第十六話____風斬撃
女は扇で軽く扇いだ
すると物凄い勢いの風がシグマを襲った
シグマは風に飛ばされ壁に背中を強く打ち付ける
一瞬呼吸が止まった
「お前では私に勝てない このヒスイの前で屍になるのだ」
シグマは呼吸の乱れを落ち着かせ口を開く
「ただの風なんかに負けねぇよ」
ヒスイは見下した目でシグマを睨む
「私の扇はこの風に斬属性を付与することで力を発揮する」
ヒスイは扇で軽く風を起こす
その風はシグマの後ろへと吹き去った
すると風が天井を切り刻み洞窟の出口は落下した岩によって塞がれてしまった
「これでお前は逃げられない さぁ楽しみましょう」
ヒスイが扇を扇ぐと空間全体に風が吹いた
シグマはとっさに両腕で顔を隠した
足、腹、腕 体がどんどん切れていく
「私の風は本来 一点に集中させて放つもの でもお前程度なら広範囲攻撃で少しずつ傷を負わせるだけでも勝手に死ぬだろう」
(クソッ舐めやがって これだけの広範囲で この力 もし一点集中の攻撃を食らってしまったら一瞬にして粉微塵だ どうする……)
シグマは手に力を入れた
手が再び凍りつく正直切れるよりも痛いかもしれない しかしシグマは先程より分厚く手が凍りついていることに気がついた
(魔力が向上してるのか?)
氷がヒスイの風斬撃を完全に防いでくれている
シグマはさらに力を入れ その手を地面に叩きつけた すると薄い氷の壁がシグマの前に現れる そして、その壁がシグマを守ってくれていた。
「ほぉ流石に これでは その薄い氷すら斬ぬれか」
風が一点に集中し氷の壁を切り刻んだ
シグマは壁から離れていたが もし壁の裏に隠れていたら今頃数ミリ単位の肉片になっていた事だろう。
シグマは風で崩れた岩の後ろに隠れていた
(風は目に見えない……かわすのは至難の業だ それに今の氷じゃ やつの技に耐えきれない)
作戦を練っているとシグマは僅かな風の気配を感じた。
すかさず岩から離れる。
岩は一瞬にして粉々になった
あと少し遅かったらシグマも粉になっていただろう
(危なかった……でもなんで俺は 今 回避できたんだ?目で見たわけじゃない 魔力が関係しているわけでも無さそうだ……聞こえる 風の音が聞こえる!そうか音か!)
それに気づいたと同時に
シグマに向かって風が吹いた