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第136話 ユセフさんとホットドッグ

ユセフさんが行政都市デンハフに着いた。


 ユセフさんは選挙でソニアさんと争った人だ。落選したがソニアさんが副大統領に指名し、ユセフさんが指名を受けたのだ。



「ユセフさん、寄り道してていいんですか?」

 反政府組織でユセフを補佐してきた若者が呆れ顔でつぶやいた。

「寄り道じゃない、この新しい都市を知るのも必要なことだ」


 ユセフは反政府活動に巻き込むことを恐れて家族を持たずにきた。ずっと中年男性の一人暮らしだ。家事は出来ないこともないが、やってみたところでユセフの家事偏差値は低い。


 そんなユセフを見かねて補佐役だった若手のマスードができる範囲で世話を焼いてきた。

 ソニアからの誘いには、見どころのある若手を育成したいという希望があれば連れてきても構わないとのことこだったのでマスードを同行させた。


「身の回りのことやスケジュールも自分で管理出来るようになってくださいね!」

 ユセフが自分で家事やスケジュール管理を出来るようになることを条件にデンハフ行きを承諾したマスードだった。


「今日くらいはいいじゃないか、新しい都市だと聞いていたがまだ建設中なんだな」

「そうですね…計画的に作られた都市って感じですよね、綺麗だし」


「道幅も広いし必ず歩行者専用の道があるのはいいな」

「歩行者専用の道と馬車が通る道の間に柵があるのもいいですね」

 新しい都市では事故防止の為に歩道やガードレールを採用した。


「それに十字路だ!見たか?」

「ええ、あれはアイディアですね」


交差点ではラウンドアバウトを採用した。


 ラウンドアバウトとは環状交差点とも呼ばれ、交差点の中心に島を設けて、その周りをぐるぐる回りながら、行きたい道に侵入する仕組みだ。

 イギリスで設計基準が確立された仕組みなのでイギリスで見かけたという人は多いのではないだろうか。信号が無くても事故が発生しにくい仕組みだ。


「あちこちに噴水があるのも気づいたか?」

「噴水は馬用ですね。すぐ側に井戸もあって馬車を停車させられるのも良いですね」


「よく出来ている」

「ええ、もっとこの都市のことが知りたくなりました」


「それよりもな、さっきから似たような屋台が多くないか?」

「僕もお腹が空いているんですよ。寄ってみましょう」

 1番近くに見える屋台に向かうユセフとマスード。



「いらっしゃい!」

「似たような屋台を見かけるな?これはなんだ?」

「ホットドッグですよ!ウィルコ神のお導きでデンハフの名物として出店が推奨されているんです」

 屋台の店主が熱い鉄板の上で大きなソーセージを転がしながら答える。


「パンにソーセージを挟んだものがホットドッグ。屋台ごとに工夫してデンハフの名物にするようにって御神託があったんですよ。ソーセージの大きさや一緒に挟むものやトッピング、パンの種類で屋台ごとに差別化しているんです」


 店主が焼くソーセージは大きくて食べ応えがありそうだ。

「うちは食べ応えを追求しててパンは歯応えのあるバゲットでソーセージははみ出るくらい大きいんだ!」


「美味そうだな!2つくれ」

「あいよ!」

店主が手早くバゲットを温めて切り込みに熱々のソーセージを挟む。

「マスタードは?」

「俺はたっぷり」

「僕は少なめで」


好みの量のマスタードを塗ってユセフとマスードに渡す。


「美味いな!」

「片手で食べられていいですね」


「店によっては野菜多めなんつってるが、うちはソーセージの美味さで勝負してるんだ!肉を食べる時に野菜のことを考えたら台無しだよな!」

「俺もそう思うぞ」


 マスードは嫌な予感がした。食生活が偏りがちな家事音痴のユセフが成長できる気が全然しない。

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『飼い主を召喚しました ⋃ ╹ᗊ╹ ⋃』


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