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第21話 ガンホーさんとの出会い

サンタンデールからクエンカまでの旅は順調だった。


 ウィルコは物理的に私に近づけないしルイスとモニカが厳しくガードしてくれた。

 野営で会った商人たちにケチャップを使った料理をお裾分けしたら、サンタンデールに寄って仕入れると張りきっていた。商業や産業の発展への小さな一歩だよ。


「今日の野営地はここ?」

「ああ、明日の夜はクエンカの宿に泊まれるぞ」

いつものように馬の世話をして火を起こしたら食事の支度だ。


旅の間に気づいたことがある。

 ウィルコは私の半径1.2m以内に近づくことが出来ない。逆に私がウィルコに近づくとウィルコがいる場所から私が近づいた分だけ押し出されるように移動するのだ。


川の近くにいたウィルコに私が近づくと…

「ちょ!カレン、止めてよ〜」

私が近づいた分だけ押し出されるように、ずいずいとウィルコが川に近づく。

「ふはははは!落ちろ落ちろ!」

川に落ちそうでバランスを取るウィルコと万能感を滲ませながら笑う私。


 たった4人の旅でいつまでも気まずいのも嫌なので積極的に嫌がらせする方向で構うことにしたが、たまに本当に落とした。川とか崖から。めっちゃ爽快だった。いつも結構本気でやっている。


「カレン、遊んでいないで肉を食おう」

「うん」

ルイスにとってご飯イコール肉だから間違っていない。


「今日は固まり肉が食いたい」

ルイスの主張にモニカが肯く。

「昨日から言ってたから、ちゃんとお肉を漬けてあるよ。ダッチオーブンでローストビーフにしよう」


 塩とハーブとニンニクに漬け込んだ肉の塊を取り出す。ダッチオーブンを熱して牛肉の表面に焼き色をつける。ひっくり返して全面に焼き色をつけたら弱火にしてフタをする。何度かひっくり返しながら蒸し焼きにする。火を止めて放置、余熱で火が通ったら出来上がり。


「パンとミネストローネが残ってるから食べる直前に温めよう、出来上がりを待ってる間に採取に行こうよ!」

 出来上がるまで肉からルイスとモニカを引き離すのが真の目的だ。

「ウィルコは留守番、肉の見張りをよろしくね!」

ルイスとモニカの手をグイグイ引っ張って森に向かう。


「キノコを採ってオイル漬けにしたいんだ、もっと保存食作りが広まれば、この世界の食事は良くなるよね」

「そうか広めるのか」

「そうね広めないと」

 これはルイスとモニカにとって殺し文句だ。肉の側を離れたくない2人だったが人類の為と言えば神としての本能が刺激されるらしく熱心に採取してくれる。


 籠いっぱいにキノコを採って戻ると野営地に他の馬車がいた。肉が減ることに難色を示すルイスとモニカを「ダッチオーブン2つ分も仕込んであるから!元から他所の旅人にお裾分けするつもりで用意したから!2人がお腹いっぱいになれる量はあるから!」と説得して夕飯に招待した。


「こういう鍋は見たことがないな…」

独り旅のガンホーさんは肉よりも鍋に夢中だ。

「ダッチオーブンていう種類のお鍋だよ。フタの上に炭火をのせて調理する方法は確かに他で見ないかもね!」

「ほお!」


 ガンホーさんはクエンカの鍛治師だった。

クエンカは鉱山の街で金属製品が特産だから街には鍛治師も住んでいるだろうと思ったけど街に入る前に会っちゃった。ラッキー


「クエンカにはやはり鍛治師の方が多いのですか?」

腹八分目まで肉を食べたルイスとモニカが会話に参加する。

「住人のほとんどは鉱夫だな、街中の店は酒場が多い。酒場の次に多いのが鍛冶屋って感じだな。鍛治師によって得意不得意があるから、買い付けならガンホーの紹介だって言って見て回ると良い。メシのお礼に嬢ちゃんにこれをやろう」


ガンホーさんが取り出したのは繊細な蝶々の細工の髪飾りだった。

「とってもきれい!」

髭モジャな鍛治師のガンホーさんが作ったとは思えない可愛らしさだ。


「モニカ、つけて!」

モニカにねだって髪に挿してもらった。

「似合うじゃない」

「えへへ」

「可愛いよ、カレン」

ロリコン神にはプイッとした。


 翌朝、ローストビーフの残りで朝ごはんにしてガンホーさんと一緒にクエンカの街に入った。

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『飼い主を召喚しました ⋃ ╹ᗊ╹ ⋃』


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