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第167話 サン・ポル島のサトウキビ

 日本のサトウキビは1月~3月が収穫期、サン・ポル島では2月から4月が収穫期。ちょうど今だ。


 この島では雑草扱いだったから、砂糖への加工方法も当然知らない。村人を集めてもらって教えることになった。



 サトウキビは時間が経つと含まれる糖分が減っていくから刈り取ったらすぐに絞って濾過して煮つめて結晶を作る。

 この結晶を溶かして濾過することを繰り返すと白い砂糖になるけど手作業では難しいので黒糖を作ってもらう。



「サトウキビは刈り取ったらすぐに絞って濾過して煮つめるのよ」

「サトウキビを絞る圧搾機は俺たちの商品にたまたま品揃えがあるので、それを使おう」


「おお!なんという偶然!」

「ウィルコ神のお導きだ!」


 『そんな、たまたまがあるか!』と突っ込まれるかと思ったけど、この島の人たちは素直だな。悪徳商人に騙されるのも納得…私たちは適正価格で売るからね。



「濾過した汁を煮つめたら冷やして固めて黒糖の出来上がりよ。ミネラル豊富で栄養があるのよ」

「コクのある甘さは料理にもぴったりだよ」



 ルイスたちの指導でサン・ポル島の黒糖が出来た。


「どうぞ食べてみて?」

村長さんたちが小さな欠片を口に運ぶ。


「甘い!」

「これが砂糖なのか…」

「子供に食べさせてやりたいな」


「それはダメよ!」

「1歳までは駄目だ」

「なんでだ?」

「絶対に子供が好きだぞ」


「1歳まではダメよ。まれに中毒を起こすことがあるの。最悪の場合死ぬことがあるわ」


 島民たちが静まり返った。

1歳未満の乳児が摂取すると乳児ボツリヌス症を引き起こすことがあるため黒糖や穀を使った食品を与えてはいけないのだ。


「必ず起こるわけじゃないし重症化するのは、さらにまれだが気をつけるにこしたことはない。ある程度成長すれば大丈夫だ」


「怖いものじゃないのよ、ミネラル豊富な黒糖には美肌効果があるし冷え性改善にも効果があるのよ」


 ルイスとモニカの話を聞いた島民たちが何やら相談している。なんだか村長さんや男性陣が押されている。村長さんたちの声が小さくなっていく。



「待たせてすまない、相談がまとまった。出来るだけ買ってもらいたいが、島で消費する分は島の女性たちで管理することになった…」


村長さんの声が震えていた。

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『飼い主を召喚しました ⋃ ╹ᗊ╹ ⋃』


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