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不幸で幸福な仮想世界で 『神話世界オンライン』  作者: 原初
ゲームの始まりと白きメイド
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1 神話世界オンラインと妹 やっぱり俺の妹は最高だ

どうも、こんにちはそして初めまして。原初というものです。ちょっとVRMMOものが書きたくなって、書き始めました。更新は週に二、三回を予定しています。


「中二病幽霊が、異世界で起こす嵐、その物語です」も、よろしくです!

 ゲーム。


 それは、自分の中にある幻想を満足させるためのものであり、娯楽だ。俺もよくやっている。特に好きなのは、ロールプレイングゲーム。その役割になりきって冒険するというもの。


 幻想世界や近未来。魔界やら和風世界なんかもある。ダンジョンに潜ったりするのだって定番だ。


 俺、東雲咲樹しののめ さきは、そんなライトなゲームオタクの高校一年生だ。ゲームオタクというよりは、二次元オタといったほうがいいかもしれない。漫画もアニメもラノベも大好きです!


 話がそれた。今はゲームのことだ。


 ゲームというものは、進歩が激しい。ファミリーなコンピューターや四角いあれ。プレ〇テなんかもある。携帯型のゲームもごまんとあるだろう。


 しかし、最近注目を集めているのは、そのどれにも当てはまらないものである。


 その名も、VRゲーム。


 電子仮想世界の中に特殊なディバイスで意識を送り込み、その内部でつくられた仮想体(アバター)を操ってゲームをプレイするというものだ。これまでのゲームとは一線を五回ぐらい超えている。


 詳しい原理?知らない。そう言うのは科学者や説明大好きな博士キャラに任せておこう。重要なのは、そのVRゲームを遊べるかどうかなのだから。


 現実ではできないことをやってのけるというのだ。しびれるし、憧れる。


 VRゲームの中で、今最も注目を集めているのが、『神話世界オンライン』。ジャンルは、バーチャルリアリティマッシブリーマルチプレイオンラインロールプレイングゲーム。略してVRMMORPGだ。


 神々がいるファンタジーな世界で冒険するというド直球な内容のこのゲームは、だからこそ多くのゲーマーに火をつけた。また、一般の人にも受け入れ安くなっている。現在はベータテストが終了し、正式稼働を待つばかりである。


 そして俺ももちろんそのゲームを………………………持ってたらいいんだけどなぁ。


 はい、持ってないです。買えませんでした。タッチの差で奪われました。畜生、あのフード野郎め……。


 第一陣に乗り遅れ、第二陣が始まるのは三か月後と聞いている。夏休みが終わった後だ。この夏休みをプレイできないのはつらい……。辛すぎます……。


 そんな風に絶望を抱えながら三か月を過ごそうとしていた俺に、救いの手が差し伸べられたのは、ゲームの正式稼働の前日だった。


 

 その日、一人暮らしをしている俺の部屋に、一つの荷物が届いた。差出人は俺の妹である。


 妹とは二つ年が離れている。いまは中学二年生だったはずだ。そんな妹から……なんだろう。


 疑問に思いながら、箱を開ける。中から出てきたのは……『神話世界』。


「は?…………え、えぇえええええええええええええええ!?」


 絶叫。そして驚きのあまりひっくりかえってしまい、頭を床で打った。いたい。


 なんであいつから『神話世界』が送られてくるんだよ……。意味が分からない。そうやって混乱していると、ポケットに入れておいたスマホが着信音を鳴らした。相手は……


『もしもし、お兄ちゃん。ちゃんと届いたかな?』


 妹の、沙綾さあやだった。


「沙綾!?おま、これ、どう……」

『お兄ちゃん落ち着いて。どうどう』


 妹にそう諭されてしまった。そうだな……ちょっと驚きすぎた。


「ふぅ……で、なんでお前がこれを送ってくるんだ?」

『えへへ、お兄ちゃん、今日誕生日でしょ?誕生日プレゼントだよ!』

「誕生日……そういえばそうだったな。すっかり忘れてたけど」

『うう、やっぱり忘れてたよ……。でも、おめでとう、お兄ちゃん』

「ああ、ありがとうな、沙綾。…………で、なんでお前が『神話世界』を持ってるんだ?」


 沙綾が俺の誕生日を覚えていてくれて、こうやってお祝いしてくれるのは素直にうれしいのだが……。やっぱりそこが気になる。仮に買えていたとしても、沙綾もゲーム好きだ。俺に渡すなんてことはしないだろうし……。


『それは、わたしがベータテスターだからだよ、お兄ちゃん!』


 さらっと驚愕の事実である。マジでか。


「よく当選したな。倍率すごくて俺はあっさり落ちたというのに……。相変わらず運がいい」

『えへへ、それが取り柄だもん。それで、ベータテスターの特権に、一人だけゲームに招待できるって言うのがあるの。それで手に入れたのがそれだよ』

「なるほど……。でも、よかったのか?友達とか誘わなくて」

『一緒にゲームをやるような友達はみんな持ってるよ。わたしの学校、お嬢様校だよ?』

「そういえばそうだったな……。似合わな過ぎて忘れてた」

『ひどい!お兄ちゃんのばかー!』

「ははっ、冗談だ……ありがとな、沙綾」


 俺が素直にそうお礼を言うと、スマホ越しに『えへへ』と恥ずかしそうに笑う声が聞こえた。


『どういたしまして、お兄ちゃん。わたしも、久しぶりにお兄ちゃんとゲームするの、楽しみだな』

「俺もだよ、……っと、『神話世界』の正式稼働は明日だったよな?じゃあ俺はもろもろの設定を終わらせとくよ。本当にありがとう。愛してるぞ、沙綾」

『ひゃんっ!お、お兄ちゃん……』

「ははっ、じゃ、明日な」

『うぅ……。うん、明日ね』


 スマホのマイクに「チュッ」とくちびるを当ててやると、またまたかわいらしい声が聞こえた。それに満足して通話終了のボタンを押す。


 やっぱりうちの妹は最高だと思いましたまる。

まぁ、初回はこんなものか……。


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