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第十八話____平穏を取り戻すため

(風が二方向から聞こえるのは この位置に来たときだけだ)


シグマの体力が一方的に減っていく

怪我のせいもあって回避しようにも限界がすぐ近くまで迫っていた


(そろそろ限界だ……)


その瞬間再び風の音が二方向から聞こえシグマの足が止まった


(あと一歩……)


力を振り絞り風をかわした すると後ろの岩が砕け風が勢いよく吹き込んだ


「作成成功」


シグマの言葉と同時にヒスイは扇を振る手を止めた


チッ


ヒスイの舌打ちが響く

シグマは息を切らしながら言った


「ココ最近 天候の変化が激しいからな さっきまでは晴れていたのに 今は雨風だ」


ヒスイは怒りを込めて扇を強く握りしめる


「自然の風はアンタにとって一番の敵だよな」


先程まで静かだった洞窟も今では雨風で少しうるさいとすら感じる


シグマは僅かな隙間から吹き込む風を見逃さず あえてその隙間を崩させた


「どこまでもコケにしおって」


ヒスイの怒りは表情を見るだけで伝わった


しかしヒスイは扇で起こす風が自然の風に紛れると自分の風の動きが分からなくなるため下手に風で攻撃出来なかった


シグマは呼吸を整え口を開いた


「見るからに綺麗好きなアンタがこんな薄汚い洞窟にいるのは何か理由があると思っていた」


「うるさい……」


「アンタが部下に頼る理由も こんな洞窟に籠る理由も全て自分が有利に戦う為だったんだな」


「うるさい調子に乗るなぁぁ!」


ヒスイは奥義を捨てどこからかナイフを取り出した そしてシグマに向って走り出そうとしていた


「もう氷を作る力なんて残ってねぇ」


ヒスイの足は氷で固まっていたため動けなかった


「っ!?」


「でも雨を凍らせることくらい簡単だ」


シグマは既に洞窟内に吹き込む雨を凍らせてヒスイの動きを封じていた


「戦いの中で冷静さを失った奴に勝ち目はないと思うぜ」


シグマは上を見上げた

すると天井には沢山のヒビが入っていた


「アンタは戦いの中で冷静さを失い自分が有利に戦えるはずのフィールドを どんどん不利にしていった」


シグマは雨を凍らせ、手と同じ大きさの氷柱を作った


「クソッやめろっ!」


「やっと平穏な生活を送れる」


シグマは右手で左肩を押さえながら左手の指で強く氷柱を弾いた


氷柱はヒスイの頭上にあるヒビを削りながら天井にめり込んだ


天井が音を立てて崩れる


「くそがぁぁぁぁぁ!!!」


崩れ落ちる岩がヒスイを潰した


天井の一部が崩れたことにより洞窟全体に被害が及んだようだ


ゴゴゴと音を立てながら どんどん洞窟が崩れていく


「やべぇ逃げねぇと」


シグマは雨風が吹き込んでいる隙間から外に出た

その瞬間 洞窟の出口が塞がれた


「終わったんだな」


シグマは空を見上げた


「ボスを倒した主人公の気持ちがよく分かるぜ」


なぜか薄れていた意識もすっかり元に戻っている。


シグマは雨の中 城下町に向かって歩きだした

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