episode3 お姉さま
3メートルはある門の前。南は立っていた。
「な〜〜ぁ、いれてよー姉キィ」
インターホンに向って声をかける。
が、インターホンからは冷たい言葉。
「一生そこに居れば??」
南は、そこにはいないのに…姉の冷たい目線を感じるのであった。
事の発端は合コン。
「早く帰って来い」と姉に言われていた南は、すっかりその言葉を忘れてしまい…
帰りが10時になり、姉に家に入れてもらえない…と、言うわけだ。
それにしても…南の家は大きい。
南の母親&父親は、世界的ブランド【SUZUKI】の社長で、大金持ちだからである。
さっきも言った高い門。
その先には花畑に囲まれた長ーい通路がある。
歩いていくと、テニスコートやプールが両側に見えてくる。
やっとたどり着いた大きな玄関のドアには、金色のライオンを模った鍵穴。
両開きになっている美しい白色のドア。
まさに、豪邸。
だが南は門にも入れてもらえず……
姉キ…鬼だ…ひでぇよ…
心の中でそう叫んだのがかなったのか、「入っていい」という許可をもらい、鍵を開けてもらえた。
長いフローリングのつきあたり。
大きな両開きのドアを開けた。
「おかえり」
「あ、姉キ…」
目の前に立つ、美しすぎる女性。
鈴木志保(22)、独身。
細く、なめらかな茶髪。
上から下まで…綺麗でないところが見つからない。
本当に、美しすぎる女性。
その整った口の端をニヤリと上げ、南の顎を、右手でとらえた。
「南ィ?あなた…今日は早く帰って来いって言ったわよねぇ……!?」
グイッと顔を近づけられ、あまりの迫力に
「ハイ、そうです」
としか答えられない南。
学校でも部活でも、恐ろしいほどの権力を持つ南だったが、志保にだけは…頭が上がらないのである………
南は、「まずいっ」…そう確信していた…が、
「まぁ!そんな事どうでもいいわっ」
パッと南の顎から手を放し、満面の笑みで言った。
あの、姉キが…おかしい…
「はぁ?」と言いたいのを抑えつつ…
「と、言うと…どういう事ですか?お姉さま?」
せっかく上機嫌な志保の機嫌を損ねないよう、恐る恐る…慎重に聞いた。
「フフフ…そうね…フフッ…」
こ、コエー。ニヤついてやがる
南が一歩引くと
「なによっ」
と言われた。
しばしの沈黙・・・
「で、本題に入っていいかしら?」
志保はソファに座った。
隣をポンポンと叩く。
南は頷き、黙って隣に座った。
「どーぞ」
抱きしめたクッションに顔を埋めながら言った。
すると、志保は口を開く。
「…聞いて驚かないでよ?」
「私、結婚するの」
・・・・・・・・・・・。
「キャハっ、言っちゃった!!」
恥ずかしー!!と、南の背中をバンバン叩く。
しかし南はというと、
「あっそ」
なんともあっけない……
「なによー、驚きなさいよ」
「驚くなって言ったじゃん」
「可愛くない子ね〜」
志保は南の頬を抓る。
そのままグイーと引っ張った。
「にゃにふんだほー(なにすんだよー)」
南は手をバタバタさせる。
志保が手を離した。
南は自分の顔を手で覆い、下を向いた。
「いって〜〜〜ぇ」
「フン、ざまあみなさい」
志保は腕を組み、鼻を鳴らす。
南は頬の痛みがひいたのを確認すると、志保のほうを向く。
「で?相手はもちろん…広兄なんでしょ?」
「もっちろん!!広哉以外誰が居んのよーー!!」
もーうっ!!と叫び、顔を真っ赤にしてまたまた南の背中を叩いた。
「いたっ!いった…痛いって!」
「ああ、ゴメーン」
たたくのはやめたが、反省の色ナシ……
まったく…姉キはいつもそうだ…
で、広哉っていうのは、姉キのカレシ。
夏目広哉(22)。
夏目財閥の御曹司。
夏目財閥は、世界的に活躍する、日本有数の財閥である。
そんないいとこの坊ちゃんに大学に入って一年のころ一目ぼれした志保は、“スグに”告白。
本当に、“スグに”だった。
だって、初めて見た日に告白したのだから。
告白の返事はOK!!
全く…初めて会ったやつの告白をOKするなんて…ロクでもないやつだ…、と、南は思っていたが、広哉は本当に志保のことを溺愛していた。
これには南もビックリである。
それから四年。今、志保は父と母の手伝いをしている。
志保も広哉ももう22。そろそろ結婚しようという事になり、めでたく…志保と広哉のバカップルは、とうとう結婚することになった…
というわけである。
別に南はそろそろ言ってくるころかと思っていたから、驚きもしなかったのである。
「……よかったじゃん」
志保から目をそらし、ボソッとつぶやく南。
その仕草がお気に召したのか、志保は「もー!!可愛くない!!」と言って南の頭をくしゃくしゃした。
明るい月が昇る夜。
仲のいい姉妹の賑やかな声が響いていた。
―――自己紹介シリーズ―――
3.鈴木南
18歳
身長…172cm
性格…クール、静か。
意外と繊細。
好きな食べ物…何でもいい
嫌いな食べ物…特になし
背番号…7
ポジション…エースアタッカー
こんにちは。ぞうのはなです。
気に入ってるんです!!志保ちゃん(´▽`*
こーいうお姉さまキャラスキだわぁ……