第十七話____エグられる肩
シグマは再び風をかわした
この風に少しでも触れれば粉より細かい肉片になってしまうだろう しかし威力が高い分範囲も狭い
(風が何処から吹いているかさえ分かれば回避するのは かなり容易だ)
シグマは目を瞑り音を頼りに風をかわした
シグマが風をかわす度に舌打ちが洞窟ないに響く
ヒスイは攻撃をかわされる度に苛立ちを見せる
そのせいか判断力が薄れ力任せの攻撃になってきているのが分かった。
(回避は出来ても決め手に欠ける どう攻撃したらいい?)
シグマは考えながら音に集中していると今までとは違う感覚に陥った
風の音が二方向から聞こえる
今までは こんなこと無かったのに……
急な出来事に判断力が薄れ回避が遅れた
風が左肩の肉を引き裂く そして目にも見えないほど細かい粉になった
思わず目を開けるとそこには満面の笑みを浮かべたヒスイが立っているのが見えた
一瞬の事だった ほんの一瞬の惨事を肩の傷が物語っていた
「一体どういうこと……」
「ハハハハハ」
ヒスイは狂気に満ちた笑い声を上げながら攻撃を続ける
シグマは右手で左肩をかばいながら攻撃をかわす
風の音は一つに戻っていた
肩をかばう手の指の隙間からは絶え間なく赤い血が流れている
しかしヒスイの攻撃は痛がる暇も与えてくれなかった
出血が多すぎるため意識もだんだんと薄れていく。
(クソッ時間が無い)
シグマが薄れる意識を耳に集中させた時 再び風の音は二方向から聞こえてきた
その瞬間 目を開けると先程攻撃を喰らった時と同じ景色が見えた ただ先程と一つだけ違うのはシグマの表情だった
「気づいちまった」
今度はシグマが笑みを浮かべた