【コンビニ、肉まん、男女、高校生、自転車、キス、間接キスをキーワードにして書いたお話】
【コンビニ、肉まん、男女、高校生、自転車、キス、間接キスをキーワードにして書いたお話】
女の子side
今日もあいつと、帰りに寄るコンビニ。そこで必ず、わたしの好きな肉まんを1つ買ってくれる。今日も買ってくれた。
「ありがとう」
あいつは返事をする代わりに頷くだけ。
(今日こそは……ちゃんと、聞く……)
駐輪場に向かいながら、既に食べ始めているわたし。
「旨い?」
(きた……)
わたしが頷きながら、肉まんを口に含む。すると、何時ものように、わたしが食べかけの肉まんをあいつが静かに奪い取り、それを食べる。
「旨い」
そう言って、2、3口食べて、肉まんを返される。だから、残りの肉まんは少ない。それを食べてから、わたしは、口を開く。
「食べるなら、肉まん……、2つ、買えばいいじゃん……」
わたしは俯きながら、発する声。あいつに聞こえたかはわからない。だけど、あいつは静かにこう答えてきた。
男の子side
こいつに聞かれた答えを答えようとしたけど、言葉に詰まる。
「お前、1つ全部食べきるのか?」
「……ムリ」
「ならいいじゃん」
うまく誤魔化せたかわからないけど、おれの本音をまだ明かしたくない。恥ずかしいから。
「だって……」
下を向きながら発する声。どんな顔をしているのか知りたくて「顔……、上げて?」と、やんわり促す。
辺りは暗いが、コンビニの駐輪場はちょっとだけ薄暗い。だから、こいつの顔色がよくわかる。
(赤くなってる……。可愛い……)
「だって、……」
「だって、何?」
(こいつの口から聞きたい……)
すると、こいつは、顔をそらしながら、小声でボソボソと言っている。
「聞こえない」
すると、こいつはおれの耳元に口を寄せ「だって……、間接……キス……しちゃってる……」と、吐息混じりの小声で言ってきた。
「ヤなの?」
すると、あいつは顔を横にフルフルとふり、否定を示す。
「なら、いいじゃん。ほら、後ろ乗れよ。帰るぞ」
そう言って、おれはこいつを自転車の後ろに乗せ、自転車をこぎ出す。
女の子side
自転車の2人乗り。後ろからあいつに抱きつく。何時もは胸が当たらないようにしているが、今日は、違う。当たってる。それがたぶん、あいつにもわかってる。
(なんか、悔しい……)
“間接キス”
恥ずかしくてなかなか言えなかった。なのに、あいつに、言わされた。でも、確かに、さっきも言われたように、イヤな訳じゃない。ただ、理由が知りたかっただけ。なんで、毎回、それをするのか。
そんなことを考えていたら、いつの間にか、家の前に到着していた。
「ホラ、着いたぞ」
「あり、がとう……」
いつもだったら、直ぐに、家の門を開ける。あいつも直ぐに自転車をこぎ出す。だけど、今日は違う。お互いに、動き出さない。
「何? なんか言いたいことあるの?」
あいつは頬を指先でポリポリとかいたあと、「あるというか……」と、ハッキリしない。わたしが、あいつに1歩近づくと、あいつに腕を捕まれ、頬にキスをされ、「じゃあな」と言い、自転車をこぎ出した。
わたしはキスをされた頬を押さえ、あいつの背中を見ることしか出来ない。
(なんで? わたしとあいつは付き合ってる訳じゃない。なのに、なんで、キスされるの?)
疑問が、次から次へと頭の中に浮かんでくる。わたしはトボトボと歩きながら、自分の部屋へ向かう。その間、わたしの感覚を支配していたのはあいつの唇の感触だけだった。
読んで頂きありがとうございました。