1-5 職業、勇者(笑)
飯の前に装備を整えようと俺達は宿を一旦出て、武具屋へ赴く。
歩きながらフィリアにこの町の事を聞いていた。
「なあ、この町ってどういう町なんだ? いきなり誘拐未遂とか治安悪いんじゃないか?」
「この町・・・”テンタシオン”は気候も穏やかで、領主様がとてもいいって評判なんですよ? そのコントローラーで町の情報見れませんか? 誘拐は・・・あれはたまたまだったんじゃないかと思います!」
能天気なゆるふわ女神見習いが元気よく答える。
あ、マップ機能にあったかもしれないな、この町には”到着した”わけだからデータがあるはずだ。
「使い方に慣れたいから私が見るわね。ん、丁度そこの角を曲がったら武器防具屋さんみたい。これ便利ねー」
綾香が早速コントローラーをいじってマップを確認していた。
こういうのを感覚で操作できるあたりは流石だと思う。
「お、町のデータ出てきた・・どれ・・」
町の人口や、特産などが書かれた文が目に入るが、綾香に腕を引っ張られてしまい確認を断念する。
「陽、それは後にしましょう。先に装備を買っちゃいましょ!」
「ん、着いたのか。んじゃとりあえず入るか。フィリアも装備必要だよなあ」
「私ですか? 基本的には魔法で戦うから武器は無くてもいいですけど、防御は固めたいですねえ」
などと和気藹々としながら店へ入る。
カランカラン、と一昔前の喫茶店のようなベルが鳴り中から軽快な女性の声で招き入れられる。
「いらっしゃいませー! 本日はどういったご用件ですか? 買いですか売りですか?」
へえ、装備を売ることもできるんだな、そういうところはゲームと一緒なんだな?
「装備一式を買いに来たんだが、一番いいのを頼む」
俺はドヤ顔で言い放つが、カウンターの眼鏡をかけたお姉さんが困った顔をして注意してくれた。
「んー、とりあえずお客様のジョブが分からないとそれは難しいですね? 冒険者ギルドにご登録はされておりますか? もし自分の適性ジョブが分からないのであれば調べてくれますけど?」
「ジョブ・・職業ですか・・・わたしは何になるんですかね・・」
フィリアは現時点だと女神見習いという肩書きはあるが、職業ではないのでただのニートだ。とりあえず後回しにしよう。
俺と綾香は一応”勇者”という事になっているので、それで何とかならないだろうか?
「あー、俺とこっちの綾香は”勇者”なんだが・・」
とても低い声量で『ほう』と言ったお姉さんの眼鏡がきらりと光った気がした。
何故だろう、嫌な予感がするのは気のせいだろうか?
「まあ! そうでしたか! それはそれは! そうですね、でしたらやはり剣でしょうか? そちらのお嬢さんでしたらこの細身の剣なんかがお似合いですかね。鎧はシルバープレート一式など如何でしょうか? フルプレートと違い、要所のみを守る形なので動きの制限はされません。後はシールドはお使いになりますか? もし大剣を使われるようでしたら、厚めのガントレットがよろしいかもしれませんね。」
一気に捲し立て、ずいっとカウンターから身を乗り出してきた。
「あ、ああ・・・とりあえず見せてもらえるかな? 武器はここに並んでいるヤツを見させてもらうよ」
お姉さんは、はいはーい♪ と、奥へ入って行った。一旦落ち着こう。
綾香はすでに武器の物色を始めており、片手剣と細身の剣、いわゆるレイピアを交互に見比べて握り心地を確かめていた。
「やっぱ勇者の肩書きって特別なのかね? あの人の態度が一気に変わったぞ」
先っぽに星形のアクセサリーが付いたステッキ(ロッドだろうか?)をかざしているフィリアに聞いてみる。
「そうですね、この世界は元々魔王が世界を支配していたすごく分かりやすい世界だったんですけど、勇者が倒すことで平和が戻ってきた世界なんですよ。だから勇者って肩書は特別だと思いますよ?」
「ふーん。まあ、おかげで装備が買えるからいいか・・・俺はこの大剣にしようかな、結構軽いし威力もありそうだ」
店の中はそこそこ広いので、軽く振ってみたが悪くない。
それにしても遅いな? 二人分の装備だからやっぱ時間がかかるのかな?
綾香も気になっていたようで、奥をチラチラと見ていた。
「呼んだ方がいいかしら? 私はこのレイピアにするわ! 装飾がきれいだし、手に馴染むのよね♪」
デモンストレーションのように突きを繰り出す姿が様になっていた。
フィリアも星形ステッキが気に入ったのか、ぶんぶんと振り回している。
「とりあえず俺はお金のチェックをしておくか・・・」
手にした鞄(俺はリュックタイプの鞄だ)を開けようとしたとき、ポケットに突っ込んでいたコントローラーが急に震え出した!
「おわ!? 何だいきなり!?」
画面をチェックをすると、店の外と店の奥にエネミーマーカーが光っていた。囲まれている・・?
コントローラーから機械音声が流れてくる。
<警告。敵性存在が接近中。至急迎撃態勢をお願いします>
「何? どういうこと!? 敵? ああもう、少し詳しい情報は無いの!」
綾香がコントローラーに呼びかけると、機械音声が綾香の呼びかけに答えてくれた。
<引き続き情報が欲しい場合は、今から申し上げる口座に10万円を、振り込んでください>
こいつ!? 転移する時に喋ってたヤツじゃねーか!!
思いついたネタを忘れてしまった・・!
まあ夢だったから仕方ないよね。
読んでくださってる方、本当にありがとうございます!
完全不定期連載(思いつきのみで書く)ので、ブックマークしてくれている方にはホント申し訳ないです・・・・。
【後書き劇場Mk2】
『なによmk2って』
いや、あっちは元祖でこっちは二番煎じだからこれでいこうかと。
『やってることは変わらないからどっちでもいいと思うんだけど・・というか、あの音声今後出番が増えるとか無いわよね? あんながめつい詐欺音声より、私出してよ』
<適性存在を確認しました。これより排除します>
『でででででたああああ!?』




