序章
序章
ふと、目が覚めた。
見えるのは白い天井だ。ところどころに雨漏れでできたシミがある。
今日は休みだ。起きる必要はない。でも、起きよう、そう思った。
僕の名前は小橋優人。優しい人になってほしい、と名付けられた。
というの建前で、本当は別の理由で名付けられた。
まあ、それは今は置いておこう。
30過ぎのしがない会社員だ。成績はイマイチで、未だ主任にすらなれていない。
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さて、シャワーを浴びてすっきりしたところで、何をするか考える。
ぼっちの半引きこもりだから、特に予定はない。
ちょっと考えてみたが、何も思い浮かばない。
そういう時は決まってすることがある。
僕は本棚の前に立ち、おもむろに一冊の本を手に取った。
「異世界転生」
僕のバイブルだ。
クズな主人公が、異世界に転生し、転生した世界で必死に生き抜く。
そんな物語だ。流行りの転生物の一つだ。
憧れる。僕もやり直したい。彼と同じようにゼロから。
もちろん、彼のように頑張れるとは限らない。きっと無理だろう。
それでも、今よりは素晴らしい人生を送れる気がする。
まあ、普通に考えればあり得ないことだ。もちろん可能性はゼロとは言わない。
普通じゃないことなんていくらでもあるのだから。
とはいえ、宝くじの一等が当たるよりもはるかに小さい確率だろう。
僕にできることは、環境を変えることくらいだろう。差し当たっては転職か。
環境を変えることで少しはやり直すことができるかもしれない。できないかもしれない。
転職しよう。そう決めた。
それはもう5年も前のことだった。
彼は生まれ変わることでゼロからやり直せた。僕がやり直すのは転職からだ。
やり直すといっても、何かが巻き戻るわけでもない。続きからだ。
やり直すという表現は、気の持ちようでしかない。でも、それでいい。
僕はやり直す。
入念な準備をして、転職する。
それが僕のやり直しだ。
そして5年が経った。
「よし、やるぞ!」
バイブルを数ページ読んで、やる気が出た。
まだ、何をやるかは決まっていないが、気持ちは高まった。
そっと僕は、バイブルを本棚に戻し、深呼吸をした。
とりあえず投稿してみました。
読んでくれてありがとうございます。
続きはある程度書いているのですが、投稿しようか迷っています。
読んでもらえるか自信がないのもありますが、
実話3割に抑えても読む人が読むとわかってしまいそうなので。
続きを投稿するかは少し様子を見てから決めようと思います。
申し訳ございませんが、ご理解ください。