第158話 その後のピーテル村
保存食と軟膏販売ツアーも終盤を迎えた。
石炭が産出されるようになった、北の果てにあるピーテル村にたどり着いたら今回も歓迎されて村長さんの家に招かれた。
「温かーい!」
村長さんの家は石炭ストーブでぬくぬくだった。
「カレンちゃん、石炭ストーブはすごいんだぞ!洗濯物もすぐに乾くんだ」
家庭で洗濯を担当している村長さんがご機嫌だ。この村長さんは洗濯バサミでもテンションあげあげだった。
「石炭が出て良かった?」
「もちろんだよ、商人が買い付けついでに他所の村の物産を持って来てくれるようになったから物資も豊かになったしね。何より冬に凍えずに済むのはありがたいよ」
良かった。私たちのしてきたことで笑顔になってくれている。思わず私の表情も緩んでしまった。
「それはよかったな」
「私たち、今回は保存食や手荒れの軟膏なんかを持って来ているのよ」
「それはぜひ販売して欲しいよ!他所の村から商人が来てくれるようになったとはいえ、この雪だろう?春まで自分たちでなんとかしなければと思っていたんだ」
ピーテル村でも真冬の行商は歓迎された。
もともと資源や食料に乏しい地域だったので新しい食材へチャレンジする意欲が他の地域よりも高かったし、ピーテル村に合う味付けを提案したのも良かったみたいだ。
保存食と軟膏を販売しつつ、軟膏の作り方を教えて春になったら作るよう勧めた。
周辺の村も回って遅い時間になったのでささっと販売を終えて結界に戻った。
今回はキャビアもイクラも無し。季節じゃないから仕方ないけど残念。でもいい方向に変わっているのを自分たちの目で見て感じられたのはよかった。




