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不幸で幸福な仮想世界で 『神話世界オンライン』  作者: 原初
ゲームの始まりと白きメイド
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2 ステータス説明とおかしなAI? お、俺は男だ!

初日の連続更新です。三話まで更新します。


これは二話目。

 さてと……。時間が進むのは早いもので、今日が『神話世界』の正式稼働日だ。昨日のうちにVRディバイスの設定も終えてあるので、あとはスタートするだけである。


 昨日、妹の沙綾と電話した後、沙綾からメールが送られてきた。ゲームが始まって、チュートリアルを終えたら、始まりの町である、ファストの時計台の広場で待ち合わせしようと。


 ファストというのは、ゲームの中の町のことだろう。そこに時計台広場というところがあるってことか……。まぁ、ゲームの中で聞けばいいだろう。


 それよりも。今からはキャラメイキングだ。サービス開始まであと一時間ほどあるが、その間にチュートリアルまでは受けることができるそうなので、そこまでをさっさと済ませてしまおう。


 ところで、話は変わるが、『神話世界オンライン』というゲームについて少し詳しく説明しておこう。


 『神話世界オンライン』は、王道なファンタジーRPGだ。具体的には、町の人に話しかけて、クエストを受けて、モンスターと戦って、ボスを倒して……。といった感じだ。


 『神話世界オンライン』にはステータスが存在する。ステータスとはプレイヤーの能力を数値化してあらわすものである。


 その項目を分けて紹介すると、こうなる。


 名前。プレイヤーが登録した名前が表示される。別に本名を入れる必要はない。


 性別。男か女か。おかまさんやおなべさんという表示はない。ゲーム内で性別を偽ることはできない。


 プレイヤーレベル。レベルと表示されるそれは、プレイヤーがモンスターを倒したり、生産行為をしたり、クエストをクリアすることで得られる経験値を規定値まで上げることで上昇する。


 種族。プレイヤーの種族を現す。種族は人族、獣人、エルフ、ドワーフの基本四種族と特殊種族がある。特殊種族になる方法はわかっていない。種族によってステータスの基礎値が違う。また、その種族にしか使えない特殊スキルがあるらしいが…。


 職業。プレイヤーのジョブを現す。ジョブの種類によって補正の入るスキルの種類は違う。また、特定のジョブでしか取得できないスキルも存在する。


 HP。プレイヤーの生命力を現す。これが0になるとプレイヤーは《死亡》とみなされ、死に戻りとして最後に立ち寄った町、もしくはセーブポイントに設定した町に強制転送させられる。《死亡》を回避するための蘇生アイテムや蘇生魔法もあるが、序盤ではあまり関係ない話である。


 MP。マジックポイントの略称。プレイヤーの魔力を現す。スキルや魔法、アーツを使用するときに消費する。時間経過で回復する。


 力。プレイヤーの物理攻撃力を現す。この数値が高いほど、物理攻撃で与えるダメージが大きくなる。


 物防。プレイヤーの物理防御力を現す。これが高いほど、物理攻撃で受けるダメージは小さくなる。


 知。プレイヤーの魔法影響力を現す。魔法影響力とは、魔法によってどれだけの変化を与えられるかということ。これが高いほど魔法の効果は増す。また、MPの時間経過による回復量にも関係するようになる。


 魔耐。プレイヤーの魔法抵抗力を現す。魔法抵抗力とは、害意ある魔法への対抗力を示し、これが高いほど、害意のある魔法や魔力の伴った行為の影響が減る。


 速。プレイヤーの速度を現す。戦闘中の移動速度や攻撃速度。それ以外にも速度関係全般を現す。


 器用。プレイヤーの生産能力を現す。器用が低いと生産行動に様々なデメリットが生じる。戦闘にはあまり関係ないが、中には器用を求められる武器もある。


 SP。ステータスポイントの略称。プレイヤーレベルが上がるたびに2ポイントずつ入手できる。プレイヤーはこのSPを振り分けて上の六項目を成長させる。


 スキル。プレイヤーの所持するスキルを現す。スキルはキャラクターメイキングで五つ。最大で十まで効果を表す。十一個目以降は控えスキルとすることができ、控えスキルに上限はない。ないが、スキル所持数が増えるにつれて、スキルのレベルアップに必要な経験値が増える。なお、スキルはある一定のレベルに上がるか、条件を満たすことによって変化、または進化する。スキルの取得はスキルシードというアイテムが必要。スキルシードはレアアイテムであり、モンスターから低確率で入手することができる。また、スキルブックという特定のスキルを取得できるアイテムも存在する。


