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第1話 私の死因

 ろくに食事もとらずに強めのお酒を飲んで意識を失うように眠るのが好きだった。


 金曜日の仕事が終わったら強めのお酒を買って帰って、お風呂に入って疲れを落としたらストレートで浴びるように飲む。

土曜日は二日酔いのふわふわした感覚を楽しみながら、さらに飲む。日曜日は覚醒の日。熱いお風呂に入って何か食べて翌日からの仕事に備える。


 人口が多い世代だった上に高校生の頃にバブルが弾けて大学四年の就職活動の頃には氷河期。激しい競争を勝ち抜いて、そこそこ有名な大学に入学してそれなりの成績で卒業。就職は憧れだった音楽業界。プロデューサーを目指し激しい競争を勝ち抜いた。

 しかし30歳を超えたころから音楽不況で急速に業界が傾いていくのを感じた。新卒で入社して10年以上を過ごしたが、さらに10年後はもっと厳しいだろうと予測できた。

 それでも憧れだった仕事を手放すなんて出来ないと思い必死に頑張った。しかし勤務先のレーベルが身売りすることになり、転職を余儀なくされた。


 転職するといっても同じ業界に未来はない。思い切って他業種に…と思ったが、それまでの経歴が特殊過ぎた。30代半ばで事務職さえ未経験で正社員採用は厳しい…しかもエクセルもろくに使えなかった。だってそういう仕事してこなかったし…。

 転職に活かせる経験がゼロだったため、派遣社員としてやっていくことになった。学生のころから就職までずっと自慢の経歴だったのに行き着いた自分の状況にがっかりした。

機械的に平日の仕事をこなし、金曜の夜から日曜の昼過ぎまでアルコールに逃げた。


 そんな生活を10年ちょっと続けて、私は死んだのだろう。未練なんてない。さっさと生まれ変わってやり直したい。


このクソみたいな人生をリセットしたい!

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『飼い主を召喚しました ⋃ ╹ᗊ╹ ⋃』


― 新着の感想 ―
[一言] 語り口が名調子!テンポがいいのですいすい読めます。楽しみに読み進めさせていただきます<(_ _)>(*^^*)
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