第八話___死の確信
前回 シグマは足を負傷しましたが その後どうなるのでしょう?
足が動かない
森の出口が、目の前にあるというのに出れないことに対する 悔しさや怒り そして絶望 様々な感情がシグマの脳内を駆け巡った
何とか森から出ようと腕の力だけで這いずる。
あと少し……
シグマが手を伸ばした瞬間 後ろで かすかに嫌な音がした 風を切る音だ。その音はどんどん大きくなり背中に鋭い痛みを感じると同時に音が止まった
シグマは口から勢いよく血を吐く。
足元には血の池が出来ていた
痛い……死にたくない……早く逃げたい
そうは思っていても 血まみれの足は動かなかった
助けを呼びたい……叫びたい……
なのに口から出てくるのは声ではなく 真っ赤な血だった
「クソッ」
やっと出た声は蚊の鳴くような小さな声だった
どんどん目が閉じ意識が薄れていく
かすかに足音が聞こえる
その音は どんどん大きくなっていき
シグマの真横で足音が止まった
(追いついてきた……俺はここで死ぬのか)
シグマは死を覚悟した
(確かに俺は 男を木で潰した それで全て終わりにしたはずだった なのになぜ……いや、確かに効果はあった アレで大怪我を負わせたはずだ 俺が森の奥に逃げている途中に鎌を投げることだって出来た なのにそれをしなかったのはなぜか?外した時にもう一本 鎌を召喚すると体力を消耗する これ以上体力を消耗したら確実に俺に追いつけなかったからだろう 奴は最後 一か八かの賭けに出た もし俺の足に鎌が刺さっていなかったら 奴は諦めていただろう 俺は平穏な生活がしたかっただけなのに……なぜ)
たった数秒の間にシグマは色々なことを考えていた 時の経過が遅く感じる きっとこれが死ぬ前に起こる現象なのだろう
目は開かない 呼吸も上手くできない もはや痛みも感じない でも音だけはよく聞こえた
風を切る音がする
この音が止まった時 俺は完全に死ぬだろう
シグマは再び死を覚悟した もう死ぬことなんて怖くなかった
風を切る音がさっきより近い すぐそこで聞こえる
(あれ?なんで向こうから鎌が飛んでくるんだろう さっき俺の横で足音が止まったはずなのに……今俺の横にいるのは誰なんだ……)
目は見えないのに何故か、鎌がシグマの首に向かって飛んできている事が分かった
シグマは完全に人生を諦めたのだろう
急に意識が遠くなった
その瞬間 かすかに金属同士が擦れ合う音がした
それを確認してシグマは意識を失った
シグマは死ぬのでしょうか?
次回お楽しみに