第二十二話____求めぬ来客
扉の先にいたのは赤い髪の女性だった
赤髪の女性は目が合った瞬間にドアを閉めどこかに行ってしまった
シグマは急いでドアを開け叫んだ
「おい!待てよどこに行くんだよ」
赤髪の女性は振り返った
「男女の親密な関係を邪魔するつもりは無い」
シグマは頬を赤くしながら叫ぶ
「そんな関係じゃねーよ!いいから戻ってこい」
「お邪魔する」
赤髪の女性とシグマの二人でテーブルを囲んだ
アセビアは台所で食器を洗っていた
「どうしてここに来たんだ?」
赤髪の女性はシグマから目をそらさず答えた
「街に謎の無差別殺人犯が現れた そのせいで警備隊が街のあちこちをうろついている 」
シグマは何も言わず目を逸らした
「その警備隊に追い出された 寝場所に困ったからここに来た」
シグマが口を開こうとした時
「では私は仕事がありますので街に戻りますね!シグマさん あまり無理はいけませんよ」
アセビアは二人に軽く会釈をしシグマの家をあとにした
家の中は静まり返った
シグマはその静けさに不安を感じざるを得なかった
「自分で誘っておいて悪いんだけど まだ部屋も無いしベッドなんかも用意して無いんだ」
「この家に住みたくて来た訳では無い」
シグマは何となく別の用件でここに来たことは察していた そして思わず黙ってしまった
「・・・・・・」
赤髪の女性は立ち上がった
「街の騎士警備隊達は犯人を探している 」
シグマは黙って聞いていた
「警備隊だけじゃ力不足だ そこで街の人々にも協力を要請している」
赤髪の女性が一瞬話すのをやめた
部屋が静まり返りシグマの不安感はどんどん増していく アセビアと一緒に過ごした空間とはまるで違う場所に思えてしまう
「普通なら殺人犯を探すという危険な仕事を手伝う物好きなんてそうそういない だが」
シグマは心臓の鼓動は速くなるのに気がついた
「報酬を設けることによって住民の協力が実現した」
シグマは息を呑んだ
「その報酬は城に住む権利だ」
その瞬間 赤髪の女性は剣を出した
シグマの不安感は絶望感へと変わろうとしていた
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