第二十七話____策士vs策士
高さ二メートル以上もある蜘蛛がシグマに気がついた
(あの犬が居なければ今頃俺が巣に引っかかってたのか……)
シグマは木の棒を強く握りしめ戦闘態勢に入ったが暗闇の中では下手に動くことが出来ない
シグマの背後が真っ赤に光る
シグマはとっさにしゃがみこむと頭上で木が砕ける音がした
恐らく光の正体は目だろう
急いで前方に走ろうとした時 犬の死亡シーンが頭をよぎった
「この先は確か蜘蛛の巣……誘導作戦か 賢い蜘蛛め コイツは厄介だな」
再び後ろが真っ赤に光る
シグマは風を切る音で攻撃位置が分かった
今度は高くジャンプすることでかわすことが出来た もししゃがんでいたなら 今頃体は真っ二つだった
シグマは逃げ回りながら蜘蛛の攻撃を避け続けた
「蜘蛛ごときに人間が作戦負けしてたまるかよ!」
シグマはひたすら攻撃を避け続けた
すると辺りは明るくなり動ける範囲も増えてきた
シグマは蜘蛛に木を切らせるように誘導し攻撃を避けていた 木が減ることによって光が差し込む
そうするとシグマが動きやすいフィールドを作れるということだ
「ヒスイの時と似たような戦い方だがこっちの方が圧倒的 楽に戦えている」
ズドドドド
一本の大きな木が倒れた瞬間 辺りは一気に明るさを取り戻した
シグマは明るくしたことを軽く後悔してしまった
先程まで暗かった森には沢山の蜘蛛の巣と血の池 それから骨が転がっていた
そしてもう一つ 蜘蛛の姿はどこにも見当たらなかった