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第140話 クリスマスのごちそう

「肉料理と付け合わせは全部オーブンに入れたらからOK」


 今日はクリスマス。朝の5時に起こさないでと頼んでいたら6時に起こされた。眠いよ…。



 肉料理とローストする副菜は全部オーブンに入れて、あとはトルテッリーニとカンネッローニと赤いスープのハラースレーを作るだけ。


「トルテッリーニから作ろうか。パスタ生地に肉を詰めて餃子っぽい形に形を整えたものだよ。クリームソースやトマトソースで食べることが多いけど今日は他の料理と味付けがかぶらないようにスープで食べるよ」


 実は昨日からスープを仕込んである。灰汁をすくいながら牛肉と鳥肉をじっくりと煮込む。灰汁が出なくなったらニンジン、セロリ、玉ねぎ、イタリアンパセリ、ローリエ、ニンニクを加えてさらに煮込んで濾したら澄んだスープの出来上がり。


 スープに浮かべるトルテッリーニを作る。牛肉とパルミジャーノレッジャーノと卵を フードプロセッサーでガーっとしたら塩胡椒とナツメグで味付けして包む。


「食べる直前にスープに入れて火にかけて完成させようね」

「丁寧に作ったスープが美味しそうだね」

「昨日から仕込んだからね!」


 ルイス狼とモニカ狼が味見をしたがってキュンキュン泣いたが心を鬼にしてアイテムボックスにしまった。ウィルコがいなかったら負けていたと思う。実に厳しい試練だった。


「次はカンネッローニね!カンネッローニは大きなマカロニみたいなパスタで、中に具を詰めた料理だよ。ほうれん草とリコッタチーズのソースを詰めたのと、ラグーにベシャメルのと2種類作ろう」



 塩茹でしたほうれん草をリコッタチーズ、パルミジャーノチーズ、卵、塩、ナツメグをフードプロセッサーでガーっとして、カンネッローニの穴に詰める。今日は茹でずに使えるのを買った。詰めやすくて便利!


 具を詰めたカンネッローニをオリーブオイルを塗った耐熱皿に並べたら上からトマトソース掛けて、擦りおろしたパルミジャーノをかける。

 

「予熱したオーブンで焼いたら出来上がりだから食べる直前に焼こうね。次は牛肉のラグーを作ろう!」


 牛もも肉は叩いてミンチに、玉ねぎとセロリとニンニクはみじん切り。

 刻んだ野菜を炒めたら牛肉を加えて色が変わるまで炒める。カットトマト、赤ワイン、塩、砂糖を加えて弱火で煮込んだら完成。

 これをカンネッローニに詰めたらオリーブオイルを塗った耐熱皿に並べて、上からベシャメルソースをかけてパルメザンチーズを振りかける。


「これも食べる直前に焼こうね」

「うん、こっちはルイスが好きそうだね。それで多めに仕込んだの?」

「分かっちゃった?そうなんだ。次はハラースレーね、ハンガリーで食べられている淡水魚のスープだよ。ハンガリーは海がないから鱒やスズキ、鯉、ナマズといった白身の淡水魚で作るんだって、何種類か混ぜると美味しくなるらしいから今日はスズキと鱒の切り身で作るよ」


 玉ねぎのみじん切りを焦げ目がつくまで強火で炒める。焦げ目をつけるのがハンガリー風らしい。パプリカペーストと粉パプリカを加えてさらに炒める。

 そこに魚のアラ、水、生パプリカ、トマトを加えて煮込む。じっくり煮込んだらザルで濾す。濾す時にアラを木べらすり潰すようにして旨味を逃さないように。

 濾したスープに切り身を入れて煮込んだら完成。



「これも美味しそうだね!オーブンの肉料理もそろそろだよ」

「じゃあ肉料理を時間経過無しのアイテムボックスにしまって、カンネッローニたちを焼こうか」


 ウィルコがルイス狼とモニカ狼を抑えてくれているうちにオーブンの中身を入れ替えた。



「スープを温め直してトルテッリーニも完成させようよ」

ウィルコがスープを温めてくれている間にオーブンで焼かない料理を一気に並べてテーブルセッティングを終えた。

 インターネット通販で買ったウィルコのスイーツは食事がひと段落したら出そう。ブッシュドノエルやイギリスのクリスマスプディング、パネトーネ、シュトレン、パンドーロ、オランダのサワーチェリーケーキを取り寄せた。



「トルテッリーニもスープも良さそうだよ、オーブンのカンネッローニも食べごろみたい」

「じゃあご飯にしよう!」



 半分以上アイテムボックスに収納したけど大量の料理がテーブルに並んだ。

 中身はローストビーフとローストチキン。その横にマッケンチーズ、カリフラワーチーズとクリームドスピナッチ、ヤンソンさんの誘惑。

 この他の肉料理はスウェーデンのユールシンカ、イギリスのチポラタ、南アフリカのブラーイ。

 ウィルコが食べたがっていたフォアグラと私が食べたいキャビアとロブスターと牡蠣とマリスカーダも並べた。


 「スープはハラースレーね、パプリカと魚のスープだよ。寒い季節には特に美味しく感じるね」


「魚はあんまり食べないけどコクがあるな」

「骨のない切り身で食べやすいわね」

スープがルイスとモニカにも好評で嬉しい。

「アラで煮込んでいるから味が濃いね、手間がかかったけど美味しい!」

ウィルコも気に入ってくれたみたい。


「他の料理もどんどん取ってね!熱いうちに食べると美味しいよ」

「俺たちは肉を食いたい」

「食べたい部位を食べたいだけ取ってね」

「ルイス、手分けしましょう」


 ルイスとモニカがみんなのお皿に全部の肉料理を盛り付けてくれた。ルイスとモニカは大盛り。ウィルコは普通盛り、私には少しずつ。



「美味い!」

「クリスマスっていい日ね!」

ローストチキンもローストビーフも焼き加減がちょうど良い。


「ベーコンでソーセージを巻いたチポラタも美味しく出来たね、ブラーイもシンプルで美味しいね」

「どれも美味いぞ」

「ウィルコは料理上手ね」


 ブラーイは南アフリカでバーベキューを意味しており、今日はラムとポークを焼いた。違う種類の肉を一度に食べられてルイスとモニカがご機嫌だ。


 私はマリスカーダをいただこうっと。マリスカーダはスペインのボイルした魚介類盛り合わせだ。

「海老も蟹も美味しい!」

 こんな口実がないと、なかなか思い切って購入出来ない魚介類の豪華盛り合わせが美味しい。


 ウィルコのお皿は炭水化物が山盛りだ。

トルテッリーニとカンネッローニ、マッケンチーズにヤンソンさんの誘惑、クリスマスにマッケンチーズを食べたいと言っていたから実現できて良かったね!



 みんなが好物でお腹いっぱいになって幸せな日だった。

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『飼い主を召喚しました ⋃ ╹ᗊ╹ ⋃』


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