訳にはいかないんだよ」

 脂汗を浮かべながら、それでも苦しそうに言い聞かせてきた。


── しぶといな…えい!

鼻ちゅー!


「カレンちゃんたら、可愛いことしてくれちゃって〜」

鼻と鼻をくっつけたら大喜びだ。神様が分かりやすくデレた。


「転移術をレベルアップして?」

「…そ、それは……」

神様が脂汗を浮かべて悩んでいる。


鼻ちゅー!

「お願い?」

「………」


鼻ちゅー!

「………はい。これで宇宙の果てからでも1人で帰って来られるよ」

「ありがとう神様ー」



 自力で(?)安全を勝ち取った。可愛い子狼に生まれかわって良かった。

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『飼い主を召喚しました ⋃ ╹ᗊ╹ ⋃』


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