第120話 ルイスはカレンを可愛がる
翌朝、ミゲルさんとホルヘさんとサルマさんたちと一緒にムルシア村へ向かった。
「おかえり、それからようこそ」
「偶然会ったんだって?縁があるなあ」
ミゲルさんたちと一緒に村の門番さんたちに挨拶した。今日の門番さんたちも私たちのことを覚えていてくれたので手続きはスムーズだった。
ミゲルさんたちの希望でホットサンドのデモをすることになった。チーズ以外の材料は農業組合で用意してくれることになったし、広場を使用する申請など、すべてミゲルさんたちが手配してくれた。
「助かっちゃったね」
「ああ明日は美味いホットサンドを焼いてお返しだ」
馬の世話と野営の支度をしていたら馬が私のポニーテールをハムハムしてきた。
「ちょっと!ダメだってば」
ルイスが馬を離してくれたけど私のポニーテールはぐしゃぐしゃだ。
「カレン」
櫛を持ったルイスに呼ばれたので後ろ向きでルイスに任せると器用にポニーテールを直してくれた。ルイスはよく私の髪を結いたがるけど上手なので任せている。ポニーテールなのはルイスやモニカとお揃いにしたい気持ちがあるから。ルイスとモニカはポニーじゃなくて狼だけど。
「上手なもんだなあ」
「大切に育てているのねえ」
ミゲルさんとサルマさんに一部始終を見られていたらしい。育てられている訳じゃないけど嬉しい。
「俺たちはカレンが可愛いんだ」
ルイスは恥ずかしがらずに堂々と愛情表現してくるタイプだ。ものすごく犬っぽいと思う。私のほっぺをモチモチしてくるのはやめてくれ。早くシュッとした大人の顔に戻りたい。
「野菜を持ってきたんだよ、早めに食べないとダメになりそうなものばっかりで悪いけどお裾分け」
「明日のデモ販売で使ってもらう食材は明日持ってくるよ」
「ありがとう」
「悪いな、助かる」
ミゲルさんとサルマさんは野菜を置いて帰っていった。食事に誘ったけど遠慮されてしまった。自宅で早めに食べないといけない残り物があるらしい。
私たちはもらった野菜を使ってチキンと野菜のクリームシチューにした。クリーム系の味付けが好きなルイスがたくさん食べた。
寒くなると美味しいよね。他にも野菜とベーコンの重ね焼きとか肉っぽい副菜を作ったのでルイスとモニカも満足そうだった。




