第二十八話____捕縛糸
シグマは神経を耳に集中させ蜘蛛の位置を探った
しかしまるで蜘蛛の気配がない
遠距離攻撃でもされていたのかと一瞬考えたが それでは赤い光を説明する術が無くなってしまう
シグマが動きだそうとした瞬間
足元がやや薄暗くなった 地面には蜘蛛のシルエットが映し出されていた
慌てて上を向いた途端 シグマの全身を蜘蛛の糸が包む
シグマは懸命に糸を切ろうとしたが まるで切れる気配がなかった
頭上には蜘蛛の巣が森を覆うかのように張っている
(くそっ!蜘蛛の策にまんまとかかってしまった……)
蜘蛛が糸を下ろしながらシグマに近づいてくる
(何とかしねぇと……どうする!?周りには何も無い そもそも手も足も動かない この状況で俺に何が出来る……)
氷を生成しようにも何も食べていないのと怪我の影響で とても作れそうになかった
考えている間にも蜘蛛はどんどん近づいてくる
何かを警戒しているのか その速度は かなり遅めだった
ゆっくり近づいてくる感じが より一層シグマの絶望感を煽る
シグマはそれでも諦めなかった
あたりを見回すとあるのは木と血と骨 血は地面に染み込み森が異臭を放ち始めている この戦況を打開できるものなどない というのが一般人の考えだろう
しかしシグマの脳内では既に打開策が浮かんでいた
「出来ればやりたくないが生き延びるにはやるしかねぇ」
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