第221話 揃いはじめた香辛料
シャルワル村の他、いくつかの村でまだ利用方法が見つかっていないスパイスを発見する手助けをした。
少しだけ買い取って栽培を勧めたらどの村も乗り気だった。
「この世界に美味しいカレーが出来る見通しがたったね!まだ足りないスパイスがあるけど」
「カツカレーは美味しいものね」
「実現が楽しみだな」
ウィルコもモニカもルイスもご機嫌だ。
「次はどこだ?」
「紅茶だったかしら?」
「紅茶も緑茶も茶の木の葉っぱから出来るんだよ」
摘み取った茶の葉と芽を乾燥させて揉み込んでから完全発酵させ、乾燥させると紅茶。
中国茶の場合、摘採してから酵素反応が始まらないうちに釜炒りして酵素を不活性化させてから揉捻、乾燥して仕上げる。中国茶では、緑茶、白茶、黄茶、烏龍茶、紅茶、黒茶の6種類に分類される。
日本茶の場合は茶葉を蒸す。煎茶は揉捻を行うが、抹茶の原料である碾茶は揉捻を行わない。
「茶の木の葉っぱ1つでいろいろ出来るんだな」
「カレンがいつも飲んでいるわよね」
そう、私は緑茶が大好きなのだ。
いや緑茶だけでなく、ほうじ茶も紅茶も烏龍茶もジャスミンティーも好きだ。ぜひウィルコの世界の皆さんにもお茶を楽しんでもらいたい。
「僕はテラやカレンの世界の青汁に注目しているんだ」
「あおじる?」
「青汁って緑茶をブレンドした緑茶風味が多いでしょ?」
「そうだね」
「乾燥させてから粉末にすれば運ぶのも楽だし保存にも向いているよね」
「…そうだね」
「ルスランさんやジャブライルさん達、遊牧民は野菜が不足しがちだから青汁を飲んでもらいたいなって!」
「北部の冬にもいいかもな」
「ウィルコったら冴えているわね!」
── 美味しく出来るかな…
ルイスやモニカはウッキウキだが茶葉の苦味と野菜の青臭さが強調されて不味くなるのでは…と不安で仕方ないカレンだった。




