第220話 チキンを食べたい
「タンドリーチキンを食べたいわ」
シャルワル村を離れて結界に戻った途端にモニカとルイスが狼に戻って空腹を訴える。自分たちが食べるのを我慢して村人たちに食べさせてくれていたもんね、予想通りだ。
「シャルワル村ではありがとう、僕が調理するよ、タンドリーチキンの他に何を食べたい?」
「カツカレーも食べたいわ」
「俺はチキン南蛮!」
「テラとカレンの世界のアレも食べたいわ」
「フライドチキン?」
「それよ!」
「さえてるな!姉ちゃん、最高の選択だぜ」
タブレットの通販アプリを起動してモニカとルイスのリクエストに必要な材料をポチポチするとモニカとルイスが左右から覗き込んでくる。モフモフの頬毛がくすぐったい。
「モモ肉はもっと必要じゃないかしら」
そう?じゃあもっと買っちゃおうかな。数量のプラスをポチポチする。
「カツカレーの肉ももっとだ」
うんうん、2人ともカツカレー大好きだもんね。数量のプラスをポチポチする。
確定するとドスン!と段ボールが届いたのでウィルコと手分けして調理を始める。
ウィルコが大量のお肉の下ごしらえをする間に、タンドリーチキンのためにスパイスを混ぜたヨーグルトを用意したり、野菜を切ったりご飯を炊いたりしていると、ご機嫌なルイス狼とモニカ狼がウィルコと私の間を行ったり来たりする。ルイス狼もモニカ狼も可愛い。
チキン南蛮のタルタルソースも作らなきゃ、ゆで卵をたくさん用意してピクルスを刻む。
「カレーはこんなものかな、僕はトンカツを揚げていくからタンドリーチキンはカレンに任せていい?」
「うん、こっちは任せて」
ルイス狼とモニカ狼は大好物のトンカツとタンドリーチキン、どっちものぞきたくてキョロキョロしていて可愛い。
いい感じに焼けたタンドリーチキンをお皿に取っていくとモニカ狼とルイス狼の尻尾が盛大に揺れる。
「味見する?」
モニカ狼とルイス狼の耳がピコン!と立ち上がった。
「熱いから気をつけて」
冷めていそうなタンドリーチキンを見繕ってモニカ狼とルイス狼の口に運ぶと、一口でばくん!と食らいついてモグモグする。可愛いなあ。
「美味い!」
「カレン、もっと食べたいわ」
モニカ狼とルイス狼の尻尾が激しく揺れる。
「もうすぐご飯だよ」
「いいじゃない」
「もう一つ!」
こんなに可愛いくおねだりされたら断れない…もう一つモニカ狼の口に運ぼうとしたところでウィルコが声をかける。
「トンカツも味見する?」
ピコンと耳を立てたモニカ狼とルイス狼がトンカツとチキンを揚げているウィルコへまっしぐらだ。揚げたてのトンカツをカットして一切れずつ口に運んでもらって、ぱくんモグモグが可愛い。
その間にタンドリーチキンをすべてお皿に移し終えたのでテーブルに運んだ。ご飯も炊けているのでインターネット通販でフライドチキンを買おう。いつものようにオリジナルチキン8ピースパック(4名様向け)を3つ。私には単品で。
「味見は終わり!ご飯だよ」
ウィルコがまとわりつくモニカ狼とルイス狼をものともせずにカレーの鍋とトンカツの山、チキン南蛮を運ぶ。キッチンとテーブルを往復するウィルコの後を尻尾を振りながらドスドス追うモニカ狼とルイス狼が可愛い。
「嬉しいわ、これが食べたかったのよ」
「チキンもいいがカレーもいいな!」
「いただきます!」
人型に変化したモニカとルイスがフライドチキンにかぶりつく。
「やっぱり美味いな!」
「近いところまでは作れるけど完全再現は難しいのよね」
再現レシピを試したけど同じには出来なかったのだ。
「カツカレーも美味しいわ、トンカツはどう食べても美味しいわよね」
「姉ちゃん、チキン南蛮も美味いぜ」
モニカとルイスのモグモグは人型でも可愛い。
「ルイス、大変よ!カツカレーにタンドリーチキンを乗せると信じられないくらい美味しいわ」
「マジか…マジだった、姉ちゃんは天才だな」
今日のご飯も美味しかった。




