第二十九話____命をかけた策
蜘蛛が大きく口を開く
大きな牙からは蜘蛛の唾液がぽたぽたと落ちていた
しかしシグマは頭上の蜘蛛には目もくれず瞼を閉じている
(目より感覚 見るんじゃない……感じるんだ……痛みを!)
グサリと蜘蛛の牙がシグマの体に刺さる
しかしその瞬間 蜘蛛の牙は凍りつき始めた
(……)
シグマは勝利の瞬間をただただ静かに待っていた
牙から顔へ顔から体へと氷は張り続け
蜘蛛は何も抵抗できないまま氷に覆われて動かなくなっあ
「汚ぇ自分のヨダレを恨みな」
シグマが少し力を入れると蜘蛛の体はバラバラに砕け散った
しかし牙が刺さった事実は変わらない
シグマは硬い蜘蛛の糸を持ってきた棒に巻きつけようとしたが そう簡単に巻きついてくれなかった
仕方なく蜘蛛の糸が付いている木の枝を折り それを持って足早に自宅を目指した
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目を覚ますと眩しい太陽がシグマを照らす
ベッドの上には血がべっとりと付いていた
「あぁ……血 出しっぱなしで寝ちゃってたのか」
よく生きてたな と自分を褒め一階に行く
昨日持ってきた蜘蛛の巣付きの枝と加工済みの棒をくっつける
「よし……これで!」
ようやく釣竿が完成した
「あとはエサか……こりゃまだまだ先が長そうだな」
一休みをしようとベッドに座ると窓になにかぶつかる音がした
慌てて窓に目をやると そこには鳥がいた
シグマはゆっくりと窓を開けた
すると鳥は部屋の中に入り、口から何かを落とした そしてそのまま鳥は青い空へと飛び去っていった
鳥が落としたものは かすかに動いていた
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