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ー香倉の小説ー

【都市伝説 ー黒い人ー】

作者: ユキノシタ

皆は “都市伝説” って、どのくらい知ってる?

口裂け女、テケテケ、トイレの花子さん、ドッペルゲンガー……他にも様々なものがあるだろう。

今から話すのは、私の知っている都市伝説………





「なぁ、聞いたか? “黒い人” がまた出たって」

「…黒い人?」


本を読んでいた私は、聞こえてきた都市伝説に耳を傾ける。


「そう…って、お前知らないの?」

「ご、ごめん」

「黒い人ってのは影みたいなやつらしい。夕方頃、坂の上の方に現れる。そこで驚いて逃げたり、振り向いた黒い人の顔を見たりすると殺されるんだ」

「え、じゃあ立ち止まって姿が見えなくなるのを待てばいいの?」

「いや、立ち止まるのも駄目なんだ。逃げるためにはリズムを崩さずに後ろへと歩くこと」

「何だ、簡単じゃん」

「そう思うだろ? でも、後ろ向きでリズムを崩さずに……ってのは中々難しい。それに出来たとしても、後ろが向けないんじゃ安全確認のしようがない。だから、そのまま止まることもできずに車にひかれて死んだやつもいる」

「……こ、怖いね」

「会ってみたい気もするけどな」


そこまで聞くと、私は本を閉じ、その場を後にした。

この都市伝説には別ルートが存在する。

リズムを崩さず歩き進め、肩を叩く。

そうすると振り向いた黒い人には顔があると言う。

黒い人の元は影だから、顔なんてあるはずがない。

……いや


「あったんだよね……顔」

それも、よく見知った人の顔が。


私はトボトボと家への帰路を歩きながら呟く。


「どうしたの?」


声をかけられた方に顔を向けると、そこには全身が真っ黒に染まった男子が立っていた。


春兎はると……どうしてここに?」


顔まで真っ黒なはずなのに、顔のパーツは確認できる。


桜兎おとちゃんの帰りが遅いから心配だったんだよ。この時間帯は……ほら、黒い人が出てきた。僕みたいなやつは そこらじゅうにいるんだよ」


春兎の指す方に目を向けると、坂を登る黒い人の姿があった。

それでも構わず歩みを進める。

もう少しで手が届くところで、後ろから声をかけられた。


「あ、桜兎? 何してるの?」


その声を聞いた黒い人がゆっくりと こちらへ振り返る。

黒い人と視線が交わる。

黒い人の口角が不気味に上がり、黒い影で視界が覆われた。


「待て。これは僕の友達だ」


春兎の声で黒い人は私から離れた。


「あら、そうだったの。ごめんなさいね」


それは女の人だった。

見たことない人だったけど、私の親戚か何かなのだろう。


「じゃあ、私ともお友達ね。よろしく」


それじゃ、と言い残し、何事もなかったかのように消えていった。

黒い人同士は仲間意識が高く、黒いなかまの友達は友達なかまなのだ。

だから私は、この黒い人に触れずとも友達ではある。

だけど触れないままリズムを崩せば、黒い人に覆われて「遊ぼう?」と誘われる。


…以前、私は春兎が近くにいないときに会ってしまい、誘われたのだ。

真っ黒な空間で永遠に鬼ごっこをする。

その真っ黒な空間は人間には目視出来ない。

だから誰にも助けてもらえず何時間も走らされた。

あの後、春兎が助けに来てくれなければ私はどうなっていたことか……。


過去のことに浸っていた私の耳に、怯えて漏れたであろう声が届きてきた。


「え……あ…」


先程、私に話しかけた人は私に震える指先を向けている。

震える声で、私に言葉を放った。

言ってはいけない言葉を。


「…ば、化け物っ!!!」


その言葉を合図とするように、その人の周りを黒い影が取り囲む。


「ひっ………な、何!?」


黒い人に取り込まれ、真っ暗になったであろう視界で怯えている人に、私は一言残した。


「ごめんね」


私を見かけたばっかりに、私に声をかけたばっかりに貴女の人生を奪ってしまった。


でも、貴女も悪いと思うよ。


だって、黒い人と友達になろうとしてるのを邪魔したんだし、私を化け物とも呼んだ。

仲間意識の高い黒い人は、友達が罵られたりすると怒る。

怒って連れて行ってしまう。

それに、黒い人に怯えたでしょう?



黒い人に怯えるのは、やってはいけない “禁忌” なんだよ。



黒い人の正体は、自分に関係のある死んだはずの人。

つまり、死んだ人の魂なのだ。

黄昏時という死人の魂が自由にできる時間に、魂達は自分の知り合いへと会いに行く。

それは恋人、家族、遠い親戚だったりする。

それが黒い影なのは、自分の体が もうないから。

体がなくなっても、会いたいと思うから会いに行く。

黒い人となって。


ただ、それだけのこと。


それだけのことなのに、人は黒いそれに怯え怖がる。

だから黒い人達は連れて行くのだ。

自分のことを怯えた知り合いを、知人を、自分達と同じにするために。


まぁ、今回、貴女が死ぬことになったのは それだけじゃないんだけどね。



この都市伝説の別ルートが知られていないのは、何故だか分かる?



それは行うものがいない、というだけではない。

だって、それなら行った人が教えればいいだけの話。

だけど、それを教えれば教えられた人が殺される。


黒い人によって。


それは黒い人が他人を恐れているから。

自分の知り合い以外に、自分を知られるのを恐れているから。


だから、黒い人と友達になっても口にしない。

そして友達になろうとしているところを見られてもいけない。

見た人は、さっきの人みたいに黒い人によって殺される。


「…桜兎?」


隣で春兎が心配そうな顔をして こちらを見ている。


私はどれだけ他人から嫌われようと、どれだけ化け物呼ばわりされようと、こいつがいれば 他には何もいらない。


「春兎、これからも ずっと友達だよ」


黒い人だからって、私の初恋の人に違いないから。

あの時、私を庇って死んだ春兎に違いないから。


だから、春兎を怖がる奴なんて



皆 死んじゃえばいいんだ。





あなたは、どんな都市伝説を知ってる?

意味、通じましたかね?

簡単?にまとめますね。

(自分の整理のためにも!)


【黒い人の特徴】

・全身が真っ黒の3D的な影。

・顔まで真っ黒だが、表情がわかる。

・自分を怖がった人は連れて行く。

・友達を連れて行ったりはしない。

・友達の友達は友達。

・足が速い。


【黒い人から逃げる方法】

・黒い人の姿が見えなくなるまで、リズムを崩さず後ろへ歩く。


【黒い人と友達になる方法】

・リズムを崩さないまま、黒い人に近づき肩を叩く。


【黒い人から『遊ぼう?』のお誘いを受けない方法】

・リズムを崩さないまま、黒い人に近づき肩を叩く。


※ 黒い人が友達(人間)に会った時、他の人は目撃してはいけない。

※ 黒い人の友達(人間)を罵ってはいけない。



……伝わりましたかね?

伝わってくれたことを願います。


日本語 下手くそで ごめんなさい。

これでも17年間 日本に住んでいるんです。

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