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第三十五話____踏んだソレの持ち主

「おーい!!」


シグマの心臓はさらに強く鼓動した。

しかし、すぐにその声はシグマに向けて発せられたものではないと気づき、とてつもない安心感に包まれた。


「街で犯人が見つかったらしいぞ!」


数分前のシグマなら、この発言に驚きを見せていただろう。しかし、その正体は化け狐だと、知っている今、シグマにとっては貴重な情報源だった。


「そんなはずはない!確かに、この森に犯人が居るはずなんだ」


この発言には、さすがのシグマも驚きを隠せなかった。なぜバレたのか、俺は今どうするべきなのか、シグマは自問するが最適な自答を返せないでいた。


「化け狐が気になるところだが、今はとりあえず逃げねぇと」


小さく呟き、少しの物音も立てずに後ずさる。

警備隊の何人かは街へと帰っていく。

シグマは距離を取ったことを確認し、ダッシュで逃げようと勢いよく振り向く、しかしシグマの足は前に進もうとしなかった。


視線の先には、狼にも似た犬がジッとコチラを見つめて座っている。しばらく目が合ったあと、犬は立ち上がり地面に向かって鼻をヒクヒクと、動かす。その状態のまま、犬はシグマのいる方へと足を動かした。


シグマの目の前で足を止めた犬は勢いよく空を見上げ、大きく遠吠えをした。


「マズイっ!!」


シグマはとっさに、体の向きを変え森の奥へと走り出した。後ろを向くと、先程の犬だけが追いかけてきている。恐らくもっと後ろには警備隊もいるのだろう。


「とにかく家から離れて、あの場所へ行こう!」


シグマは家がバレないように、大きく回り道をしながら、先程の川へと向かった。


犬は、大きく剥き出しになった木の根や茂みに邪魔され上手く走れないようだ。犬がこの様子なのだから、後ろの警備隊は尚更おくれをとっていることだろう。それに対して、シグマは この森をよく知っている。得意気に犬との距離を離していった。


走りながらシグマはあることに気がつく


「さっき踏んだ、こきたての うんこはコイツのだったのか!?」


シグマは目的地に着くが、川は大きな崖の下にあるため、結果的に行き止まりとなってしまった。


後ろからは相変わらず犬だけが追いついてきていた。逃げ場を失った、シグマに犬が飛びつく。


大きく広げた口の中には、鋭く尖った牙が綺麗に生え揃っていた

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