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チュートリアルは1日かかる

防具屋を出てから俺が目覚めたあの草原に向かった、弱いモンスターが生息するのはここが一番近いらしい

そして、メイいわくここの草原で一番弱いのがスライムと言われた


それに殺されかけた自分とは一体…なんて思う


「それでは戦闘配置を決めましょう、ソーイチさんは前衛で戦ってください私は後援で戦います。スライムは物理攻撃は強いですが魔法攻撃には弱いです、なのでソーイチさんはスライムの気を引きつけて集まった所を私が魔法で攻撃します」


「はい!メイ先生、スライムには一応物理攻撃は効くってことですか??」


「そうですね、スライムにも魔石(ませき)と呼ばれる核があり、それを破壊すると体を形成できないので消滅します。物理攻撃でも倒せ無くは無いですが…大変だと思いますよ?溶かされちゃいますし」


「そうだったな、いや、1回だけ1人で倒させてくれないか?負けっぱなしは嫌なんだ」


「分かりました、何事も経験ですからね!でも危ないと感じたらすぐに離れてくださいね!」


とりあえず単体のスライムを探す

数分、辺りを散策すると一体のスライムを発見した


「いたぁ!数時間前の借りを返しに来たぞ、この水羊羹が!」


ナイフを構えた、狙うのは核である

しかし接近戦は危険過ぎる、また靴を溶かされてしまう

動きは遅いならば投げて仕留める


「ふんっ!」


ナイフはスライムに目掛けて真っ直ぐ飛んだ

普通こんなにコントロールは良く無いがこれも職による特性なのだろうか

カキンッとナイフが核を砕く、それと同時にスライムが一瞬で溶けた


「やった、倒せた…ナイフも…あっ、ナイフは溶けないんだ」


「よかったですね、これでスライムもへっちゃらですね!」


「ああ、意外とあっさり倒してしまった…しかしこれだと経験値を稼ぐのも時間がかかるな、次からメイの作戦で行こうか」


「はい、どんどん倒しましょうね」


それからと言うもの草原中のスライムを見つけては自分に引きつけて大体集まったらメイの魔法で攻撃をするを繰り返し気付いたら夕暮れになっていた


「そろそろ、暗くなるので町へ戻りましょう。見てくださいこんなに魔石が落ちていましたよ!」


メイが袋の中に大量に入った魔石を見せて来た

その袋は隙間無く魔石で埋め尽くされていた


「ああそうだな、その魔石は何かに使えるのか?」


「換金するんですよ、魔石は普段あんまり落としたりしないのですが今日はなぜか大量にでましたからね!」


メイも嬉しそうだ、どの世界も共通だがお金が無ければ生きて行けないのが現実だ

バイトを始めた時はそれはもうお金の大事さを知ったものだ

ともかく無一文の俺を通りすがりで助けてくれたメイは神様みたいなものだ


「ありがてぇ、ありがてぇ」




町へ戻り早速質屋へ行った

質屋のおっさんは魔石の多さに驚いていたが

流石プロだ、1つ1つの状態を瞬時に見て正確な値段を紙に書いている

その紙をメイが受け取ると何回もじぃ〜と上から下まで見返して売却額を確認している


「はわわ、4500ザールですか!?」


「ああ、状態の良好なのがいくつかあってね。それよりもこの量だよ、凄いねあんた達」


メイが動揺している、これは高いのだろうか?


「なぁメイ、どれぐらいの金額なの?」


「えっとですね、宿が1ヶ月ぐらい泊まれます!」


おお、とそれは凄いなと理解した

しばらくの間は安定して過ごせるのだなと分かったけど、やはり通貨の勉強も必要なんだなと痛感した


宿に行き自分の部屋を取った、メイは前日からこの宿に泊まっているらしい


「ふぅぅう、やっと休めるよ」


「はい、疲れましたね。魔力もほとんどありませんし。あっ、そうだお金を振り分けましょうか」


「いや、でもほとんどメイが倒したわけだし貰えないよ」


「何言ってるんですか、一気に倒せたのはソーイチさんが引きつけてくれたおかげじゃ無いですか!それに宿にも泊まれませんよ…では半々で分けましょう!」


「いや、それだと不公平だ俺は500ザール?…で十分だから」


「…分かりました、500ザールは少ないので1000ザールにしましょう?貸しを作っていてもソーイチさんが辛いですもんね。これで貸借りは無しですよ?」


「ありがとう、今の俺にとって1000ザールでも大金だからな」


「ふふ、変わった人ですねソーイチさんは」


「さんは付けなくていいよメイ、仲間だしな、敬語もやめてくれないか?」


「そう言われましても…じゃあ、さん付けはしませんが、敬語は使いますよ!」


「そっか、じゃあ改めてよろしくなメイ」


「よろしくお願いしますね、ソーイチ」


知らない世界に飛ばされてから1日目、スライムに殺されかけ、少女に助けられ、仲間になり、盗賊の職に就いた激動の1日だった


その夜

創一は夢を見ていた

城が見える、意識だけが奥に進んでいく

少女が見える、髪は長くさらさらしていて、星の様に一本一本が輝いていてる綺麗な髪だ

少女の前には肖像画があり、それに向かって祈るように手を組んでいる

目から一筋の涙が流れている

こちらを気付くように振り向き、手を伸ばして

その紅い眼がとても悲しそうで…


「おい!」


自分の声で目が覚める

自分の手が天井に向かって伸びていた

朝になっていた、日の光が眩しい

あの夢の女の子はいったい誰だったんだろう

漫画やアニメで観たのが夢にでたのだろう

しかし綺麗な人だったな


コンコンッとドアがノックされる音がする


「ソーイチ、朝ですよ顔を洗って朝ご飯食べますよ!」


バンッと勢いよく扉が開く

返事も無しにドアからメイが入って来た


「おはようメイ、今行くから」


ベッドから降りる、そして大きく体を伸ばす

これが朝のルーティーンだ、気持ち良く起きれるのだ


「おはようございます、今日もいい天気で…きゃっ!」


メイは手で目を隠した


『なんだろう?目線が下にいった瞬間に…?』


なるほど、理由が分かった

犯人は息子だ、いや俺には息子はいないがアレだ

下半身がテントを設営しているといった方が分かりやすいだろう

しょうがないじゃん、男の子だもの


しかし、このままは流石にまずい


腰を前屈みにして息子を引っ込ませる


「す、すまないが先に朝食をとっといてくれないか?」


「は、はい、先に頂いときます!」


と言って、バタバタと走って外に出ていった

すまない、朝から嫌なものを見せて


「はぁ、朝から大騒ぎだよ全く。ふぅー、じゃあ今日も一日頑張り…」


いや、違う

もうこの世界は俺の知っている世界では無い


殺すか殺されるの日常


それは前の世界ではなかった

勉強して、バイトして、友達と遊んでが俺の日常だった

…だったんだ

もう切り替えなければ、考えを気持ちを


「今日も一日生き残ってやるか」


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