episode1 出会い
「合コン!!行く人ーー!!」
勢いよくドアを開け、部室に入ってきたのは佐々木友子十八歳。
旭乃山学園高等部、三年。バレー部所属のレギュラー。
「え〜〜、またすんのぉ?」
こりないね〜、と首を振ったのは、佐倉爽子。
ともこと同じく、高校三年のバレー部レギュラー。
「あったりまえ!!部活後は合コン!!ん〜、苦労して相手探したかいがあった!!」
ガッツポーズをとる友子の後ろから、ショートカットの頭がのぞく。
鈴木南、またまたバレー部レギュラーの三年だ。
「あーー、汗くっせー。とも、邪魔」
「あー、ごめん」
南は友子の肩をポンポンとたたき、どかすと、部室に入って行った。
「ホラ、とも。入口に突っ立ってると邪魔だから…こっち座んなョ。」
「うん」
爽子は自分の座っているシートの隣をトントン指さした。
友子はおとなしく座る。
部室の部屋は狭く、六畳くらいだろうか。
入って左側にはベットのような段差があり、その上にシートが被せてある。
ここに部員たちは座るのだ。
右側には棚があり、部員のユニフォームやシューズがしまってある。
左側の壁には…ポスターが貼ってある。
ある、バレーボール選手のポスターだ。
名前は、佐藤楓。
部員たちがあこがれる、女子日本代表のアタッカーだ。
そのポスターを、棚に寄り掛かってボーっと見ている南に、友子は元気よく話しかける。
「で、その合コンの相手は何と…ジャ〜ン!!松嶋校サッカー部っで――っす♪」
両手を広げ、ニタニタと笑う友子。
「え!!マジ!?松嶋校って…男子校じゃん!!イケメン揃いの!!」
爽子は早々くいついた。
「さっき、“えー、またすんのぉ?”とか言ってたくせに。やっぱ、行きたいんじゃん」
友子はイヤミたっぷりに爽子を見て言った。
「うるっさい。で、今日?明日?いつなの!?」
爽子は友子に顔をぐいぐい近付けた。
「ハイハイ慌てない…今日だよん」
「うっっしゃ!!」
目をキラキラ輝かせる二人とは対照的に、南はいかにも興味なさそうな顔をする。
ふと、窓から外を見てみると……淡いオレンジの光が辺りを染めていた。
「ん……もう夕方じゃん。あたし、帰る。」
南は自分の横に置いていたバッグを掴むと、部室のドアへ向かった。
………が、その足を友子が掴む。
「み〜な〜み!南も合コン、来るんだよ!」
「“来るんだよ”って…キョーミねー…」
うんざり…という顔の南。
「え〜〜〜!!なんでよ〜ぉ!!せっかく私が松嶋ゲットしたのに――!!」
「知らん、そんなの」
手足をバタバタするともこに、冷静に言い放った。
すると、爽子が…言い合いに入ってきた。
「南ィ…アンタ、もっと自分の顔とスタイル売りにしなって!!勿体ないよ」
「そーそー」
友子も同意する。
確かに南は、誰もがあこがれるであろう、顔立ちとスタイルをしている。
スリーサイズも完璧だ!!
身長も172cmと高い。
ショートカットがよく似合う。
「まぁったく…南の男嫌いは………」
「友子っ!!」
爽子が大きな声をあげた。
「友子…それは…」
途端に友子の顔も曇る。
「あ…ゴメン……」
友子は下を向いた。
「いいよ、別に」
南はなぜか…切なそうな目をした。
部室の空気は…一気に重くなってしまった…。
「あ…あのさ、ね…合コン!来なさいよ、南!!」
口を開いたのは、爽子だった。
「…わかったよ」
南は、少し間をおいて返事をした。
ごめん。とも、爽子…ごめん。
気ィ使わせてるよね。ごめん。
ホントに、ごめんね…
あの事故から二年。
そろそろふっ切らなきゃ、私。
―つづく―
――自己紹介シリーズ――
1.佐々木友子
18歳
身長…165cm
性格…明るく、元気
ガキっぽい
好きな食べ物…メロン
嫌いな食べ物…ピーマン
背番号…1
ポジション…セッター