第249話 家族が増えたよ!
ルイスは夢をみた。
「姉ちゃん?」
夢の中でモニカ狼がフェンリルのヨルと寄り添っている。
「姉ちゃーん!」
夢中でモニカ狼に向かって駆け出す。夢の中ではルイスも狼だった。
「姉ちゃんに会いたかった!」
涙目でモニカ狼にスリスリするルイス狼。モニカ狼もスリスリを返す。
「久しぶりだなルイス」
「ヨルが姉ちゃんと一緒に居てくれたんだな」
「ああ。番になったぞ」
「鉄の森で山ほどお肉を獲ってくれたのよ」
「そっか…」
勝手な行動を取った自覚はあるが、淋しい気持ちを抑えられない。無意識にルイスの耳がぺったんこになった。
「だからルイスは俺の弟だ」
「そうね、家族が増えて嬉しいわ。カレンも私たちの姪っ子になったのよね」
ルイスの耳が元気よく立ち上がった。
「そうなんだよ!赤ちゃんのカレンは姉ちゃんに似てると思うぜ!」
「パパも言っていたわ、小さなカレンは私にも似てるって!」
ルイス狼とモニカ狼の尻尾がブンブンだ。
「だから私もカレンのお世話をするわ!」
「姉ちゃんも来てくれるのか!?」
ルイス狼がウホホッっと喜ぶ。
「俺も一緒だ」
「ヨルは姉ちゃんの番だもんな!」
「私はルイスの愛犬のシベリアンハスキーになるんですって」
「俺は可愛いボルゾイだ」
純白の毛皮が美しいヨルはボルゾイによく似ている。
「そっか!姉ちゃんもヨルも一緒か!」
大喜びのルイスの尻尾が千切れそうだ。
「ルイス君!」
ルイスの背後で声がしてビクッと飛び上がった。恐る恐る振り返ると厳しい表情の神様だった。
「父ちゃん…」
ゴチン!
神様が気まずそうなルイスにゲンコツを落とした。
「モニカちゃんが淋しそうに1人で帰ってきて驚いたよ。理を曲げて勝手に輪廻に潜り込んで悪い子!」
「ごめん…父ちゃん」
涙目のルイス狼がヒュンヒュン鳴く。
神様がガバッとルイス狼に抱きついた。
「もうっ!心配したんだよ、ルイス君!」
「…ヒューン、父ちゃーん」
モニカにもルイスにも甘々な神様だった。
「モニカちゃんとヨルはルイス君の愛犬として降臨するからね」
「わかったぜ、父ちゃん」
「愛犬だからお喋りは出来ないよ。その代わりに眠っている間は今のように会話出来るから」
「パパ、お肉の話も忘れないで」
「モニカちゃんもヨルも普通の犬じゃないからルイス君と同じものを食べるよ。お肉をたくさん用意してあげてね」
「もちろんだぜ!姉ちゃんとヨルと一緒に飯を食えて嬉しいぜ」
モニカ狼が満足そうにうなずくのでルイス狼もニコニコだ。
「じゃあ僕は帰るよ、いい子でね」
ルイス狼とモニカ狼をモフってから神様が帰っていった。




