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第1話 フラグが立ったからここに来た

~はじめに~


この小説は作者が勝手に面白そうだなと思って書いてみたものです。

ストーリーがガバガバだったり、全くインフレしてないじゃんとかたくさんあると思いますが許して下さい。


「遥ってさ、もし異世界に行ったら何がしたい?」


今日友達にこんな質問をされた。

そりゃあ、異世界に行ったんだからチート能力貰って空飛んだり炎出したりして無双したい。

私はそう答えた。


バーンバーンドーンドーンって敵をなぎ倒して、ヒロインがチョロくてハーレムワッショイワッショイな世界なんだから楽しいに決まってるはず。

まー、ハーレムは要らないかな?私女だし。

いや、でも逆ハーレムってのもいいのかな?

でも私は一対一の方が...


そんな事を考えながら学校から家に帰る道のりは長いようであっという間だった。

あとは信号を渡ってまっすぐ行くだけで家に着くほどの、わずかな距離だった。

その距離が途方もないくらい長くなるとは思ってもみなかった。


現実が非現実に変わるのはあっという間だ。


覚えているのは、信号を渡っているときトラックらしきものが私をひいた。

体が宙に浮いてやっと自分がひかれたことに気がついた。

落ちていく最中はコマ送りのように時間の流れで、いろんな人が頭をよぎった。

お母さん。お父さん。お爺ちゃん。高校の友達。一瞬誰だ?ってなった担任の先生。


そして目の前は真っ暗になる。

この日、遥の人生は終わった。


はずだった。


「...ってか最後によぎったのが担任とか最悪だ~!?」


そう言いながら飛び起きた。

あれ...?意識ある...生きてた?

両手、両足がきちんと付いている。

痛い所も特にはない。

あー、良かった~。生きてたー!...あれ?


喜びもつかの間。下を見ると草原が広がっていた。

どこまでも、どこまでも。青い空と緑の草原が広がる。


知らない場所。身に覚えのない場所。

そこからでてくる恐怖。その正体は一つの憶測だった。


「そう言えば天国ってこういう感じの場所だって聞いたことがあったような...」


死んだ?やっぱり死んじゃった?急に恐怖感が込み上げてくる。

ただ、彼女にはもう一つの可能性が捨てきれないでいた。


異世界転生だ。


・自分は、特になんの変哲もない女子高校生だということ。


・死ぬ手前までは異世界の事を考えていたこと。


・トラックでひかれたこと。


・おそらく、死んだあとこの場所にいること。


その一つの一つが異世界転生のフラグだと感じられた。


「じゃ...じゃあ、魔法使えたりするのかな?」


近くに木があるのを見つけた。

好奇心で手を挙げて、その木目掛けて


「ホノオバーン!」


ネーミングセンスの欠片もない声と共に前へつき出した指先から

灼熱の炎が...


