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第三十六話____女神降臨

差し込む光で、一瞬目が眩む。

シグマは両手で光を遮断し、細く目を開けた。


視線の先にいたのは、警備隊の男達とは程遠い、小柄で細身の女性、アセビアだった。


「おはようございます!」


丁寧で落ち着きのある声が、シグマの心に癒しを与えた。


「おは・・・」


シグマが挨拶を終える前にアセビアは続けて、口を開く。


「シグマさん!無事で良かったですっ!!」


先程の落ち着いた雰囲気とは違い、今度の言葉には、どこか無邪気さを感じた。


「警備隊が森へ向かったって言うから凄く心配で……」


シグマは優しく微笑む


「心配してくれてたんだな。ありがとう」


開きっぱなしのドアを閉め、二人は椅子に腰をかけた。


「正直、警備隊がここまで来たことには、かなり驚いた」


アセビアが不思議そうにシグマを見つめる


「でもどうして、ここまで来ることが出来たのでしょう?」


シグマは昨日の出来事を思い出しながら答えた


「犬だ…奴ら犬の嗅覚を利用し、何かしらで残った俺の匂いを辿ってきたんだ」


「なるほど……でもそれなら一つ疑問があります」


「ん?」


シグマは疑問になるような発言をしただろうか、と考えながらアセビアの話を聞いた。


「なぜシグマさんは今無事なのですか?敵が多く位置もバレている状態で、とても逃げ切れるとは」


シグマは、そんなことかと自身が使った作戦を説明する。


「この森を上手く使いながら、警備隊を撒いて犬の鼻には糞を詰めた」


「糞…ですか……?」


「うん糞 自分の糞」


「シグマさんのですか!?」


「いやっ違う!!犬からみて自分のっていうか とにかく犬の糞だ!!!」


シグマの焦り具合にアセビアは苦笑いをしながら


「犬の嗅覚を使えなくしたんですね……」


ナイスフォロー!とシグマは心の中でグッドサインを出した


「そういうこと!そうすれば犬がマヌケだったっていう結果で全てが丸く収まるわけだ」


シグマは人差し指で宙に丸を描く。

アセビアはパチンと両手を合わせ感心していた。


「凄い!シグマさんって賢いですね!!」


褒められるのは嬉しいが、目の前で褒められると凄く照れてしまうものだ。シグマは頬を赤くしアセビアから目を逸らす。


ギュルルルル、シグマのお腹が鳴った。

更に頬を赤くし、深く目を逸らす


「そう言えばシグマさん!この森、全然食べられる植物がないですね……一体何を食べて生活していたのですか?」


シグマはあの時食べた、魚の特徴を説明する。


「なんかぬるぬるしてて、長いヒゲが六本生えている茶色のくせぇ魚を釣って食べたな」


アセビアの顔は、みるみる引きつっていった


「ドロナマズですね……あれを食べたんですか…」


アセビアは持ってきたバスケットを机の上に置くと、上に被せてある布を外した


「おおおおぉ!」


そこには、たくさんのフルーツや野菜が色鮮やかに並べられている。


「これ食べていいのか!?」


シグマはキラキラした目でアセビアを見た


「もちろんです!」


シグマの目に映っているのは、人間ではない。

まさに女神様だった








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