第十五話____派手な強さ
シグマはとっさに後ろに避けた
その瞬間派手な音と共に砂埃が辺りを包んだ
しばらくすると砂埃からシグマの様な人影が飛び出し、その影を すかさず槍使いが追っていく
「はぁ〜……今はあんたの相手なんてしている暇はないんだ」
砂埃がおさまり中から、再びシグマが現れた
シグマは影を追っていった槍の男と真反対の方向に歩き出した
歩けば歩くほど不安が強く押し寄せてくる
城を出て一時間ほど歩いた時 目の前に洞窟が現れた
「ここがアジト……」
心臓が強く音を立てる
シグマは深呼吸で心を落ち着かせようとしたが 簡単には落ち着かなかった
覚悟を決めて 洞窟に足を踏み入れた
足音が強く響く 洞窟内は誰もいないかのような静けさだった
しばらく歩くと広い部屋に出た
真ん中には玉座があり その椅子にはクジャクの様な鳥の羽で作られた派手な服を着た女性が座っていた
「女は殺せたのか?」
女の周りには護衛一人いない
負けないという絶対的自信があるからだろう
色々考えていると女は続けて話した
「答えぬか……その様子だとまた」
シグマは言葉を遮り口を開いた
「俺は あんたの部下なんかじゃねぇ」
「……そのようじゃな つまり私の部下になりたいと?」
「生憎俺は誰かの尻に敷かれて生きるのが嫌いでな 今日でこの組織は解散だ 」
「解散?ほう……力ずくで終わらせるということか 私にそのようなセリフを吐くとは それ相応の覚悟が出来ているのだろうな?」
「もちろんだ」
「今 私の前にお前がいるという事はあの臭い槍使いを倒したという事になるのか 残念ながら私は あんな槍使いより何倍も」
シグマは再び女の言葉を遮り、自信ありげに答えた
「あいつなら化け狐追いかけてどっか行ったぜ」
「さすが臭い男は役に立たん 私はコケにされるのが嫌いだ お前は生きて帰ることが出来ない……それどころか」
女は立ち上がり クジャクの羽で作られたかの様な派手な扇で自分をあおぎながら呟いた。
「死後 屍も帰らせない」