「まあ、出るわけもなく~...あー、何やってんだろ私...」


当たり前の結果、ちょっと中二病臭い発言に、今頃恥ずかしくなってしまった。

理想的には、手から炎が出てきて木がドーンって燃えるはずなんだけどな~、現実はそう上手くいかないよね。

可能性は消えた。

彼女は異世界転生の可能性を諦めて、普通に死んだんだなと、思った。諦めはついた。だって異世界なんて幻想的だし、天国が存在してある方が奇跡なんだし...。

心の整理をしているときにアクシデントはおきた。


「おう、そこの姉ちゃん!」


そこに居たのは、服装は盗賊のような茶色く小汚ない感じだったが、それ以外は現実でもどこにでもいそうなチンピラだった。


「誰...ですか?」


恐る恐る質問する。

今、何の力もない一般市民の彼女に、この状況はただのピンチだ。

ってか何で天国にチンピラが居るのよ!と、突っ込める雰囲気ではない。


「なんだよ、冷てぇなあ...やれ」


そう言われて、後ろにいた二人組の男は遥を羽交い締めにされた。


「ちょっと!?何すんの..!」


ジタバタと抵抗する。

だが、力が強くて中々抜け出すことができない。


「お前ら、ちょっと退いてろ...」


そう言ってさっき命令してた男が前に出る。

何をするのか...そう思っていたが、一瞬拘束が解けた時、腹をえぐるような痛みが遥の体をはしった。


「がっ...」


体はそのまま宙に浮き、無造作に地面に叩きつけられた。

折れた。絶対骨折れた。

殴られた箇所から血がにじみ出る。口からも血が出た。

制服が血とかで悲惨な事になっている。

痛い。痛くて動けない。

意識がもうろうとする。


だが、チンピラたちも焦っているようだった。

正確には聞き取れないが、「どうすんだよ...!」や「加減したはずだぜ!」等と言っていた。


加減したって...これで...?力加減...ガバガバって...