 称号。プレイヤーの称号を示す。称号は、特定条件を達成すると取得することが可能で、称号によって効果は異なる。


 装備。プレイヤーの装備品を現す。


 長くなってしまったが、こんな感じだ。これが一般的かどうかはさておき、そろそろキャラメイクに入ろうじゃないか。


 リラックスできる恰好に着替えてっと……Tシャツと学校指定のジャージでいいや。水分補給とトイレもよし。後は……。空調を入れとくか。設定温度は下げ過ぎないようにして……準備完了。


 パソコンに繋いだVRディバイスを頭に装備。ヘルメット型のそれは流線形でかっこいい。男心をくすぐるデザインだ。


 身体データの読み込みは昨日のうちにやっておいたから、これでよし。ベッドに横たわり、ディバイスのスイッチを入れる。


 意識がすぅーっと薄れていき……。



 気が付けば、見知らぬ空間に立っていた。


「えっと、ここでキャラメイクをするの……かな?」

「その通りです」

「わっ」


 びっくりした。いつの間に出てきたんだこの人?


 歳は俺と同じくらい。輝くような純白の長髪に、整った顔立ち。軍服のようなデザインの服を着ている。普通に美少女だった。あ、下はミニスカね。ニーソとの絶対領域がまぶしいです。


「ようこそ『神話世界オンライン』へ。私は神の使者として異邦人のあなた方を異世界ディストピアに送るもの…………という設定のAIです」

「おい」


 何をぶっちゃけているんだ、この無表情っ娘は。


「………なにかお気に召さないことでも?」

「いやいや、自分のセリフを顧みてくれよ!設定とか言ってもいいの!?」

「禁則事項に当たる行為ですが?」

「何をしてらっしゃる!?え、それ問題なんじゃ……」

「ええ、あなたがこのことを運営に報告すれば、私という存在が消え去る程度には問題なことですね」


 淡々とした口調でそういう。なんだこいつは……。キャラメイク専用のAIとかじゃないのか?まぁ、変な美少女だと思っておこう。変に考えすぎるのもよくない。


「えーっと、とりあえず、あんたがキャラメイクをしてくれるってことでいいか?」

「その通りです。それと、私のことはユリィとお呼びください」

「ユリィな、わかった。で、ユリィさんや、キャラメイクはいつになったら始まるのかね?」

「すぐにでも始められますよ。では、キャラメイクを始めます」


 ユリィがそう言うと、俺の目の前に投影型のタブレットが出てきた。


「そのタブレットに触れてください」


 ユリィの指示に従って、タブレットに指を触れさせる。すると画面が切り替わり、俺の体が映し出された。


「まずは、アバターの設定をします。なお、顔の造形をいじることはできません。性別の変更も不可能です。女の子の体を知りたかったら彼女でも作ってください」

「余計なお世話だ。で?どこの変更ができるんだ?」

「瞳の色と髪の色、そして髪型です。この二つが違えば、人間の印象は大きく変わります」


 そうなのか。ならいろいろいじってみますか。


 まず、黒髪を深い蒼にして、腰あたりまで伸ばしてみる。そして、いつもは顔を半分ほど隠している前髪を、左目のほうに流すようにして、右目だけ露出させる。


 瞳の色は……露出している方の右目は髪と同じ色にしよう。そんでもって、隠れてる左目は紫に染めてみた。紫は古来中国で禁色と言われていたもの。かっこいいだろ。


「………………」

「あれ?ユリィさん?」


 固まって動かない……。まるで石像のようだ……ってそうじゃなくて。どうしたんだ?無表情な瞳が、かすかに見開かれてるように見えるんだが…。


「お、おにゃのこ……?」

「喧嘩なら買うぞ?俺は男だ!」


 ああもう!何度目だこれは!俺の素顔はそんなに女顔なのか!


 考えてもみろ、何かとあれば女に間違えられることの屈辱を。公園の男子トイレに入ったら痴女扱いされた俺の気持ちを。男から告白されるおぞましさを!それが嫌で俺は一人暮らしをしてまで高校を俺の学校から誰も行かないところにして、前髪を伸ばしに伸ばして半貞子になってるんだぞ!


 畜生……。自分で言ってて悲しくなってきた……。


 崩れ落ちる俺に、申し訳なさそうにおろおろしていたユリィが、恐る恐る、こう言った。


「え、えっと、あの、その……か、可愛いからいいんじゃないでしょうか?」

「ぐはっ」


 とどめ、刺された……。


 

二次元なら男の娘もアリだと思っている私は変態なのか……。


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