視界に光が消えていく。

考える気力もなくなった。

彼女は本日二回目の死を遂げようとしていた。


「この者に、癒しを...」


その声を聞いて、また目を開くことができた。

...正確には回復魔法を行い、体の損傷が完治したからなのだが。

遥は勢いよく起き上がった。体の傷が全て治っているのにも驚いたが、目の前の光景を見てもっと驚くことになる。


火柱が円を描くようにいくつも上がり、草原を火の海に変える。その中心にいる青年は黒髪でアホ毛が目立ち、遥と同じくらいの歳にみえる。

一方、遥の傷を治した青年は肩にかからない位の青髪で右目が髪で隠れている。俗に言うクールでカッコいい系だ。


炎使いの青年が圧しているようにも見えたが、チンピラたちも負けてはいない。


「エアー...クロー!!」


そう言って出てきた三本の風の刃のようなエフェクトは、地面をえぐりながら猛スピードで炎使いの青年に迫る。

が、青年は炎の勢いで刃をかき消す。

その衝撃で爆風が起こり、遥の体が飛びそうになった。


「序盤で出てくる戦いじゃないでしょ...」


思わず声が漏れる。

序盤に出てくるような炎・風の魔法ではない。

全てが桁違いだった。


「くそ...あれだ!お前、あれをだせ!」


何かを思い出したかのように命令をする。


「分かりましたぜ~!時よ、止まれ!」


そう言って指をパチンッと鳴らした。

すると、青年たちの動きが止まった。遥もピクリとも動かない。

風の流れが、草木のなびきが、技をだしたチンピラ以外の時が止まった。


「いや~、これ一回やってみたかったんすよね~。これで勝ちは確定...」


驚きで言葉が出なくなる。

自分以外動けないはずの空間で、相手をしている青年が二人とも普通に動いているのだから。


「は?...お前ら、何で...」


「一つ言っておくとなぁ...」


チンピラは息を飲んだ。時を止めたのにも関わらず、相手はそれを無視して、動けているのだ。

そんな現実を受け止めたくはなかった。


「時止める能力に耐性のある奴なんて、今時メチャクチャいるぜ」


哀れみの目でそう言われた。


「え...」


チンピラは唖然とした。メチャクチャって、時止めてんだぞ。

だが、仲間が動かないのに敵が動けるのは分が悪すぎる。

渋々、チンピラは時の流れを動かした。


「遅いぜ」


時の流れが動き出した瞬間青年はチンピラたちの懐に入った。

一瞬のことだったので、反応が遅れる。


「炎の陣・レアバル!」


チンピラたちの周りにいくつもの火柱が立ち、なす術もなく呑み込まれる。

飛び散った火種が草木に引火し、辺りが炎の海へと姿を変える。


「おい!やりすぎだ!」


周りが燃えるものばかりのため、あっという間に火が広範囲へ広がる。


「だー!しまったー!」


いつの間にか、炎に囲まれてしまった。


「ちょっと!なにしてくれてんのよー!」


遥は涙目になる。今日だけで、トラックにひかれて、体をボロボロにされて散々なめに合っているというのに、その上炎に囲まれたのだ。嘆きたくもなる。


「仕方ない...水魔法、リューツァルト!」


遥たちの周りに水流がわき出て、あっという間に炎を消した。

草木は黒焦げて、さっきまでとは比べものにならないくらい残念な景色になった。


「はぁ...とりあえず...助かった~」


遥はその場に座り込んだ。やっと落ち着いて座ることができる。


「...さっき会ったばかりなのにすまないが、俺の質問に答えてくれないか?」


「うん、いいわよ。私は遥。さっきはありがとうね」


この人たちは悪い人ではない。そう確信した遥は親しみを込めて挨拶した。


「ハルカ...か、珍しい名前だな。俺はセトハ。でこっちは...」


「俺はアラタ!よろしくな!」


グイグイ来るのはあれだが、笑顔が希望に満ち溢れている。

こちらも思わず笑顔になりそうだ。


「ハルカってさ、彼氏とかいる?」


「は?」


いきなり思いもしない質問をされて唖然とする。


「いや、だから彼氏とかいないかな~って...」


いや、何故顔を赤らめる。


「率直に言うとさ、俺は...ハルカのことが好きだ」


だから何でいきなり告白とかしだすの!?

そんな笑顔で言われてもいきなりすぎるって。

何で?そんなに私って魅力あったっけ!?


「やめろ。困ってるだろ?」


「いや~、一目惚れってヤバいぜ?心臓バックバクだもん」


「ハァ...で、本題に戻るが、君は何故この草原にいる。ここは立ち入り禁止のはずだが...」


アラタの答えに呆れながらも、セトハは質問を自分のものに戻した。


「いや~、それが私にも分からないのよね~。死んでここへ来たって感じだから...あと、ここってずっと草原なの?出口とかある?」


相手には信じがたいとは思うが、そう答えるしかなかった。

だってそれが事実なのだから。


「まずいな...」


そう言ってセトハは膝をついて座り、人差し指を遥の額につけた。

場は、少し緊迫した雰囲気になった。


「...これでいい」


少しの時間静止していたセトハが立ち上がった。


「あれ...?ここってこんな狭かったっけ?」


さっきまでの果てしない草原が嘘みたいに小さい。


「さっきまで君は、呪いに掛かっていたんだ。ここの花の花粉には、人に幻を見せる作用がある」


「俺たちがここに来なかったら、大変なことになっていただろうな...」


大変な事...餓死や衰弱死等最悪な結果を考えてしまいゾッとした。でも...


「その前に、チンピラたちにボロボロにされてたわね。本当にありがとう。何かお礼がしたいんだけど...」


「礼はいい...」


「じゃあ俺と付き合っ...!」


勝手に出てくるな、とアラタにグーパンが入った。


「そう言えばさ、さっきちょっと時間がとんだような気がしたのよね~。あれって何だったの?」


「チンピラが時間を止めていただけだが...」


「いや、チンピラごときが時止めんなよ...」


チートすぎる能力をあのチンピラが使っていたという事実に驚きを隠せなかった。


「...それと、信じられないかも知れないけど聞いてくれないかな?」


遥はそう切り出した。ここで言えなかったらこの先色々と困るだろう。そう思って。


「実は私、死んでこの世界に転生したみたいなのよね...。まあ、信じられないならそれでいいけど」


「君もそういう系なのか」


あっさり信じてもらえたどころか、君もという言葉に驚いた。

自分の他にも転生者が居るのかと。


「じゃあ、急いであそこに行かないとな!」


と言い、アラタは遥の手を引いた。


「ちょっと待って!どこに行くの!?」


いきなりの出来事に遥はついていけなかった。


「どこって...それは着いてからのお楽しみだな」


そんな形で遥の異世界物語は始まる。

初イベントから時を止めるような人がいる世界ではあるが...

きっとなんとかなるだろう。

遥は勝手に好かれた人物に手を引かれ、草原をあとにするのだった。

小説って書くの大変...

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